在宅医療のメリット3つ|仕組みや条件・費用・サービス内容を徹底解説!

在宅医療は、前向きな治療の選択肢として注目を集めています。注目を集めている理由は、通院する負担がなくなり、安らげる自宅で治療してもらえること。患者本人にとっても家族にとっても、メリットがたくさんあります。一方で、「在宅医療はお金がかかる、大変」というイメージを持っている人もいるでしょう。

確かに、在宅医療を始めるには初期費用がかかったり、家族のケアが必要になったりと課題もあります。
それでも、在宅医療を選択して本当に良かったと感じている人が多いのも事実です。今回は、在宅医療を検討している人に向けてメリット3つをご紹介します。在宅医療をサポートするサービス内容や費用、在宅医療クリックを選ぶときのポイントや手続き方法もまとめているため、ご参考にしてください。

在宅医療とは?

在宅医療のメリット3つ|仕組みや条件・費用・サービス内容を徹底解説!01

在宅医療とは、自宅に医師を招いて診療してもらうことです。自宅だけでなく、介護施設や老人ホームへ訪問診療することも含まれます。

訪問診療の頻度は、月1〜4回が一般的。患者の健康状態や診療内容に合わせて決定しますが、月2回(隔週)が最も多くなっています。

緊急時には医師や看護師が駆けつけてくれるため、自宅で突然体調が悪くなっても安心です。

在宅医療を受けられる条件

在宅医療を受けられる条件は、原則として「一人で通院できないこと」です。年齢や病名などは関係なく、通院が困難な場合は在宅医療を受けられます。

一人で通院できる人が在宅医療を望む場合は、保険外診療として対応してもらえることもあります。

在宅医療で受けられる処置

在宅医療で受けられる処置は、定期診療、簡易検査、指導、薬の処方などです。点滴注射や心電図検査などできるため、通院するのと同じような治療を受けられます。ただし、医療機械を使用する検査や、大がかりな手術などを受けることはできません。

医療機械を使用する検査や大がかりな手術が必要となる場合は、通院か入院する必要があります。

在宅医療のメリット3つ

在宅医療は、患者にとっても家族にとってもメリットがあります。大変なこともありますが、それ以上の価値を感じている人がたくさんいるのです。

在宅医療のメリット3つをご紹介します。

経済的負担の軽減

在宅医療は、費用が高いイメージを持たれがちです。しかし、実は通院と在宅医療との費用に大差はありません。どちらも医療保険が適用されるため、原則として治療費は同じです。

在宅医療には訪問費用が加算されるため、その分が数千円ほど高くなるくらいです。家族の通院同行負担や交通費、時間などを考えると、通院よりも安くなる場合もあります。

在宅医療は通院の見えないコストも考えて計算すると、結果的に経済的負担が軽減される可能性が高いのです。

治療に良い効果が期待できる

病院で過ごすストレスは、意外に大きいものです。通院するだけでも、行き帰りの手間や待合時間の長さなど、負担はかかります。結果、通院が億劫になり、病院に行かなくなってしまう人も少なくありません。

在宅医療では、自宅でのびのびと過ごしながら、定期的に診療や治療を受けられます。通院する手間も待合時間もありません。

自宅だと心が安らいで精神が安定しやすく、食欲が増したり睡眠がとれたりするメリットもあります。自宅でストレスなく療養できるため、治療に良い効果が期待できます。

家族と一緒に過ごせる安心感

在宅医療を受ける最大のメリットは、家族と一緒に過ごせる安心感を得られることです。特に患者が高齢者の場合、容態が急変するリスクは高く、入院中は家族が寄り添えないことも。

在宅医療では通常診療から治療、緊急時の処置、看取りまで幅広く対応してくれます。家族が異変に気づきやすく、病院の連絡も迅速にできるため、患者も安心して過ごせます。

末期がんなど余命が短い場合は、在宅医療を選択することで、残り少ない大切な時間を家族と過ごせるのも大きなメリット。家族と一緒に過ごせる安心感が、病気の回復に良い影響を与えることもあります。

