【ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」あなたなら、手術同意書にサインできますか?】 みんな、終活一年生

【ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」あなたなら、手術同意書にサインできますか?】

こんにちは。終活プロデューサー(終活P)の池原充子です。 惜しまれつつ大団円で終わったNHKプレミアム日曜夜10時のドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」。毎週楽しみに見てました。 父の突然死、母は緊急手術から車いすユーザーへ、弟はダウン症、祖母は認知症。

「いったい、前世で何をしでかした?!」とツッコミたくなる、これでもか!と言うほどの不幸の連続なのに、当人たちは地に足つけて、笑いに昇華しながらしっかり生きている岸田奈美さん原作のほぼ実話の家族ドラマです。

その中に、終活プロデューサー(終活P)として見逃せないシーンがありました。それは母の緊急手術に関する同意書について。

(ドラマの第二回目で、母ひとみが大動脈解離になり緊急オペをしなければ命が助からない。しかし手術をすると、障害が残る可能性があると担当医から告げられ、一瞬悩んだけど手術同意書にサインをする娘の七実。命はとりとめたが、下半身不随となってしまった母と術後初めて外出したシーンでの会話。)

七実:「ごめんな。わたしが手術同意書にサインしたせいで、ママ死ぬより苦しい思いしてる」

ひとみ:(マフラーに顔をうずめて嗚咽)

七実:「一緒に死のか」 七実は、自分が手術同意書にサインをしてしまったがために、とてもアクティブだった母ひとみが、手術の後、歩けない体になり、「死にたい」と絶望してしまうシーンです。

この手術同意書と同じぐらい重い責任が伴う書類。終活界隈の方なら、ピンと来るんじゃないでしょうか?そう、 延命治療の意思確認書(同意書) です。

私の知人も、母親の延命治療をどうするか?と担当医から聞かれ、お姉さまと話し合った結果、「延命治療を望まない」と伝えました。ほどなくお母様はお亡くなりになったのですが、数年経った今でも、

  • 私が延命治療をしないと言ったから母は死んだのだ。
  • 私が、母を、死なせてしまったのではないか。

という思いが、「いまだに頭から離れない」と言います。そして、お母様がいなくなってしまった実家を片付けることもできないまま、時間がどんどん過ぎていくと言っていました。

延命治療の希望について、本人の意思を聞いていたとしても、その決断をするのは、ご本人ではなく、家族ですよね。担当医が「延命治療について」聞いてくるときは、ご本人はしゃべることができない状態なので。 大切な人の命を止めてしまうかもしれない。その重みがどれほどのものか、想像してみてください。

実際、尊厳死の勉強会で、「母は延命治療はしないと言っていた」と娘さんが担当医に伝えたのに、 「それは、その時のお母様の意思ですよね。今は変わってるかもしれませんよね。」 と言って、延命治療を施された、という方のお話を伺ったことがあります。

ご本人の「延命治療はしない」という意思を実現するには、

  1. 本人の意思表示書
  2. 家族の同意
  3. 医者の同意

この3つが揃わないと、できません。なぜ意思を書いた書類があっても実現できないのか?それは、日本には、尊厳死を認める法律がまだないからです。今週、私が主任相談員をしている終活相談にも、

  1. 「延命治療について聞きたい」というお電話
  2. 「意識不明などになったときに医療行為を受けたくないことを書面で表明することは可能ですか。」というメール

立て続けに2件同様の問い合わせがありました。上記1.についてはきちんと解説したいので、後日またお話したいと思います。上記2.については、2種類の書類があります。

1.日本尊厳死協会の会員となり、リビングウィルを書く。

リビング・ウイルとは(公益財団法人 日本尊厳死協会ホームページより) 回復の見込みがなく、すぐにでも命の灯が消え去ろうとしているときでも、現代の医療は、あなたを生かし続けることが可能です。

年会費2,000円(終身会員70,000円)で会員になり、日本尊厳死協会発行の会員証とリビング・ウイル(人生の最終段階における事前書)の原本証明付コピーが送付されます。 これを医療機関や医師に提示すれば、医療行為を受けたくないという意思が受け入れられやすくなります。

2.公証役場で、尊厳死宣言公正証書を作成する。

Q3. 「尊厳死宣言公正証書」について、説明してください。(日本公証人連合会のホームページより) 「尊厳死宣言公正証書」とは、嘱託人が自らの考えで尊厳死を望む、すなわち延命措置を差し控え、または中止する旨等の宣言をし、公証人がこれを聴取する事実実験をしてその結果を公正証書にするものです。

かかる費用は、基本手数料が11,000円、正本代が約750円(正本1枚につき250円かかりますので、署名用紙1枚含め正本3枚とした場合は、正本代750円となります。)の合計11,750円ぐらいですが、公証役場のホームページからお借りした言葉なので、言葉が難解ですよね。

もう少しわかりやすい言葉で言い換えると、 回復の見込みのない末期状態になった場合、延命治療をしないという本人の意思を公的証書にして医療機関に見せることにより、意思を理解してもらいやすくする。 です。

どちらの書類も、「絶対できますよ」ではなく「受け入れられやすい」とあいまい感満載ですが、それは、先ほども申し上げた通り、 日本には、尊厳死を認める法律がまだないから というのが理由です。

とはいえ、医療現場では、尊厳死の意思表示を示した場合、医師の尊厳死許容率は、9割を超えているので、 控えよ、この紋所が目に入らぬかっ! という「黄門さまの印籠」に近い効力を発揮するのではないかと思います。

もちろん、エンディングノートに書いておかれてもいいですが、書くだけじゃなくて、ご家族や関係者にご自分の気持ちを話しておいてくださいね。「延命治療は望まない」にチェック入れるだけでは、家族は決断できませんよ!そして実行力を高めるには、ご紹介したような公的な書類を用意しておくのがベストです。

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