終活コラム "事業継承に関する税法改正について"

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被相続人(亡くなられた方)がオーナー経営者であった場合

事業継承に関する税法改正について01

被相続人(亡くなられた方)がオーナー経営者であった場合、経営されていた会社の事業継承という問題に直面します。

現在、わが国の中小企業数は約380万社といわれています。

その中で今後10年で70歳を超える中小企業経営者は約245万人、そのうち約半分の127万社が後継者が未定という状態になっています。

今後、このまま後継者がいないとなると、日本の中小企業の約1/3にあたる中小企業が消滅し、現在3300万人といわれる中小企業従業員の1100万人は職を失うことになります。

もちろん、この間起業する会社もあることから、実際には、こういう数字にはならないでしょうが、今後の高齢化の進展や人口減少を考えれば、日本の中小企業はかなり厳しい状況にあることには変わりありません。

そこで国は、中小企業経営者の世代交代を促し、できるだけ中小企業の廃業を抑えようということで、2016年承継円滑法の施行、2018年事業承継税制の改正を行っております。

事業承継税制とは

ここでは、相続・事業承継に影響の大きい、「事業承継税制」の改正ポイントを以下見ていくことにしましょう。

(1)自社株承継の税負担が事実上“0”に。

2018年から10年間に行われる事業承継において、取得したすべての株式につき税額が全額猶予されることになります。

(2)複数の後継者がいても納税が猶予されます。

これまでは、先代経営者と後継者1名の関係のみの適用でしたが、これからは、複数の先代株主からの贈与・遺贈や、複数の後継者への承継への贈与・相続も納税猶予の対象になります。

(3)自社株評価の仕組みが変わります。

非上場会社の場合、自社株の贈与・相続などにおいて、取得者により評価方法が違ってきます。従業員が取得する場合は、比較的安い株価と算出される「配当還元方式」に、親族の場合には比較的高額な「純資産方式」あるいは「類似業種批准方式」が適用されます。

今回の改正では、この「類似業種批准方式」の計算式は変わります。

すなわち株価算定に関し、「配当」「利益」「純資産」の比重が
従来の「1:3:1」から「1:1:1」に変更されました。

これにより、自社株評価には以下のような影響がでてきます。

➀ 利益の比重が低下するため、業績好調な会社の自社株評価を低下します。
➁ 利益比重の低下のため、利益圧縮による株価引き下げ効果が低下します。

これは、先代役員に退職金を支給することにより利益を圧縮し、株価評価が下がったところで後継者に株を引き渡すという従来手法が通じなくなったことを意味します。

➂ 純資産の比重が従来とり高くなるので、自己資本の大きい会社の自社株評価は  高くなります。従って、自社株評価を行う場合には、この「配当」「利益」「純資産」の比重を考慮し算出することが重要となってきます。

またこの「純資産方式」と「類似業種批准方式」どちらを採用するかは、取引金額から大会社と小会社の5つの区分により決められております。

(4)自社株評価については上記の「大会社・中会社規模の見直し」をはじめ、「類似業種の株価につき2年間平均を加算する」、「類似業種の配当・利益・純資産についての連結決算の反映」などの変更もあるので、注意が必要です。

コラム筆者:一般社団法人 問題解決型コンサルタント協会
代表理事 倉林 敏

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