法定相続情報証明制度はどんな人に必要?手続きや費用、一覧図の書き方や注意点などを解説

法定相続情報証明制度で相続手続きが便利になると言われますが、どんな人に必要かわかりづらいですよね。この記事では、法定相続情報証明制度とは何か、手続きや費用、一覧図の書き方や注意点などを解説します。

法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度はどんな人に必要?手続きや費用、一覧図の書き方や注意点などを解説01

遺産を相続したとき、その遺産を管理している機関に対し、手続きをしなければならないことがあります。

たとえば、預金を相続したときは銀行に預金を払い出してもらわなければなりません。

その際、銀行に対して

  • 預金口座の名義人が亡くなったこと
  • 自分たちが、その相続人であること

を書類で証明することが必要です。

「法定相続情報証明制度」とは、遺産の法定相続人が誰かということを関係先に証明するときに、必要書類の収集を簡略化するための制度になります。

制度を利用すると、登記官の証明付きの「法定相続情報一覧図の写し」を法務局から発行してもらえるようになり、これがあれば誰が法定相続人であるかを第三者に証明することができます。

法定相続情報証明制度は、平成29年5月29日から開始された、まだまだ新しい制度です。近年、空き家や所有者不明の土地などが社会問題となっていることから、相続人側の手続きの負担を軽くすることで、不動産の相続登記を促すねらいがあります。

出典:法務局ホームページ(http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html

「法定相続情報一覧図の写し」はどんな人に必要?

法定相続情報証明制度の利用は義務ではなく、利用しなかったからといって不利益はありません。

あくまで必要と思う人だけが利用すればよい制度です。

ではどのようなときに法定相続情報証明制度を利用するメリットが大きいかというと、相続関係を証明するために大量の書類を提出しなければならないときです。

たとえば、

  • 亡くなった人が複数の預金口座や証券口座をもっている
  • 亡くなった人が複数の不動産を所有している
  • 自身や他の相続人が多忙で、頻繁に連絡できない
  • 相続税の申告が必要になる

といった状況があれば、法定相続情報証明制度を利用することによって、関係書類を収集する手間を大きく減らせる可能性があります。

制度を利用することでどのくらい手続きが簡略化できる?

預金などを相続すると、亡くなった人の遺産を管理している金融機関に、「私たちがこの預金の相続人です」ということを証明しなければ、預金を払い出してくれません。

通常は「戸籍謄本の束」が必要
相続人であることを証明する際、通常は、亡くなった人と相続人全員の戸籍謄本等を提出することが必要です。 亡くなった人の戸籍謄本等については、最新のものだけでなく、出生から死亡までのものが必要となり、人によっては束のような枚数になることもあります。

むしろ、生まれてから亡くなるまで1つの戸籍にしか在籍していないというケースは珍しく、多くの場合、婚姻や転籍、戸籍の改製などで新しい戸籍が作成されています。
新しい戸籍には、制度上、前の戸籍から引き継がれない情報(除籍した家族など)があるため、すべての戸籍の情報を集めなければ、誰が法定相続人かを確定させることはできません。
そのため、出生から死亡までの戸籍謄本等が必要になるのです。 もし転籍を繰り返している人が亡くなった場合は、いくつもの役所に戸籍謄本等を請求しなければならないこともあります。 こうした役所への請求手続きは、必要な枚数を計算してなるべく一度の請求で済むようにしたいところです。
ところが、亡くなった人の郵便物を整理したり、メールを確認したりしていると、後から新たな通帳や証券口座などが出てくるケースはよくあります。もし戸籍謄本等の枚数が足りなくなれば、再びいくつもの役所に戸籍謄本等を請求したり、相続人に連絡をしたりして集め直さなければなりません。

「法定相続情報一覧図の写し」で「戸籍謄本の束」が必要なくなる

法定相続情報証明制度では、「戸籍謄本の束」の情報を「法定相続情報一覧図」にまとめて、登記所に確認をもらうことで、以後は、その写しだけで法定相続人が誰かを証明できるようになります。

これにより、戸籍謄本の束を何度も集める手間や費用がかからなくなります。

また書類を受け取る側も、戸籍謄本の情報を1枚ずつ読み解いていくより、内容をまとめた一覧図を見たほうがわかりやすいため、お互いにとってよい制度といえるのです。

「一覧図の写し」発行の手続きや必要な書類

それでは、法定相続情報証明制度の申し出をするための手続きについて解説します。

書類を集める

<必要書類> ・亡くなった人の戸籍謄本等(出生から死亡までのもの) ・亡くなった人の住民票の除票 ・相続人の戸籍謄本等 ・申し出をする人の確認書類(例:運転免許証のコピーなど) ※ 戸籍謄本等は返却してもらえます。 <場合によって必要となる書類> ・相続人の住民票の写し(※) (※)相続人の住民票の写しは、法定相続情報一覧図に、相続人の住所を記載している場合は必要。 なお、申し出のときは、上記に加えて ・法定相続一覧図 ・法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書(以下、「申出書」) が必要となります。 申出書には、印鑑が必要です。

