住宅贈与の税金の仕組みを知ろう

住宅を遺族に「お任せする」はダメ

住宅贈与の税金の仕組みを知ろう01

終活を行う上で、住んでいる家をどうするかはとても大切な問題です。

「家族に任せる。いらなければ売ってもらって構わない」とお考えの方にぜひ知っていただきたいのが、不動産の名義変更にかかる税金や手続きについてです。

不動産にかかる相続税

まず不動産を相続すると当然ですが、相続税が発生します。しかも相続税はその不動産の評価額に対して発生するため、例え金銭は1円も手に入らなくても、税金の準備は必要です。

また、相続税には基礎控除額といい、相続財産の合計額が3,000万円+法定相続人✕600万円までは非課税で相続させることができます。

しかしながら、住宅を安易に相続財産に含めることで、この基礎控除額を超える可能性を高めてしまうのです。

名義変更にかかる税金や手続き

不動産はそれぞれ登記事項と呼ばれるデータが法務局によって管理されており、このデータの上でそれぞれ名義人が決められています。

不動産を売買するには、この名義人が行わなければなりません。したがって遺族がその住宅を売却したくとも、まずはこの名義人を変更しなければならないのです。

名義変更には登録免許税といった税金や、専門家に手続きを依頼した場合の手数料などがかかります。

住宅贈与で終活の準備を
税金や手続きの面から考えると、住宅を「家族に任せる」というのは、家族にとっていいことばかりではありません。 そこで、終活の準備として考えておきたいのが、住宅を生前に贈与する方法です。 実は住宅は生前贈与することで、様々な税金上の優遇措置を受けることができます。 住宅をどうするか、亡くなる前にぜひ考えてみましょう。

不動産にかかる税金の基本

まずは不動産を生前に譲る場合にかかる税金の仕組みから見ていきましょう。

不動産は、個人から個人に譲渡する場合、その代金が無償か有償かで、下記の税金が生じます。

  譲る側 受け取る側
無償(贈与) なし 贈与税
有償(売却) 所得税 なし

法人に対する譲渡する場合など、この扱いの限りではないケースもあるのですが、個人間で不動産を譲る場合は、通常はこのような課税関係となります。

つまり通常のルールでは、渡す方か受け取る方、どちらかに必ず税金が発生してしまうのです。 しかしながら、不動産のうち「住宅」については、生活する上での必要性が高いため、こうした税金のルールに対し「特例」が設けられ、一定の条件下を満たすことにより、無税で譲渡することができるのです。

誰に贈与するかで受けられる特例は変わります。

夫・妻に贈与する場合

まずは夫や妻に住宅を生前に贈与する方法をご紹介します。

一緒に暮らしている方がほとんどだと思いますので、名義だけ変更するイメージです。

夫や妻に住宅を贈与する場合は、贈与税の配偶者控除といい、2,000万円を課税価格から控除して贈与することができます。

また、贈与税にもともと設定されている基礎控除額が110万円ですから、他に贈与財産がない時は、2,110万円まで控除することが可能です。

この適用を受けるための条件は、

  • 婚姻期間が20年以上あること
  • 居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた人が居住を開始し、かつその後も引き続き居住し続ける見込みがあること

です。

贈与税の配偶者控除がおすすめパターン

自分の方が夫・妻よりも年齢が高いなどの事情から、配偶者に住宅を遺す可能性が高い場合に活用できる終活の準備です。

ただし、住宅の金額が上記の控除額を超える場合は、あまり得策とは言えません。

相続税の基礎控除額の方が、贈与税より高いためです。

また、相続税には配偶者控除があり、法定相続人が配偶者のみのケースであれば、ほとんどの場合において無税で相続させることができます。

子に贈与する場合

相続時精算課税制度の活用

相続時精算課税制度とは、60歳以上の直系尊属から20歳以上の子や孫に贈与を行った場合、2,500万円まで贈与税を課税せず、相続時に他の相続財産と合算して相続税を課税するという制度です。

配偶者控除と違い課税時期を先に伸ばす制度なのですが、高額な資産を早めに子に移転できることや、納税のための金銭を相続財産で準備できる点にメリットがあります。

また相続税の基礎控除額が、3,000万円+600万円✕法定相続人の数であることに対し、贈与税は110万円です。

相続税の基礎控除額の方が、贈与税よりも遥かに大きいため、もしこの住宅が相続税の基礎控除額内に収まれば、最終的に課税されないケースもあります。

ただし、110万円の基礎控除とは併用できません。

住宅取得資金の贈与の活用

もし、住宅が古くてその後に誰も住む予定がなければ、残しても遺族に処分の費用と手間がかかるだけです。

また、老親の1人暮らしは家族にとっては心配の多いものです。

できれば一緒に暮らしたいという気持ちは、お互いにあるのではないでしょうか。

しかしながら、小さなアパートなどでは親を迎え入れるゆとりがありません。

この場合、もし老後の生活資金にゆとりがあるときは、子どもにマイホームを購入するための資金を贈与してはいかがでしょうか。

この場合、「住宅取得資金贈与の特例」という制度を使えば、所定の金額まで非課税で贈与することができます。

これにより、子どもにマイホームを建ててもらい、その新居で一緒に生活するという活用ができるのです。

子どもにとっても、マイホームをスムーズに購入できるなどのメリットがあります。ただし、今ある住宅をそのまま子に譲る場合には使うことはできません。

あくまで、資金を贈与することが条件です。

さらに、古い住宅もなるべく早いうちに売りに出すことで、売却先も決めやすくなるでしょう。古い住宅を売却して利益がでなければ、所得税はかかりません。

仮に利益が出たとしても、売却相手が親族以外であれば、所得税の特例で3,000万円まで非課税で譲渡することが可能となります。(通称「マイホーム特例」

住宅取得資金贈与とマイホーム特例の併用で、古い住宅をスムーズに処分して、新しい住宅の資金を贈与してはいかがでしょうか。

住宅取得資金贈与の金額はいくら?

住宅取得資金贈与で非課税となる金額は年度で変わります。

住宅の取得等に係る契約の締結日 省エネ等住宅 左記以外の住宅
平成27年12月31日まで 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日~平成32年3月31日 1,200万円 700万円

ただし、消費税率が10%になると、この金額が再び上昇します。

予定どおり2019年10月から消費税率10%が施行された場合、平成29年4月1日時点で国税庁が発表している非課税枠は最大3,000万円となります。

住宅の取得等に係る契約の締結日 省エネ住宅 左記以外の住宅
平成28年1月1日~平成31年9月30日 1,200万円 700万円
平成31年10月1日~平成32年3月31日 3,000万円 2,500万円

国税庁によると、住宅取得資金贈与の申告人数は

平成27年分で約6万6,000人、平成28年分で約5万9,000人、平成29年分で約5万8,000人でした。

平成27年の人数が多い理由は、平成27年までの非課税額が高かったことが理由と考えられますので、2019年からは再び注目が高まる制度になることが予想されます。

住宅資金贈与を適用するための条件

住宅取得資金贈与の特例を適用するためには、贈与を受ける子どもが以下の要件全てを満たす必要があります。

  • 贈与する年の1月1日時点で20歳以上であること
  • 合計所得金額が2,000万円以下であること

また、適用できる住宅にも床面積の要件や、中古住宅を購入する場合は、これに加えて築年数や耐震要件などが定められています。

相続時精算課税制度との関係は?
住宅資金贈与の特例は、相続時精算課税制度と併用することも可能です。 ただし、相続時精算課税制度と併用すると基礎控除額110万円は適用できなくなります。

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