墓石の撤去や処分、墓じまいにかかる費用やお布施、撤去の方法など、継承者がいなくなったりお墓参りが困難になったりと理由は様々だと思います。これから墓じまいをされる方はご参考にしてください。
墓じまい手続き
墓じまいとは?
墓じまいとは、お墓を片づけて墓地管理者に土地を返すことです。その際、納められていた遺骨は、永代供養墓など他の墓地に改葬したり、散骨したりします。
「お墓は先祖代々受け継いでいくもの」このように考えられていたのは、もう遠い昔の話。現在では、「墓じまい」という言葉が広く知られるようになりました。墓じまいの場合は、墓石の撤去費用のみですが石の大きさで違いがあり、10万円~30万円ほど。
変わるお墓の管理の在り方
今までは、「親が亡くなったら子どもがお墓を受け継ぎ、また次の世代に引き継いでで行く」というかたちでお墓が引き継がれていました。しかし男性の生涯未婚率が23パーセントを越え、女性も14パーセントを越え、さらに少子化が進む今、このようなかたちは崩壊しつつあります。
そこで出てきたのが、「墓じまい」という考え方です。
墓じまいとは何か
墓じまいとは、先祖が祀られているお墓を片付ける行動を指します。引き継ぐ人がいない、昨今、少子化や未婚者の増加など、様々な理由で墓地を守っていくことができず、墓じまいをする人が増えています。
あるいは非常に遠くに住んでおりお墓の面倒を見られない、という状態になったときに行われる作業です。お墓も土地も基本的にはなくしてしまい、遺骨を引き取ります。この遺骨は、宗教施設(多くの場合はお寺でしょう)で、「合祀」というかたちをとるか、納骨堂に入れるか、手元で管理するかになるでしょう。
合祀とはほかの人のお骨と一緒に弔ってもらうものであり、もっとも一般的な方法です。近所の納骨堂に収めたり、手元において共に過ごしたりするのも立派な供養のかたちです。散骨や樹木葬も選択肢としてありますが、規制が厳しい点にはご注意を。
樹木葬と散骨の規制について
さて、上では、「樹木葬と散骨は規制が設けられている」としました。これについて見ていきましょう。「樹木葬」というと、「好きなところの木の根元にお骨を埋められる」と考えてしまいがちです。
しかし実際には、きちんと許可を得たところにしか埋めることはできません。きちんとした法的な規制に基づき、許可された場所に埋めることになります。また、このようなかたちで弔う場合も、当然に埋葬許可書が必要です。
また、「散骨」についても注意が必要です。
散骨もまた、「好き勝手にどこにでも振りまいてもよい」というわけではありません。骨はきちんと粉状になるまで粉砕しなければなりませんし、養殖場や海水浴場のほど近くには撒くことができません。場合によっては、訴訟問題になりかねません。
もちろん、樹木葬にしろ散骨にしろ、ほかの人の土地で行うことは厳禁です。自宅の場合は判断がかなり難しいと言えます。自宅の庭であるのだから大丈夫、と考えられるかもしれませんが、ご近所の方との軋轢が生じる可能性も高いと言えます。樹木葬や散骨を希望するのであれば、一般的な埋葬以上に、正しい知識と手順で行うことが求められます。
改葬と墓じまいの違い
改葬と墓じまいは、同じような意味合いで使われることが多いですが、厳密にいうと違います。
「改葬」とは、お墓を変えること、つまり、現墓地から新しい墓地へ遺骨を移すことをいうのに対し、「墓じまい」とは、現墓地を片付けることが主な目的であり、その後の遺骨の対処方法として、永代供養墓などへの改葬が多く選択されているということになります。
墓じまいをしないと無縁墓になることも!?
