【ちょっと死ぬだけ?!】看取りのドキュメンタリー映画「生死(いきたひ)」をご存じですか? みんな、終活一年生

【ちょっと死ぬだけ?!】看取りのドキュメンタリー映画「生死(いきたひ)」をご存じですか?

こんにちは。終活プロデューサーの池原充子です。

昨年見にいくはずだった看取りの映画「生死(いきたひ)」(監督:長谷川ひろ子氏)。1年の時を経て、先日見ることができました。

生死(いきたひ)

この映画は、監督である長谷川ひろ子さんが、漢方の薬学博士である夫、長谷川秀夫さんを自宅で看取ったことを中心に、さまざまな看取りに立ち会った方々の姿を追ったドキュメンタリー映画です。

商業映画では絶対に見ることができない末期がんの症状や、他界されたご主人の安らかなお顔などが映し出され、会場ではすすり泣く声があちこちから聞こえてきました。

以前申し込んだ時はコロナ禍で中止となり、その後も機会があれば、と思って長谷川ひろ子監督のFacebookを追いかけていたのですが、あまりにもきらきらと輝いている投稿が私にはまぶしすぎて正視できない時期がありました。しかし、昨日映画を拝見して、監督のお話を聞いて、ようやくその投稿の意味が分かりました。

それは、「亡くなった人は、残してきた人の幸せを願っている。だから自分が幸せに生きている姿を見せることが、亡くなった方への一番の供養なんです。」という言葉を聞いたからです。無理に笑顔を作ったり、自慢したり、リア充に見せるためにキラキラ投稿をしているのではなく、こういう思いが根底にあるから、「いただいた命、今、この瞬間を無駄にしないように」この世の様々な事象に心を震わせ、波長を合わせていらっしゃるんだなと。

ご本人は、ご自身のことを、喜び体質 とおっしゃっていました。どーせ生きるなら、辛いより楽しい方がいい。みんな幸せになりたいですものね。私もかなりポジティブシンキングですが、「喜び体質」という言葉には完敗です。

ご存じかと思いますが、国連が世界各国の幸福度のランキングを示した「World Happiness Report 2021」では、日本は56位。物質的、経済的には、世界の中でもトップクラスなのに、自身が幸せか?と問われると、幸せではないと感じる人がとても多い。その理由を、PRESIDENT Onlineでは、次のように述べています。

上位10カ国のうち9カ国が欧州であることから、調査項目の特性、文化的背景や国家の性格など欧州の国が上位に入りやすい傾向があるとの指摘もあります。また、たとえば日本人はアンケート調査で自己評価を低めに申告しがちで、この世界幸福度ランキングがどこまで正確なのか議論の余地もあります。

その中でも確実にいえることがあります。私たちの幸福度には、人生で何をするかを選択できる「自由度」と、相手を受け入れて人とのつながりを作る「寛容さ」が影響する。これは、心理学や幸福学などのさまざまな研究から間違いないところです。

「World Happiness Report 2021」の調査で、日本は調査6項目のうち、その「自由度」と「寛容さ」が上位10カ国と比べ低いことがわかりました。 日本が世界と幸福度格差を埋めるためのポイントは、「自由度」と「寛容さ」にあると科学的にもいえるでしょう。

(出典:「世界56位」日本が幸福度ランキングで毎年惨敗する根本原因)

この見解が正しければ、とかく世間体を気にする日本人が、幸福度ランキングで上位に挙がってくることはなさそう。欧州に負けっぱなしも悔しいなぁ。じゃあ、手っ取り早く、幸せな毎日を過ごすにはどうしたらいいんだろう?それは、ずばり、終わりを意識して生きることです。

普段私たちは、死を意識することなく日常生活を送っていますが、映画「生死(いきたひ)」の中でも、

「されば先ずは臨終の事を習うて後に他事を習うべし」という日蓮上人の言葉が紹介されているように、仏教では、生と死は表裏の関係性で、すぐ隣りにあるものと教えられています。それを 生死一如(しょうじいちにょ) と言います。しかし死を考えることは怖いですよね。

なので、長谷川ひろ子監督は、「今皆さんと私はお互いに見えていますよね。それは有形と有形の関係です。しかし、その関係性はいつまでも続かない。有形と無形の関係へ変化するのが【死】なんですね。(つまり見えないだけで、関係性は続いている)」

「私たちはたくさんの【死】に支えられて生きている。食べ物もそう。たくさんの命を犠牲にして生きていくことができる。だから食べた自分をちゃんと生かす。大切にする。そうしないと、命を犠牲にした彼らが浮かばれませんよね。」 とおっしゃいました。

そして、究極は、「ちょっと死ぬだけ。」なんですよー。と。いや、ちょっと死ぬだけ、って。でも、まあ、見えない境界線をひょいっと超えるだけで、違う世界(他界)へ行き、そこでまた新しい人生が始まるのだ、と考えれば、新しい世界へ旅立とうとしている人を無理にこの世に引き留めることはできないかもなー。という思いに至るのではないかと。

「いや、そんな考え方、到底受け入れられない、わからない」という方もいらっしゃると思います。それはその方の死生観なので、正解はないんです。ただ、苦しくなったり、迷ったりしたら、このような考え方もあるよ、こういう死生観もありなんだよ、ということを知っているだけでも救われる瞬間があるかもしれません。

そして、人生の最後を過ごす場所は?自分で選べるんですよ?病院だけなじゃく、自宅で最期を迎えるという選択肢もあることを忘れないで欲しいなと思います。

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