終活コラム "家族信託とは?家族信託のメリットや手順の注意点を徹底解説"

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家族信託とは

家族信託とは?家族信託のメリットや手順の注意点を徹底解説01

家族信託という言葉をご存知でしょうか。最近の終活セミナーでもこの家族信託をテーマにしているものも多く今注目されています。

家族信託とは、親族同士で結ぶ信託契約のことです。

高齢の親が、お子さんなど信頼できるご家族に、自身の財産を管理してもらう契約が一般的となります。

家族信託で大切な「信託」のキホン

家族信託とは、家族間で行う「信託」のことです。信託とは、信頼できる相手に財産等やその管理方法を「託す」契約をいいます。

この「信託」を家族間で行うのが、今回の「家族信託」です。

通常の契約は2者の意思表示で行われますが、信託契約では、次の3者が登場することに特徴があります。

  • 財産等を委託する人(委託者)
  • 委託される人(受託者)
  • 委託された財産から利益を得る人(受益者)

家族信託はこの役割を活用し、たとえば自分が亡くなったり、認知症になってしまって意思能力を失ったりしたときに、自分の財産をどう使うか他人に任せることができます。 自身が意思能力を失った後の老後の財産管理をしてもらうこともできますし、自身が亡くなった後に特定の親族の財産管理をして欲しいという契約にすることも可能です。

もし「私の財産を管理してほしい」という場合は、委託者と受益者はご自身で、受託者を信頼できるお子さんなどにすればよく、「私の財産を管理し、その中から月20万円ずつ妻に渡してほしい」という場合は、委託者はご自身、受託者は信頼できるお子さんなど、受益者は妻とすればよいのです。

このように家族信託とは、家族の形に合わせた柔軟な内容で契約できることに特徴があります。

銀行が行う家族信託もある?

信託契約では、委託者に親族以外を指定することもできますし、法人でも構いません。最近は信託銀行や不動産会社などで、信託契約を基盤とした財産管理のサービスが提供されるケースもあります。

銀行であれば預貯金、不動産会社であれば賃貸用不動産などの管理を受託し、契約内容にしたがって、受益者に渡すというものです。

このように第三者に委託するサービスも、家族間での財産管理を目的としている場合は、広い意味で家族信託と呼ぶことがあります。

家族信託のメリット

家族信託とは?家族信託のメリットや手順の注意点を徹底解説02

家族信託は、家族の形に合わせて柔軟な内容にできるため、どの家庭でも利用するメリットがあるといえます。

しかも委託者である親だけでなく、受託者であるお子さんにもメリットがあります。それぞれのメリットを見ていきましょう。

親のメリット

1(親のメリット)遺言書よりも確実に
亡くなった後のことは、遺言書を遺して決めることも可能です。 しかしながら遺言書の場合、その内容を相手が受け容れるかどうかまでは、自身で確認ができません。 たしかに遺言書は、特定の人に相続権を付与する効果があり、内容は最大限考慮されるべきという道義もあるのですが、その権利を放棄することは相続人の自由ですし、相続人全員が別の分け方がいいと言えば、最終的には従わなくてもいいのです。 これに対して、家族信託は生前に締結することから、相手がそれを受け容れる意思があるかどうかを生前に確認することができます。 相手が契約に応じれば、遺言書よりも確実に財産を遺すことができるでしょう。
2(親のメリット)特定のご家族の生活維持に
相続で配偶者やお子さんに財産を遺したとしても、もしその配偶者やお子さんがその財産をうまく管理できない場合は、財産を遺すだけでは不十分です。 もし家族信託を活用すれば、相続財産を特定のご家族のために管理するよう、信頼できる別の親族に委託することもできます。
3(親のメリット)二次相続以降の相続も決められる
家族信託では、財産を誰が相続するか指定することはもちろん、その財産を次に誰が相続するかまで指定することができます。 たとえば、財産を相続したお子さんが亡くなると、その財産は、お子さんの配偶者や、場合によっては、その配偶者の家系に渡っていくケースがあります。もし、ご自身の財産が他の家系に渡るようなら、お子さんが亡くなった後は、別の親族に相続させたいという方もいらっしゃるでしょう。 家族信託は、このようなニーズにも対応することが可能です。

