終活のお役立ちニュース "高齢の家族を万引き犯にしないために、家族ができることとは?"
犯罪白書から見る高齢者による万引きの実態
平成30年度版の犯罪白書によると、全国の万引き事犯者のうち1385人のうち高齢の事犯者は301人であった。
これは全体の20%を上回る数字である。
また、高齢の事犯者は非高齢の事犯者と比べると、女性の割合が多い傾向にある。非高齢の事犯者では女性の割合が全体の3割に満たないのに対し、高齢の事犯者の場合は4割を超えた。
さらに、高齢の事犯者の婚姻状況では、4割弱が婚姻関係の継続中、つまり配偶者がいる状態で万引きを行っていることが分かった。
この結果は、身近な家族が万引きによって逮捕される可能性が誰にでもある、ということを示している。
万引きを予防するため、家族ができることとは?
高齢者が万引きをしてしまうさまざまな原因のうちの一つが認知症だ。認知症と一口に言ってもアルツハイマー型やレビー小体型など多くの原因疾患が存在する。
認知症が原因と考えられるなら、まずは認知症のタイプを確認し、今後の治療について見通しを立てることが必要となる。地域の見守りネットワークに登録することや、あらかじめよく行く店に事情を説明し、何かあったら連絡してもらうようにするなどの対策をしておけばさらに安心だろう。
また、認知症が原因でなくても、漠然とした金銭的な不安から万引きを起こしてしまう場合もある。実際、高齢の万引き事犯者のうち、およそ75%が無職であった。さらに、犯行の動機で「節約」と回答した高齢者は男女ともに半数を超え、特に女性では8割を超えていた。
この場合には、金銭だけでなく生活全般でサポートしていくことが求められる。サポートする意思をはっきり伝え、不安を解消してもらうことも重要だ。
高齢女性による万引きの背景事情を見ると、「近親者の病気・死去」が原因の場合が3割近い数字であり、他の非高齢者や男性と比べると倍以上の割合に上っている。
金銭的な不安や家族を失った寂しさにともに寄り添っていくことが、高齢者を支えていく家族にとって必要なのだろう。
(画像は写真ACより)
▼外部リンク
平成30年度版犯罪白書
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/65/nfm/n65_2_7_4_1_2.html