親の不動産の売却は生前?相続発生後?売却タイミングで変わる税金を解説

生前に相続財産を整理する人が増えている

親の不動産の売却は生前?相続発生後?売却タイミングで変わる税金を解説01

遺産相続は、全ての人がいつか必ず考えなければならないことです。

特に最近は、生前にご自身が亡くなられた後の準備をされる方が増えていますから、遺産についてご家族で話し合う機会をつくることは、それほど難しくないことでしょう。

さて相続を考えた場合、多くの方が気になるのが「不動産」、特に「親の家」です。

特に、介護などでお子さんの家に転居されたり施設に入所されたりすると、親がそれまで住んでいた家をすぐに売却した方がいいのか、それとも相続してから行った方いいのか、売却するならいつまでにしたらいいのかというお悩みをお持ちの方は多いのはないでしょうか。

この答えを導き出すヒントとして、今回は、不動産を生前に売却したとき、相続後に売却したときの税金を解説します。

不動産を相続した時にかかる税金

財産を相続すると、その財産の「相続税評価額」に応じた相続税を負担する可能性があります。

不動産の場合、相続税評価額は、

・家屋・・・固定資産評価額

・土地・・・路線価等 で決まります。

「可能性がある」というのは、実際にいくら相続税を負担するかは、全ての相続財産がいくらか、法定相続人が誰か、実際に誰がいくら相続したかで決まるからです。 もし全ての財産が基礎控除額以下(3,000万円+600万年×法定相続人の数)であれば、いくら相続しても、相続税はかかりません。

相続した不動産を売却した時にかかる税金

相続した不動産を売却して得た利益には、所得税と住民税が発生します。

不動産を売却して得た利益とは、その土地や家屋を売った金額から、購入代金や購入するための手数料、売却するためにかかった仲介手数料、家屋についてはさらに減価償却費を差し引いた金額のことです。

購入代金や購入するための手数料などは、「取得費」といい、相続した不動産の場合、亡くなった方のものを引き継ぎます。

つまり、亡くなった方が購入した代金などが重要になるため、当時の売買契約書や領収書など、取得費が証明できるものは必ず所在を確認しておく必要があります。

取得費がわからない場合は、売却額の5%を取得費にすることとなります。

所得税・住民税は保有期間で税率が変わる

不動産を売却したときにかかる所得税・住民税の税率は、その保有期間が売却した年の1月1日において、5年を超えるかどうかで変わります。

・5年を超えるもの・・・所得税15%、住民税5%

・5年以下のもの・・・所得税30%、住民税9%

ただしこの保有期間は、亡くなった人が生前に保有していた期間を引き継ぐため、一般的には、5年を超えるケースが多いと考えられます。

相続した不動産を売却した時の特例

相続した不動産を売却したときは、次のいずれかの適用を受けることができます。

1相続税の取得費加算の特例
相続税を支払った人は、相続した不動産を一定期間内に売却すると、その相続税の一部を取得費に加算する(つまり売却した金額から控除する)ことができます。 一定の期間とは、相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までになります。 したがって、亡くなってから3年10ヶ月以内が適用期限になるケースが多くなります。 支払った相続税の全額を取得費に加算するわけではなく、支払った相続税のうち、売却した不動産分と認められる金額に限ります。
2空き家特例
亡くなった人が生前に暮らしていた家屋や土地を相続して、それを売却した場合、一定の要件に当てはまるものは、売却で得た利益の金額から最高3,000万円まで控除することができます。 つまり、「(売却収入)-(取得費等)-3,000万円」ということです。 これを「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」、通称「空き家特例」といいます。 空き家特例は、次の条件全てにあてはまる家を相続した場合に限られます。
「昭和56年5月31日以前に建築されたこと」
「区分所有建物登記がされている建物でないこと」
「相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと」

不動産を生前に売却した場合

親の不動産の売却は生前?相続発生後?売却タイミングで変わる税金を解説03

不動産を売却する場合は、持ち主の名義で売却します。

売却して得た利益に対する所得税・住民税がかかる点は、上記の「不動産を売却した時にかかる税金」と同じです。

したがって親の家を売却する場合、この所得税・住民税は親が負担することになります。

生前に不動産を売却した時の特例
生前の売却についても、空き家特例のように、3,000万円の特別控除の特例を受けられる特例があります。 「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」、通称「マイホーム特例」です。 適用するためには、住まなくなったときから3年を経過する年の12月31日までに売却するなどの要件がいくつかあります。

相続後の売却と生前の売却はどちらがお得?

税金はシミュレーションが重要
税金についてどちらの負担が少ないかは、相続財産がいくらあるか、特例の適用条件は全て満たしているかなどで、変わってきます。

したがって、個別にシミュレーションすることが重要です。 相続の窓口では、相続した場合と生前に売却した場合の税金の違いを無料試算できますのでお気軽にお問い合わせください。

固定資産税や管理の手間も考えよう

早期に売却するほど、固定資産税の負担や、掃除などの管理の手間はその分軽減されます。またご家族のもとや施設などで介護を受ける場合、不要になった不動産を売却して得た収入を、介護費用に充てるという考え方もあります。

こうした事情から、どちらが家族にとって生活しやすいかを考えることも大切です。

不動産を生前に売却するには?

他人名義の不動産は、いくら家族であっても勝手に売ることはできません。

ここで問題となってくるのが、高齢の親、認知症などを患う親など、1人で手続きをすることができない方の不動産です。

もし親の名義の不動産を売却する場合は、名義変更、代理人、成年後見制度、家族信託といった制度が活用できます。

活用できる制度について

名義変更
生前に子に不動産を渡し、名義変更をしてから、その子が財産を売却する方法です。 わかりやすい方法ではありますが、税負担に注意が必要です。

代理人
売却手続きを他人に委任して、代わりに行ってもらうものです。 親族のほか、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもできます。

成年後見制度
認知症や障がいなどで、判断能力に不安がある方の財産は、成年後見制度を活用して管理することができます。ただし、本人に損をさせるような行為は認められないため、処分には制限があります。またこの制度を始めると、その後も財産管理を任され、家庭裁判所に必要な報告しなければならないという負担が生じます。

家族信託
家族に財産の管理を委託する「信託契約」を使った方法です。委託を受けた親族は、その財産を個人間の契約の範囲で管理することができるため、契約内容によっては柔軟な運用ができるというメリットがあります。認知症対策として使う場合は、認知症を患う前に信託契約を結ぶことが最大のポイントとなります。

 

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【監修】池原充子(終活専門相談員)

池原充子

これまでの略歴

身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了

兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒

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