子のメリット

1(子のメリット)親が認知症になった後の財産管理ができる
家族信託は、近年、相続対策として注目を集めています。 なぜ家族信託が相続対策と結び付くのかというと、そのキーワードはずばり「認知症」です。 「平成29年版高齢社会白書」で、認知症高齢者の推計データが公開されていますが、そこでは2025年には約5人に1人が認知症になるという推計(「認知症有病率が上昇する場合」のデータ)があります。
内閣府HP「平成29年版高齢社会白書」より https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_3.html かなりショッキングな数値といえます。
もし親が認知症になってしまった場合、財産管理の問題が生じます。 たとえば介護が必要となり、その費用を親の財産から工面したいと考えたとします。 ところが、親の財産を親の承諾なく使うということは、いくら子どもでも難しいのです。 たとえば定期預金の解約を親の代わりに行いたいと言っても、親の意思に基づく承諾が得られない状況では、受け付けてもらえませんし、不要な土地があるので売却しようとしてもできません。 運用中の株や不動産があったとしても、この運用を手助けすることもできません。 暴落を始めても売却できませんし、賃貸不動産に新しい契約者がやってきても、代わりに契約することさえできないのです。 つまり認知症や障がいなどによって親の判断能力が十分でなくなってしまうと、その後は、誰も財産を管理できない状況に陥ってしまいます。 しかしながら認知症になる前に、家族信託で「親が認知症になったら、財産の管理を子に任せる」という内容の契約を結ぶことにより、こうした財産の凍結を防ぐことができます。 委託する側は、認知症になった後の生活保障ができますし、受託する側も、いざと言うときに親の財産が凍結されることを防止できます。
2(子のメリット)成年後見人制度よりも柔軟に運用できる
認知症や障がいなどで判断能力が低下した方の財産を守る制度として、成年後見人(保佐人、補助人)制度という公的な制度があります。 家庭裁判所の審判を受けた人が、代わりにその人の財産を管理するという制度です。 この制度の趣旨は、判断能力が十分でない人が、悪い人に騙されて財産を不利な条件で売却させられたり、不必要な商品を買わされたりすることを防ぐことにあります。 したがって、その財産を減らす行為は基本的には認めらません。 もしそれを本人のために行う必要性が認められれば、実行できる場合もありますが、いずれにせよ裁判所の判断ですので、スムーズに運用管理ができるわけではありません。 さらに、この制度を使うと、全ての財産管理の責任を負い、その管理状況の報告なども必要になってきます。 これに対し、家族信託は個人間の契約ですので、どのような管理方法にするか自由に決めることができます。 成年後見人制度よりも手軽に始められ、かつ柔軟に運用できるということです。

家族信託を行う手順

手順1:信託契約の内容を決める

まずは何のために財産管理を信託するのか、その目的を定めて、管理してもらう財産、委託者、受益者を決めていきます。 特に家族信託は、信頼できる親族にお願いすることが前提ですから、誰を委託者にするかが非常に大切です。

手順2:信託契約を結ぶ

家族間の契約といっても、信託契約を締結していることは外部に示す機会が多いものです。 したがって、内容はきちんと契約書にする必要があります。 信託の目的や信託財産の目録など、必要な事項を漏れなく記載しなければなりません。

手順3:名義変更が必要になる場合も

家族信託を締結した後は、その契約内容に応じた管理を開始します。 もし不動産であれば、委託した親族への名義変更の登記も行う必要があります。

家族信託を行う注意点

遺留分に気をつけよう!

家族信託を行う上で注意したいのが遺留分です。

遺留分とは、法律で決められた最低限の相続権で、一定の親族に認められる権利となります。

もし遺留分を侵害する家族信託を行った場合、他の親族から遺留分に基づく財産分与の請求が為され、家族信託の内容どおりに相続が進まない可能性が高いです。

また、そのような信託をしたとわかれば、親族間でトラブルとなり、仲違いの原因にもなるかもしれません。

したがって、家族信託を行うときは、それぞれの遺留分に配慮しましょう。

契約書の作成

家族信託は、専門家に依頼せずとも行うことができますが、最大の注意点は契約書の書き方です。

契約書で大切なのは、その内容で本当に登記ができるか、また民間の金融機関や不動産会社などが信用して動いてくれるかという点になります。

契約書を公正証書にすることで、書式に不備があれば教えてもらうことはできますが、こうした契約書の効果まで責任を負ってくれるわけではありません。

相続税対策と併行して行う。家族信託とは財産管理の方法で、相続税対策とは別物です。 信託の内容としては問題なくとも、節税の観点から見ると、非常にもったいない分け方をしているということはよくあります。 したがって家族信託を行うには、相続や信託の税制に関する知識も必要です。

まとめ

家族信託は、必ずしも専門家に依頼する必要はありません。

しかしながら、書類などが不十分で、銀行などから「お父様と本当にそんな契約を結んでいるのですか?」と疑われてしまったら、全く意味がないものとなってしまいます。

また家族信託の内容は、相続税対策や遺留分を考慮した内容に仕上げる必要があるため、トラブルがない契約にするためには、相続に関する専門知識が不可欠です。

家族信託は、まだまだ利用されている方が少なく、対応実績のある専門家も少ない状況といえます。家族信託のご相談はこちら

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