ターミナルケアとは?4つの種類と費用・問題点・大切なことを簡単に解説

ターミナルケアとは、病気で余命が僅かになった人に行う、医療や介護を中心とするサポートのことです。基本的に延命治療は行わず、残された時間を心穏やかに過ごせるようにケアします。ターミナルケアは医療的サポートだけでなく、精神的・社会的なケアも行うのが特徴で長期間に渡るサポートになる可能性もあるので、家族のケアも含めて取り組むことが大切です。

今回は、ターミナルケアとは何か、4つの種類を紹介しながら解説します。ターミナルケアを行える場所や始めるのに適切な時期、費用、問題点なども紹介するので、ご参考にしてください。

ターミナルケアとは

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ターミナルケアは、終末期における医療や介護を中心とするサポートのことを指します。終末期に入ったかどうかの判断は医師にもよりますが、一般的には、

  • 病気の治癒が見込めなくなった
  • 寝たきり状態で食事が摂れなくなった

こういった状態が、ターミナルケアを検討するタイミングになります。ターミナルケアの目的は、余命が僅かになった人の残された時間が充実するように、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を目指すことです。身体的・精神的苦痛を取り除くことを重要視するため、治療を敢えて行わない選択をすることもあります。

ターミナルケアの4つの種類

ターミナルケアには、いろいろな側面があります。種類を理解して、適切なアプローチをすることが大切です。ターミナルケアの4つの種類について解説します。

身体的ケア

身体の痛みを取り除くケアです。投薬や点滴で苦痛を緩和します。重要なのは、「積極的な治療を目的としていない」こと。治療が苦痛を招くようなものであれば、行わないという選択をするのも、ターミナルケアの大切な考え方です。病気の緩和ケアだけでなく、身体の清拭や身だしなみの整え、床ずれ防止のサポートなども含まれます。

精神的ケア

精神的な不安や苦しみを取り除くケアです。終末期は身体の負担だけでなく、精神的にも重圧がかかります。家族で過ごす時間を増やしたり、趣味の時間を設けたりするなど、医療サポート以外のケアも大切です。

社会的ケア

ターミナルケアを行うには、医療機関や福祉サービスとの連携が欠かせません。各所とのやり取りや手続きを本人が行うことはできないので、家族やケアマネージャーなどが代わりにしてあげる必要があります。また、本人が社会的なつながりを望んでいる場合は、無理のない範囲で外出したり友人を呼んだりすることも、大切なケアの一つです。

家族のケア

ターミナルケアには、本人のサポートだけでなく、支える家族のケアも含まれます。ターミナルケアは、労力と費用がかかる大変な取り組みです。

家族が思いつめてしまうことがないように、医療ソーシャルワーカーと連携を取ったり、費用をサポートしてもらえる社会福祉制度を利用したり、頼れるところを持っておくのが大切です。家族の心の余裕は、ターミナルケアの質につながります。本人も家族も無理なく幸せな時間を過ごせるように、ケアをする側のサポートも重要です。

ターミナルケアを行う場所とメリット・デメリット

ターミナルケアは、自宅か病院・介護施設で行います。それぞれに特性があるため、本人と家族の意思、ライフスタイルに合わせて慎重な検討が必要です。ターミナルケアを行う場所とそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

自宅

自宅でターミナルケアを行うメリットは、本人も家族も安心して過ごせることです。慣れ親しんだ自宅で家族といつも一緒に居られることは、大きなストレス緩和になります。家族が最期まで看取れる可能性が高くなることもメリットです。

デメリットは、家族のケア負担が大きくなることと、場合によっては病院や介護施設に入るよりも費用が高くなってしまうことです。自宅でのターミナルケアでは、家族が介護や投薬管理などをすることになります。

想像以上に大変で、ケアをする家族の方が病気になったり、精神を病んでしまったりするケースも少なくありません。自宅で安全に過ごせるように環境を整えるための費用や、医師の往診料もかかります。

大切な家族との時間を最期まで自宅で過ごせるのは素晴らしいことですが、現実的な労力や費用を考えて、しっかり話し合った上で決断することが大切です。

病院・介護施設

病院や介護施設で、ターミナルケアを受けることもできます。

  • メリットは、24時間体勢で急変時もすぐに対応してもらえることと、家族の負担が軽減されることです。医療環境や介護環境も整っているため、安心して任せられます。
  • デメリットは、家族がすぐに駆けつけられない可能性があることと、長期間に渡ると費用が高くなってしまうことです。家族が居ないときや夜中などに容態が急変してしまうと、最期を見届けられない可能性があります。

本人が自宅で過ごすことを強く希望する場合もあり、家族の考えとの折り合いがつかない問題も。費用面でも長期間に渡ると負担が大きくなるため、資金計画を立てておく必要があります。

病院や介護施設を選ぶときは、かかりつけ医と相談しながら、複数の病院や施設を比較検討するのがおすすめです。本人とよく話し合って、お互いの意思や希望を尊重できるようにしましょう。