在宅医療をサポートするサービス内容

在宅医療では、介護やリハビリなどが必要になることもあります。

家族だけで対応するのは難しいため、在宅医療をサポートしてくれるサービスは積極的に頼っていきましょう。在宅医療をサポートするサービス内容をご紹介します。

退院サポート

退院が決まったら、退院サポートを受けましょう。退院サポートとは、入院中に病院で受けていた医療についての説明を受け、在宅医療に切り替えるためのプランを考えてもらうことです。医師、看護師、在宅医療に関わるスタッフと患者、家族が同席して打ち合わせをします。

訪問看護

訪問看護とは、自宅に看護師を招いて医療や介護のサポートを受けることです。具体的には、薬の管理、入浴や食事の介助、在宅医療の助言などをしてもらいます。医師にはしにくい小さな相談や指導を受けることもでき、心強いサービスです。

訪問リハビリ

訪問リハビリとは、自宅に理学療法士や作業療法士を招いて、リハビリのサポートを受けることです。 介助方法の指導だけでなく、介護しやすい環境にするための相談にも乗ってもらえます。家族が外出などでどうしても患者を見守れないときは、ショートステイや介護ヘルパーに依頼する手段もあります。

在宅医療にかかる費用

在宅医療のメリット3つ|仕組みや条件・費用・サービス内容を徹底解説!04

在宅医療にかかる費用は、診療費、介護費、日常生活費、臨時出費を合わせたものになります。診療費と介護費は、医療保険や介護保険の適用になるものがほとんどです。在宅医療にかかる費用をそれぞれご解説します。

訪問診療代

訪問診療代は、在宅医療の基本となる費用です。医療保険が適用されますが、負担割合は年齢によって違います。

医療保険の負担割合

  • 70歳未満…3割
  • 70〜74歳…2割(高所得者は3割)
  • 74歳以上…1割(高所得者は3割)

訪問診療代は、病院や受ける医療内容によって変動しますが、医療保険の負担割合1割の人が月2回の訪問診療を受けた場合の費用目安は、月5,000〜12,000円くらいです。

医療費と薬代

医療費と薬代は、処置内容によって異なります。

通院と同じく医療保険が適用されるため、患者の年齢が高いほど負担割合は少なくなります(高所得者を除く)。なお、医療保険には「高額療養費制度」があります。

高額療養費制度とは、月の保険内治療の費用が一定額である自己負担限度額を越えると、一部が払い戻しされる制度のことです。自己負担限度額は年齢や所得によって違いますが、誰でも使える制度となっています。

在宅医療の訪問診療代、医療費、薬代などが高額になっても、高額療養費制度の対象となれば一定額以上の請求はされない(払い戻される)ため安心です。

介護サービス代

在宅医療で、介護サービスを受ける場合にかかる費用です。介護サービスは要介護認定を受けていれば、介護保険が適用されます。

介護保険の支給限度額や受けられるサービスは、要介護認定のレベルや自治体によって変わります。支給限度額の範囲内であれば、介護サービス代の費用の自己負担額は1〜3割です。

ただし、医療保険の「高額療養費制度」と同じく、介護保険にも「高額介護サービス費」という制度が設けられています。

介護サービス代が高額になっても、高額介護サービス費の対象となれば、一定額以上は払い戻しされます。

その他(自費診療、リフォーム代など)

在宅医療では、医療費や介護サービス代の他にも、以下のような費用が発生します。

  • 自費診療代(保険適用できない医療費)
  • リフォーム代(在宅医療するための手すり設置やベッド購入など)
  • 医療機器のレンタル代
  • 日常生活費(紙おむつなどの消耗品や介護食費用など)

合計でどれくらい費用がかかるかは、患者の年齢や健康状態、自宅の環境、介護保険の有無などによって大きく変わってきます。 リフォーム代や介護ベッドの購入などは、介護保険の適用となる可能性もあります。

自分ですべてを負担しようとするのではなく、医師や看護師、ケアマネージャーなどに相談して、各種保険を上手く活用することが経済的負担を減らすポイントです。

在宅医療クリニックを選ぶときのポイント

在宅医療クリニックとは、長い付き合いになります。選ぶときは相性を第一に、さまざまな視点を持って慎重に検討しましょう。在宅医療クリニックを選ぶときのポイントをご解説します。