継承者がいなくなった墓地は、無縁墓となります。
平成11年『墓地、埋葬等に関する法律』が改正され、無縁墓と思われる墓地につき公告し権利者が申し出なかった場合には、中の遺骨を合祀墓に移し、墓石を撤去することができるようになりました。
墓じまい後の遺骨の供養方法と費用について
「墓じまい」は、無料でできるものではありません。ここでは、墓じまいにかかる費用について見ていきましょう。
「新しい安置場所」が確保できているかどうか
墓じまいの金額を決めるための要素として、「新しい安置場所が決まっているかどうか」があります。
墓地や墓石は、決して安いものではありません。お墓の平均額は200万円程度と言われています。また、納骨堂の利用であっても、30万円~50万円程度の出費を覚悟しておいた方がよいでしょう。手元で供養するのであれば金額はかかりませんが、この「新しい安置場所の有無」で、墓じまいの金額は大きく変わります。
墓じまいを行った後の供養として主に選択されている方法をご紹介します。
①永代供養墓
公営、民間、寺院など、最近様々な墓地・霊園で行われている永代供養が人気です。永代供養とは、墓地・霊園の管理者が遺族にかわりお墓の維持や供養をしてくれるもので、そのスタイルは様々です。
・合祀(合同埋葬)墓
他の遺骨と合同埋葬する形式の墓地です。墓じまい先として大変人気のあるタイプのお墓です。お墓参りは、モニュメントや供養塔などを墓標として共用のお参りスペースで行われます。一度合祀してしまうと、遺骨は個別にもどってきませんが、共有のお参りスペースなどもあり、お墓参りすることはできます。管理が不要であることと、費用が1霊につき10万~30万円程度と安価であることが人気の要因です。
・個別埋葬墓
自分や子供たちが健在の間は、従来のようにお墓参りしたいとう場合、個別の永代供養墓がおすすめです。個別といっても十七回忌や三十三回忌などある程度の年数が経つと合祀されるので安心です。個別埋葬には、通常のお墓と変わらない独立タイプの墓地と、階段型など集団で納められるタイプの墓地があります。費用は、独立墓地の場合は60~150万円程度、集団で納骨される場合は30~80万円程度、必要です。
②納骨堂
天気に左右されない室内型の納骨堂も人気です。納骨堂の場合は、当初は個別に供養され、十七回忌や三十三回忌などある程度の年数を経過すると合同埋葬される、というスタイルが多いです。納骨堂の種類も豊富で、霊廟(仏壇)型、ロッカー型、コンピュータ制御型など様々あり、費用相場は20~130万円程度で、納骨方法、個別納骨年数、占有スペースの広さなどで上下します。
③散骨
最近注目されている供養方法が散骨です。粉末状にした遺骨を海に撒く「海洋散骨」が主流ですが、里山に散骨する「自然葬」や、遺灰をバルーンにいれて飛ばす「空中散骨」など様々な散骨方法が登場しています。費用は10~30万円程度で比較的安価に行うことができ、後々の供養にも手間がかかりません。しかし、お参りできる場所がないことで心の拠り所を失ってしまう人もいます。遺骨の一部を散骨し、残りを永代供養や手元供養するという選択肢もあります。
④手元供養
手元つまり自宅に遺骨を安置して供養するスタイルで、特別な費用はかかりません。お墓参りに行きづらい、身近で供養したい、費用を抑えたいという方に選ばれています。
近年は、手元供養のための、小さな骨壷やペンダントなども販売されていて、デザインも豊富です。永代供養での合祀、または、散骨を選択された方が一部の遺骨を手元で供養されることが多いようです。
更地にする費用とお布施
墓じまいをするとき、墓石をどかし、更地にする必要があります。このための費用は一概に○円と言えるものではありません。広さによって異なるからです。ただ、1平方メートルで80,000円、としている業者もあるので、これが一つの目安となるでしょう。
お布施も必要です。お布施は、古いところからうつすときと、新しいところに入れるときにそれぞれ必要です。あわせて5万円~10万円といったところでしょう。また、もともとのお寺から離れるときも、同等程度の金額がかかります。
墓じまい お布施のこと
何度か触れてきていますが、墓じまいをするときには「お布施」が発生します。元々のお墓から魂を抜くときには2万円~5万円ほどのお布施が必要とされますし、新しいところに入れるときにも同じくらいのお布施が必要になります。 また、「もう元のところに帰らない」という場合は、「今までお世話になりました」という意味で、それまで面倒を見てくれていたお寺に10万円ほどをお渡しすることもあります。 お布施は「気持ち」の問題です。ただ、それでも、葬儀のときにお渡しするお布施と同様、一応の平均額があるのが現状ですが、地域によっても異なります。
墓じまいの方法
墓じまいの方法は、「継承者がいるとき」と「継承者がいないとき」では大きく異なります。
継承者が居る場合は、その継承者が供養しやすい場所に移動させることも考えましょう。(もともとのお墓が東京にあり、継承者が大阪にいる場合は大阪のお寺に移すなど)また、手元に置いて供養するのも一つの方法です。
散骨については規制がかなり厳しいので、よく考えて行うようにしましょう。継承者がいない場合は、「永代供養」というかたちでお願いするのがよいでしょう。
これは合祀タイプもあれば従来のお墓のようなかたちをしている場合もあります。また、納骨堂を利用することもあります。いずれにせよ、その弔いを宗教施設にゆだねる方法であり、将来的には合祀のかたちをとる場合が多いと言えます。