登記所に申し出を行う

申し出ができる登記所は、次のいずれかの場所を管轄する登記所(法務局)になります。 ・亡くなった人の本籍地 ・亡くなった人の最後の住所地 ・申出人の住所地 ・亡くなった人名義の不動産の所在地 申し出は、登記所の窓口で行う方法と、郵送で行う方法があります。 郵送の際は、法務局のホームページから申出書をダウンロードして作成しましょう。 申し出ができるのは相続人のほか、弁護士や司法書士、税理士などの相続の専門家になります。

法定相続一覧図の写しを受け取る

法定相続情報一覧図の写しは、数日後に交付してもらえます。 交付を受けるには申出書に、必要な写しの枚数と、受取方法(窓口か郵送)を記載します。 なお、法務局のホームページによると、窓口で受取をする場合は、「申出書」に使用した印鑑を持参するよう注意が行われています。 郵送で受け取る場合は、返信用の封筒と切手を同封します。 もし、後に追加で法定相続情報一覧図の写しが必要になったときは、再交付の申し出もできます。

法定相続情報一覧図の作成方法

相続人が作成する法定相続情報一覧図は、次のようなイメージで作成します。

法定相続情報一覧図の記入例

出典:法務局HP「法定相続情報証明制度について」より
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001296105.pdf

被相続人とは、亡くなった人のことです。

・住所の記載は任意

住所の記載は、任意です。しかし記載することによって、住民票の写しの提出を必要とする手続きの際に、その提出を省略できるというメリットがあります。

住民票の写しは、不動産の登記などで必要になることがあります。問題がなければ記載しましょう。なお、記載する場合は、各相続人の住民票の写しを、登記所に提出しなければなりません。

・続柄の記載は「子」でもOKだけど・・・

亡くなった人と相続人の親子関係の続柄については、原則、「長男」「二男」「養子」など、戸籍謄本に記載されているとおりに記載しますが、一律に「子」とすることも認められています。

ただしこの場合の一覧図は、相続税の申告などに利用できません。

相続税の基礎控除額が養子の人数によって変わることがあるため、正確な続柄が必要になるためです。

・相続放棄をした人も載せること

相続放棄をした人がいても、一覧図には、他の相続人と同じように載せなければなりません。
あくまで戸籍謄本の情報どおりの法定相続人の図を作成します。

・自分で作るのは大変という場合は

「こんな図を自分で作るのは大変だな・・・」と思われた方は、法務局のデータを利用しましょう。下記のリンクから、家族構成別に、一覧図の様式を自由に使うことができます。専門家に依頼して作成してもらうことも可能です。

出典:法務局HP(主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html

法定相続情報証明制度の利用は、無料です。 申し出にも、法定相続情報一覧図の写しの交付にも、費用はかかりません。 ただし、
制度を利用するために用意する戸籍謄本等の手数料(役所に支払う手数料)の負担は生じます。

注意!一覧図の写しで証明できるのは法定相続人のみ

法定相続情報一覧図の写しで証明できるのは、法定相続人が誰かという情報だけです。

法定相続や遺産分割協議による相続であれば役立ちますが、遺言書による「遺贈」によって遺産を取得したときは、法定相続人は関係ないため、出生から死亡までの戸籍謄本等は必要ありません。

ただし遺言書があっても、一部の財産しか指定されていないことはよくありますし、全員で話し合って遺言書の内容とは異なる遺産の分け方を行うこともありますので、遺言書があっても、法定相続情報一覧図の写しが役に立つことはあります。

・手続き先が少なければかえってタイムロスに

法定相続情報証明制度を利用する場合であっても、戸籍謄本等は必要です。したがって、必ず一度はこれらの書類を収集することに変わりはありません。

加えて法定相続情報証明制度は、登記所に対して手続きを行うという手間があります。

もし、遺産整理がきちんと行われていて、1、2か所の機関しか手続きの必要がないことがわかっていれば、戸籍謄本等をその枚数だけ取得する方が、時間的には早いかも知れません。

・手続き先によっては返却に応じてくれることも

提出した戸籍謄本の束は、提出するときにきちんと手続きをすれば、後から返却してくれる場合があります。

相手が返却してくれるかどうかを確認して戸籍謄本の束を使いまわしながら手続きをするというのも不可能ではありません。

まとめ

法定相続情報証明制度とは、戸籍謄本の束を関係先に提出するときの書類収集を簡略化してくれます。

手続き先が多いほどメリットのある反面、一覧図の作成など手間がかかる部分もあるため、利用する必要があるかどうかは、よく検討しましょう。

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