ターミナルケアを始める時期

ターミナルケアを始める時期に、明確な定義はありません。医師の判断も大切ですが、本人と家族の意思を尊重して、始めるかどうかを決定します。ただし、ターミナルケアを始めるということは、延命しない決断をすることでもあります。

難しい判断と決断にはなりますが、大切なのは本人の意思と苦しみからの開放です。家族にとっては1日でも長く生きてほしいのが本望ですが、延命治療は長く苦しい闘いになることもあります。

延命治療の内容や余命期間などを考慮して、本人が残された時間をどう過ごせば幸せなのかを考えることが大切です。

ターミナルケアにかかる費用

ターミナルケアにかかる費用は、受ける場所と必要な治療内容によって異なります。経済的負担を軽減できる制度もあるため、利用も検討しながら判断してみてください。ターミナルケアにかかる一般的な費用を解説します。

自宅

自宅でターミナルケアを行う場合、基本として以下のような費用がかかります。

  • 往診費…1回約2〜3万円
  • 訪問看護費…1回約1万円
  • 訪問介護費…月に4回の利用で約1万円
  • 環境を整えるための初期費用…約10〜20万円(介護用ベッドやポータブルトイレの設置など)
  • 日常生活費…約3〜5万円(介護消耗品、衣服、食事など)

費用は目安なので、診療の回数や自宅環境などによって変動します。介護用品はレンタルもできるため、負担の少ない方法を選択できるように検討してみてください。また、前提としてターミナルケアにかかる費用は、医療保険が適用されます。

例として、後期高齢者医療制度では、75歳以上の後期高齢者の自己負担割合は、世帯所得に応じて1〜3割負担になります。入院や手術など高額な医療費も、70歳以上の自己負担額は1割負担の場合で1ヶ月57,600円まで、外来では18,000円までと上限が決まっています。自宅での往診や訪問看護も、医療保険の対象になります。

病院(入院)

厚生労働省から「緩和ケア病棟」の承認を受けている病棟で緩和ケアを受ける場合、入院費用は一律になります。緩和ケア病棟に入院して、ターミナルケアを行う場合の費用はこちらです。

入院費 30日以内 1日48,260〜50,510円
31〜60日以内 1日43,700〜45,140円
61日以上 1日33,000〜33,500円

※医療保険適用前の料金
・食事医療費…1食100〜460円

入院費も医療保険が適用されるため、実際に支払う金額は各料金の1〜3割になります。食事医療費の金額は、年齢や所得によって決定します。

介護施設

介護施設でターミナルケアを行う場合、基本として以下のような費用がかかります。

  • 施設利用費…約15〜30万円/月
  • 医療・介護消耗品費…月約5〜25万円/月

施設利用費に食費や雑費が含まれているかは、介護施設によって違います。24時間体制の介護付きということで費用は高額になりますが、ターミナルケアを実施する介護施設は、所定の条件を満たすと「看取り介護加算(終末期加算)」を算定できるケースがあります。介護保険も適用されるため、実際の負担額はもう少し低くなります。

ターミナルケアの問題点

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ターミナルケアの問題点は、行うかの判断がほとんどの場合、家族に委ねられることです。本人の意思決定があれば家族も決断しやすいのですが、日本ではターミナルケアの存在がそこまで浸透していません。認知症や事故などによって、本人の意思表示ができなくなった状態で初めて、ターミナルケアについて知るケースが多いのです。

突然、延命するかどうかという重要な決断の全てが家族に委ねられてしまうと、判断に戸惑いプレッシャーを抱えてしまうことになります。自分はターミナルケアをどの段階でどこで行いたいのか、健康なうちに家族で話し合っておくことが大切です。

ターミナルケアは残された時間を充実させるためにある(まとめ)

ターミナルケアの目的は、余命が僅かになった人の残された時間が充実するように、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を目指すことです。基本的に延命治療は行わず、身体的・精神的な苦痛を取り除けるようケアをします。

ターミナルケアは自宅や病院、介護施設で行えますが、大切なのは本人の意思を尊重しながら、家族のライフスタイルや費用など、現実的な問題をクリアできるか考えることです。ターミナルケアを行うかの判断は、命に関わる責任ある難しい決断になります。自分のためにも家族のためにも、ターミナルケアに関する考えは終活の一環として、早いうちから話し合っておくことをおすすめします。

今日のポイント

  1. ターミナルケアとは、終末期における医療や介護を中心とするサポートのこと
  2. ターミナルケアの4つの種類は「身体的ケア」「精神的ケア」「社会的ケア」「家族のケア」
  3. 自宅でターミナルケアを行うメリットは、本人も家族も安心して過ごせること
  4. 病院や介護施設で24時間体勢で急変時もすぐに対応してもらえることと家族の負担が軽減されること
  5. ターミナルケアの問題点は行うかの判断がほとんどの場合、家族に委ねられてしまうこと
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【監修】池原充子(終活専門相談員)

池原充子

これまでの略歴

身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了

兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒

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