終活コラム "株式を相続したときの手続きと売却したときにかかる税金"

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そもそも株式を相続するってどういうこと?

株式を相続したときの手続きと売却したときにかかる税金01

株式とは、株式会社が発行する株主への権利のことです。

株主になりたい人は、その株式会社に出資を行い、その額に応じた株式数の株主となります。

株主には、会社の経営に関わることができる議決権と、その会社の利益を還元してもらう配当請求権の2つの権利があり、相続すると、これらを引き継ぐこととなります。株式には、上場株式と非上場株式があります。

上場株式とは

上場株式とは証券取引所に上場し、一般投資家が売買できる株式のことです。相続で多いのは、亡くなられた方が投資目的で保有していた上場株式を相続するものになります。議決権を行使しなければならない義務もないため、気にすることなく相続して構いません。

(相続した株式数が少ないため、もともと議決権がないこともあります。)

非上場株式とは

証券取引所に上場していない株式のことです。

非上場株式は中小企業の経営陣が全て保有していることが多く、経営に加わる人が相続することが多くなります。

株式を相続したとき・売却したときにかかる税金とは

株式には、相続したとき、売却したときに税金がかかります。

相続したときは相続税

相続税評価額に応じて、相続税を負担することがあります。ただし、全ての財産額の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば税金はかかりません。

売却したときは所得税・住民税

株式は、相続後に売却することもできます。売却によって得た利益には、所得税と住民税がかかります。

株式の相続税評価額とは

株式を相続したときの手続きと売却したときにかかる税金02

株式の相続税評価額は、1株あたりの評価額を計算し、それを相続した株式数で乗じて計算します。上場株式と非上場株式では、この1株あたりの計算方法が異なります。

上場株式の評価方法
1株あたりの上場株式の価額は、次のうちもっとも低い価額になります。
亡くなった日の最終価格
亡くなった日の属する月の最終価格の平均額
亡くなった日の属する月の前月の最終価格の平均額
亡くなった日の属する月の前々月の最終価格の平均額

上場株式は、証券取引所における売り注文と買い注文の量やその価格で取引値が絶えず変化します。 そのため、上記の4つから最も低い価額、つまり相続人に最も有利な金額で評価することが認められています。 最終価格の平均額は、取引所が示す毎日の終値の平均額のことです。

非上場株式の評価方法

非上場株式とは、上場株式のように、不特定の人が売買することがないため、取引値がありません。そのため、非上場株式は、「取引相場のない株式」という種別で計算を行います。計算はかなり複雑ですので、必ず専門家に相談して行ってください。

取引相場のない株式の計算方法

取引相場のない株式の評価方法について、まず全体像から見ると、大きく分けて

  • 原則的評価
  • 特例的評価

の2つがあります。

この2つは、その非上場株式を相続した人が、その会社の支配力をもつかどうかで変わります。たとえば、夫婦で経営する株式会社で、父親が60%、母親が40%の株を保有しており、父親が亡くなったことから、長男に全ての株が相続されたとします。

この長男は1人で50%を超える株をもつため、この会社の経営支配力を得たことになります。この場合、長男が得た50%の株式の1株あたりの評価方法は、原則的評価となります。

原則的評価

原則的評価では、さらにその会社規模から、評価方法を大会社、中会社、小会社の3つで分けます。 3つ(大会社、中会社、小会社)のどれに区分するかは、次の要素から决定します。

70人以上の会社 → 大会社
70人未満の会社 → 総資産価額、従業員数、直前期1年間の取引高に応じて、3社のいずれか。

会社の区分が决定したら、それぞれ次の方式で評価額を計算します。 それぞれに原則としての計算方式と、選択することもできる計算方式があります。

  原則 選択可
大会社 類似業種批准方式 純資産価額方式
中会社 類似業種比準方式と準資産価額方式を併用する方式 原則の方法で純資産価額方式をとる方式
小会社 純資産価額方式 類似業種比準方式と準資産価額方式を併用する方式

非上場株式の評価方法は、類似業種批准方式か純資産価額方式、あるいはその組み合わせで評価することとなります。

大会社の原則的な評価方法である類似業種批准方式とは、業種が似ている上場株式の1株あたりの配当金、利益、純資産をもとに、非上場株式の評価を行うものです。

小会社の準資産価額方式とは、総資産額と負債額の差額から計算した純資産価額から、1株あたりの評価額を計算するものになります。

特例的評価

たとえば相続した株式の割合が低く、他の同族株主の持ち株割合などを考慮してもその会社に支配力を持たない相続である場合は、その評価方法は特例的方式となります。

特例的方式では、配当還元額方式という計算方法を使用します。配当還元方式とは、その株式を相続することで得られる配当の平均金額を10%で還元する(つまり10倍する)ことで、相続した株式を評価する方法です。

株式の相続税評価額だけで税金は計算できない 相続税は、株式の相続税評価額に応じて負担額が決まります。 しかしながら、いくら負担するかは、全ての相続財産がいくらであるか、法定相続人が誰か、実際に誰がいくら相続したかで決まります。 したがって、株式の評価額だけで相続税が計算できるわけではありません。

相続した株式を売却した時にかかる税金

相続した株式を売却して利益を得た場合、所得税等の対象となります。

上場株式・非上場株式ともに、利益に対して20.315%(所得税と復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率がかかります。

利益とは、売却代金から、その株式の取得費(株式の取得価額や売却にかかった手数料など)を引いた金額で計算されます。株式の取得価額は、亡くなった人からのものを引き継ぎます。

