会社員の皆さん、退職後の人生を考えたことはありますか?「人生100年時代」の今、「終活」という言葉を聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。こちらのコラムは、終活サポート専任講師の池原充子さんが執筆しました。
会社員の今だからこそ、やっておきたい終活
会社員の終活 定義
「終活」という言葉が登場した当初は、自分の葬儀やお墓などについて考える「死の準備」を意味する言葉でした。しかし、だんだんとその内容が変化し、今では、「一度しか経験できないゴールを見据え、自分らしい人生を整える」という意味を持つようになりました。
厚生労働省の発表によると、平成30年9月時点で、100歳以上の高齢者は、69,785人で、平成10年に10,000人を超えてから、わずか20年で、約7倍になりました。また、現在85歳の方の平均寿命は、男性で平均6.18歳、女性で平均8.3歳となっており、「90歳まで生きる」と考えて終活をした方が現実的だといえます。
60歳で定年退職し、90歳まで生きると想定すれば、余生は30年。とてもとても長い時間です。自分らしい充実した人生を送るためには、「資産」「健康」そして「夢」を持つことがとても重要です。
会社員の終活 その1 資産
会社員だから、老後は安心!老齢厚生年金
平成30年金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、金融資産保有額平均値は、
- 単身世帯 744万円
(資産ゼロ世帯をのぞいた中央値 50万円) - 二人以上世帯 1,151万円
(資産ゼロ世帯を除いた中央値 450万円)
また、老後の生活について「心配である」と回答した世帯は、
- 単身世帯 83.1%
- 二人以上世帯 79.2%
となっており、総じて老後への不安が高いことがわかります。今自分が保有している資産では不十分だと感じているだけでなく、「老後の生活費の主な収入源」は「公的年金」と想定している世帯が多いため、「老後資金2000万円不足問題」にあれほど大きな関心が寄せられているのです。
しかし、会社員として長く働いてきた場合は、実は、それほど大きな不安を抱く必要はないのかもしれません。
例えば、20歳から60歳まで40年間、会社員として、年金を払っていた場合、老齢基礎年金に、老齢厚生年金が加算されるため、65歳からの年金支給額は、年間約203万円(月額約17万円弱)、ご夫婦共働きで、奥様も会社員で厚生年金を40年かけていた場合は、単純計算で、世帯年金支給額は、年間約406万円(月額33万円以上)もらえますから、毎月の生活が大きく困窮するという事にはならないのではないでしょうか?通勤電車に揺られるのは大変な事ではありますが、今の会社員生活をできる限り続けることによって、将来の生活への不安も少なくなります。
ただし、年金がもらえるのは、原則65歳以上。繰り上げで60歳からもらうこともできますが、支給額が3割も減ってしまいます。60歳定年の会社員の方は、65歳まで今の会社で再雇用してもらえるか、確認しておきましょう。再雇用制度がない会社の場合、年金支給までの期間、取引先や知り合いなどでツテがないか探してみましょう。新たに再就職となると、なかなか大変なので、会社員の間に、再就職のための人脈を作っておくことは、非常に重要です。
会社員の終活 その2 健康
「健康寿命」を延ばすことが大事
会社員を卒業すると、生活リズムが変わります。通勤電車から解放されて嬉しいかもしれませんが、緊張感がなくなったり、年とともに抵抗力が衰えたり、ちょっとしたことで体調を壊しやすくなったりします。
平均寿命が長くなったといっても、その間、ずっと健康で動き回れるか、というと一概にそうとは言えません。平成22年に厚生労働省が発表したデータによりますと、
- 「健康寿命」=日常生活に制限のない期間
- 「平均寿命」と「健康寿命」の差=日常生活に制限のある「不健康な期間」
となっており、その差は、男性9.13年、女性12.68年となっています。つまり、平均寿命が長くなっても、日常生活に制限がある不健康な期間も長くなっているため、生活の質の低下を防ぐためには、「健康寿命」を延ばす努力が必要という事になります。
健康寿命を延ばすためには、会社員の時から仕事以外にも何か興味があることを広げておくことが大切です。仕事以外でも夢中になれる事を持っておくことは、退職後の生活をより充実したものにすることができます。
そこから人間関係も広がり、再就職にもつながるかもしれませんし、何より、精神的なバランスを保つために大きな役割を担います。精神的な安定は、「老後うつ」や「認知症」を防ぐためにも非常に重要です。
会社員の終活 その3 夢
あなたの夢は、なんですか?
会社員の時は、時間に追われる生活だった方も多いと思いますが、退職後の人生は、思ったよりずっと長いです。
その時間をより充実させるためには、夢をもって生き生きと生きることが大切です。いまさら「夢」なんて、こどもじゃないんだから、と思っていませんか?会社員を退職した後は、新しい人生のスタートを切る新人のようなものです。ただ毎日を単調に過ごすより、夢を持って過ごした方が、生活にハリが出て充実した人生を送ることができます。
終活に取り組んでいる方々にアンケートを取ったところ、「人生でやり残した事」の第一位は、「旅行」でした。
会社員として働いていると、まとまった休みがなかなか取れず、退職してからゆっくり行こう、と思っていても、なかなかきっかけがつかめない。そうこうしているうちに時間が経ち、病気になったり、介護が必要な状態になり旅行に行けなくなってしまった、そんなケースが少なくないそうです。
あなたにとって、今までの人生でやり残したことは、なんですか?それをこれからの人生の「夢」にしてみませんか?旅行に限らず、退職後にやりたいことをやろうと思っていても、体の自由が利かなくなるかもしれません。できるだけ健康な状態を維持した方が楽しいですし、前向きに生きることができます。現役の今だからこそ、これからの自分らしい人生を整えてみませんか?
【監修】池原充子(終活専門相談員)
これまでの略歴
身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了
兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒
これまでの略歴
身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了
兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒
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