自宅からの距離が近い

在宅医療の訪問診療ができるエリアは、医療機関から16km以内の範囲と決まっています。16km以内の範囲の移動時間の目安は、片道20分ほどです。

自宅からの距離が近いほど、緊急時の対応も早くなるため、安心できます。

在宅医療の実績や専門性

在宅医療に積極的で、実績があるクリニックを選ぶのがおすすめです。同じ病気や境遇を持つ患者の対応実績があると、より信頼できます。

対応可能時間

在宅医療でも、365日24時間対応のクリニックだと安心です。対応可能時間が限られている場合は、緊急時にどこへ連絡すればいいのか必ず確認しておきましょう。

在宅療養支援診療所を利用するのもおすすめ

在宅療養支援診療所とは、在宅医療のサポートに特化している機関です。

各地域に根ざし、患者の求めに応じて365日24時間、往診可能な体制を確保してくれます。緊急時に対応してくれる病院や医師を自分で探さなくても、かかりつけ医として速やかに医療機関を案内してくれるのが特徴です。

在宅療養支援診療所は全国にあるので、あらかじめ最寄りの場所を把握しておくと安心です。

在宅医療の手続き方法

在宅医療を始めるには、準備を整えなくてはいけません。特に介護保険の手続きは重要なので、専門家のサポートを受けながら取り組みましょう。

在宅医療の手続き方法をご解説します。

在宅医療の主治医を選ぶ

まずは、通院している病院に相談して、在宅医療の主治医を選びます。主治医を選ぶとき専門性はもちろん、相性が合っているかも大切です。自分で判断するのが難しい場合は、医療ソーシャルワーカーへの相談がおすすめです。

介護保険を準備する

介護保険を受けるためには、自治体に要介護認定の申請をする必要があります。

要介護認定は審査があり、自治体の調査員が自宅や施設等を訪問して聞き込みをしたり、主治医に主治医意見書を作成してもらったりします。要介護認定の結果が出るまでには、1ヶ月以上かかることも。在宅医療すると決めたら、早めに申請するようにしましょう。

ケアマネージャーに相談する

要介護認定のレベルが決定したら、ケアマネージャーを選びます。ケアマネージャーが決まったら、介護サービス計画書(ケアプラン)を一緒に作成します。

在宅医療で診療や介護サービスを受けるのに必要な書類です。

在宅医療の主治医と病院の連携をする

病院に依頼して、在宅医療の主治医に患者情報や診療情報提供書を渡してもらいます。在宅医療の主治医と病院の提携が済んだら、いよいよ在宅医療のスタートです。主治医や看護師、ケアマネージャーなどと打ち合わせをして、訪問診療の頻度や治療計画などを決定します。

在宅医療は家族みんなの絆を深める前向きな選択肢(まとめ)

在宅医療の最大のメリットは、患者と家族の経済的・心理的負担を軽減できることです。特に患者が高齢者の場合、通院や入院は身体的にも精神的にも大きなストレスを与えます。

在宅医療は高額なイメージを持たれがちですが、通院や入院にかかる手間、時間、交通費などを考えると、経済的な選択になることも。

安らげる自宅で家族と一緒に過ごせることは、病気の回復にも良い影響を与えることがあります。ただし、在宅医療は家族みんなのサポートが必要な選択です。

家族に迷惑をかけたくない、病院の方が安心だと、在宅医療に否定的な人もいます。大切なのは、家族でしっかり話し合って、お互いの気持ちや意見を尊重して決めることです。

医療保険や介護保険、民間の介護サービスなどの利用も考慮しながら、家族にとってベストな選択ができるよう、在宅医療を前向きな選択肢として検討してみてくださいね。

今日のポイント

  1. 在宅医療は前向きな治療の選択肢として注目を集めている
  2. 在宅医療を受けられる条件は「一人で通院できないこと」
  3. 在宅医療で受けられる処置は通常診療、点滴注射、心電図検査薬の処方など
  4. 在宅医療を受けるメリット3つは「経済的負担の軽減」「治療に良い効果が期待できる」「家族と一緒に過ごせる安心感」
  5. 在宅医療をサポートするサービスには訪問介護や訪問リハビリもある
  6. 在宅医療にかかる費用は医療保険や介護保険が適用されるものばかり
  7. 在宅医療クリニックを選ぶときのポイントは家から近く、実績や専門性があり、365日24時間対応しているところ
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【監修】池原充子(終活専門相談員)

池原充子

これまでの略歴

身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了

兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒

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