仙寿院 インタビュー 終活におけるお寺の役割とは
法雲山仙寿院 インタビュー
終活におけるお寺の役割とは
-自分の宗派を知っていますか?-
財産や持ち物の整理、遺言書の作成、お墓のことなどを考えたとき、頭によぎるであろう“終活”というキーワード。
実際に終活を始めようと考えている方は、どのように終活を始めますか?また、すでに始めている方は、どのように終活を進めていますか?なかには、専門家に相談してみたが結局わからなかったということもあるでしょう。
そこで知ってほしいのが、お寺でも終活の相談をすることができるということです。今回は、終活におけるお寺の役割について、東京都渋谷にある日蓮宗・仙寿院の住職にお話を伺いました。
2020年6月24日
インタヴュー/関谷
まずは終活に限らず、お寺の活動について教えてください。
住職:仙寿院は日蓮宗ですが、浄土宗や曹洞宗、天台宗というように、宗派は様々です。それら仏教の各宗派の教えを人々や社会に伝える拠点、あるいはその教えを後世に伝えていく拠点であるのが“お寺”です。
大まかになりますが、それがお寺の本来の目的であり、あるべき姿であります。また、お寺には檀家制度というものがあります。檀家とは、菩提寺(ぼだいじ:先祖代々のお墓があるお寺)に葬儀などを任せる家を指します。菩提寺に葬儀などのを任せる代わりにお布施を渡すという関係性を檀家制度といいます。
その檀家の方々を主に対象として、現在の世の中についてや来世、前世、死後の世界といったものを総じて仏教の教えのなかで深く取り扱って活動を行っていますね。
日常的にお寺が身近に感じていない方もいますが、住職としてはどういうときにお寺に来てほしいのですか?
住職:日常的にいつでも来てほしいですね。自分の両親やあるいは祖父母、ご先祖さまに感謝の念、畏敬の念を持ってお墓にお参りをしていただいて、その都度心をリフレッシュしてもらうような、お寺が日常的にそのようなことができる場所だといいなと思っています。
お年を召された方々のなかには「月命日には必ずお寺に来ないと気が済まない」という方もいますが、年に本当に1、2度しか来られない方もいらっしゃいます。お若くてもよく、それこそ毎月のように来られる方もいらっしゃいます。
頻度は人それぞれですが、年代問わず仙寿院に訪れてくれる方々を大切にしていきたいなと思っております。
では、今回のテーマでもある終活ですが、仙寿院では終活の相談は可能ですか?
住職:檀家とか信徒さんを活動の対象としていますが、そのなかで様々な方がご心配からよく相談に来られます。
仙寿院としては、その方々の心を落ち着かせ、安心(あんじん:ここでは仏教用語として)をその一人一人にお与えできるようにする、ということが終活においてできることだと思っております。
例えば「子どもさんがいないから、自分が亡くなったあとが心配」という相談に対しては、菩提寺の住職として申し上げることは「どうかご心配なさらないでください」ということです。
万が一のときはご自身はお亡くなりになっているわけですから、仙寿院に誰かが電話をしてこられるようにメモを残すなり、誰かに仙寿院についてお話ししておいてください。もしお亡くなりになって、仙寿院に電話が入った場合は「仙寿院の住職の責任で必ずお体を荼毘(だび:火葬)します。そして、ご遺骨にお経をあげ、戒名を付けて、お墓へ埋葬しますから、それはもうご安心ください」ということを申し上げます。
そうするとほとんどの方が「そうなんですね。よかった、安心しました」と言ってくださいますね。
なるほど。仙寿院は、葬儀に関してどこまでサポートするのでしょうか?
住職:火葬場の手配や事務的なことは葬儀社じゃないと話が進んでいかないこともあります。それは仙寿院に出入りをしている葬儀社がおりますので、必要なときはお願いできます。その点も「ご安心ください」と伝えています。
葬儀社がリードするような形でお通夜や葬儀は進んでいきますが、東京では葬儀場が混んでしまっているという理由から、1週間ぐらい待たされることもあるそうです。
その場合、待っている間はご遺体を霊安室にお預けすることになりますが、仙寿院の檀家さんの場合は「まずお亡くなりになられましたらすぐお寺に連れてきていいですよ。すぐお連れください」と伝えています。
すると皆さん「お寺の本堂にいられる」と喜んでくださいます。
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