売却時は相続税の取得費加算を

相続により取得した一定の財産は、相続後、一定期間内に売却した場合、その相続税の一部を取得費に加算することができます。 わかりやすくいうと、税金の計算をする際に、売却した収入から支払った相続税を差し引いてよいということです。 一定期間とは、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までのことをいいます。

取得費に加算できる相続税の金額は、売却した相続人本人が負担した相続税に、相続財産のうち売却した株式の価額の占める割合にあたる金額です。 ただし、この制度を使うには確定申告が必要となるので注意してください。

株式を相続したら名義変更を

株式を相続したときの手続きと売却したときにかかる税金04

株式は、相続しただけで株主にはなりません。

亡くなった人から相続人に名義を変更することで、はじめてその株式の株主となるのです。したがって株式の相続する場合は、名義変更を行わなければなりません。

上場株式の名義変更の手続き

名義変更の連絡は証券会社へ

上場株式を誰が何株もっているかという情報は、証券保管振替機構(通称:ほふり)という機関で一括管理されています。

以前、株式は株券という紙だったのですが、2009年1月の法改正によって、電子化された株式がスタンダートとなりました。

現在、誰が株主かという情報は、証券保管振替機構でデータ管理されています。

この証券保管振替機構の窓口となるのが、証券口座(株を保管することができる口座)を管理する証券会社等です。

したがって上場株式の名義変更を行うには、亡くなった人が証券口座を開設している証券会社に連絡します。

名義変更に必要な書類

名義変更には、証券会社等が求める書類を提出することとなります。 何の書類が必要かは、それぞれの証券会社等に個別に確認する必要がありますが、相続の場合、一般的に必要となるものは ・相続手続依頼書 ・被相続人(亡くなった人)や相続人の戸籍謄本 ・相続人の印鑑証明書 ・口座振替申請書 ・遺言書や遺産分割協議書(相続したことがわかるもの) などです。 多くの場合、連絡すれば名義変更のための書類キットを渡してくれます。

特別口座とは

もし2009年1月より前から保管している株券を、特に何もせずにそのままにしている場合、その株式は、信託銀行等の特別口座という口座で管理されています。特別口座とは、株式の電子化が行われる前に、証券保管振替機構に預けられなかった株券を、会社の株主名簿をもとに保管している口座です。 特別口座で管理されている株式の場合、その特別口座が開設されている信託銀行等に連絡をします。

非上場株式の名義変更の手続き

名義変更の連絡は発行会社へ

株式を発行した非上場会社に、名義変更を請求することになります。何株を持っているかなども、全て発行会社に確認することが可能です。

もし家族経営の場合で、経営者の方が亡くなってしまった場合は、「株主名簿」を事務所などで探しましょう。株主名簿の内容は、普段役員登記などを依頼している司法書士の先生に尋ねると、わかることがあります。

非上場株式の名義変更を行うには

名義変更に必要な書類は、その非上場会社に確認しましょう。

一般的なケースであれば、

  • 名義書換申請書
  • 被相続人(亡くなった人)や相続人の戸籍謄本
  • 相続人の印鑑証明書
  • 遺言書や遺産分割協議書(相続したことがわかるもの)

などです。

株式の発行元を調べるには

亡くなった方が「株をもっている」と言っているのは聞いたことがあるけれど、どこの証券口座に預けているかわからないというケースもあるでしょう。 ここでは、ご遺族で株式の発行元を見つけるためのヒントをご紹介します。

株券がある

株券の発行はなくなりましたが、既存の株券をそのままお持ちの方もいますし、現在も株券を発行することができる会社はあります。

したがって株券があれば、それは株式ですので、その内容を確認し、上場株式、非上場株式それぞれの手続きをとりましょう。

証券会社や信託銀行からの郵便物がある

上場株式は、証券会社等に開設した専用口座内で売買します。口座の管理先からは、1年間の取引状況を明らかにするための、年間取引報告書などが送られてきます。亡くなられた人の郵便物に、○○証券などのものがないか、確認しましょう。

株主総会の招集通知

株主であれば、株式を保有する会社から株主総会の案内が送られてくることがあります。あくまで参考ですが、会社の決算月は12月や3月にしている会社が多いため、2月から6月ころに送られてくることが比較的多いといえます。

メールなどで送付する会社もあるため、確認できればメールも見ておきましょう。

株主優待

上場株式では株主優待といって、その会社の製品や商品券などを年に1、2回ほど送ってくることがあります。

その会社と全く関係のないものを送る会社もありますが、「株主優待券」などと記載のものもあるので、探してみましょう。

株式の発行元がわかったら株式数と銘柄を確認しよう

株式を保管している証券口座がわかったら、まずは遺産相続の手続きのために亡くなった方が保有していた株式数と銘柄がわかる残高証明書を、発行してもらいましょう。

まとめ

今回は、株式を相続したとき・売却したときの税金について解説しました。

株式の相続で問題となりやすいのは、納税資金の確保です。

株式は相続した時点で金銭ではないため、納税資金は他の相続財産から補うか、自分で調達する必要があります。

特に非上場株式は、売却して納税資金を確保するような対応があまり考えられません。利益が出ている非上場会社だと、思わぬ高額な評価となることもあります。

相続の専門家に相談すれば、現時点での株式の相続税評価額の計算や、税額のシミュレーションなど代行を行ってもらうことが可能です。

上場株式、非上場株式ともに、なるべく早く専門家に相談しておきましょう。

さらに「株式がどこに保管されているかわからない」「色々なところに財産があって、探したものが全財産かどうかわからない」という時は、相続の窓口へご相談ください!

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