【ひと味違う沖縄の葬送事情】弔い方に正解はあるのか?先祖供養とは?【後編】 みんな、終活一年生

【ひと味違う沖縄の葬送事情】弔い方に正解はあるのか?先祖供養とは?【後編】

こんにちは。終活プロデューサー(終活P)の池原充子です。 【前編】からの続きで、先祖崇拝と仏教が混ざり合った沖縄の葬送事情についてお話します。主人の里である沖縄への旅、今回のミッションは3つ。

  1. 主人の父方の祖母がいるケアハウスで面会(沖縄本島)
  2. 主人の父方のご先祖様の墓参り(沖縄本島)
  3. 主人の母方のご先祖様の墓参り(伊是名島)→今日はココ

沖縄本島にある主人の父方の先祖代々のお墓で、全く宗教色と言うか仏教色が感じられないお墓を見て、「戒名はあるのに、お墓にも位牌にも書かれていない。どこに書いてあるのか?」の謎は、3つ目のミッションで明らかになりました。

仏教色がまるでない仏壇と位牌(トートーメー)

沖縄北部にある運天港よりフェリーに乗り、約1時間。主人の母の里である伊是名島(いぜなじま)に到着。海の色が、本島と比べて格段に青い。海の底まで手が届きそうなほど近く見えますが、意外と深いので、落ちないように気をつけないと。

(ところどころ色が濃くなっているのは、サンゴ礁) 伊是名島には、主人の母の兄弟姉妹が住んでいるので、まずは、ご先祖様のお仏壇にご挨拶。

(沖縄の仏壇) 島の住居は、どれも建て方が似ていて、方角や間取りもほぼ同じです。日当たりが一番いい部屋が一番座(いちばんざ)といって、床の間がある部屋。その隣の二番座(にばんざ)と呼ばれる部屋に仏壇があり、中央に位牌が置いてあります。(位牌(トートーメー)には先祖代々のお名前が書かれている)

上段に置かれている赤い板状のものが、位牌(トートーメー)と呼ばれるもので、お墓に入っているご先祖様の名前が書かれています。戒名ではなく、俗名です。そして驚いたことに、数代前の女性は、名前も書かれていません。

墓には入っているのに、名前も残っていない。一昔前の沖縄での女性の立場がよくわかる歴史遺産だと思いました。 これ、実物を前にすると、「仏壇」と言うより、「神棚」に近い感じです。お線香はあるけど、「ろうそく」や「おりん」はありません。

仏壇の前に座って感じたことは、沖縄ではご先祖様は、ご神木や磐座(いわくら)(岩に対する信仰)、海、大自然の神々と同じように尊い存在で、仏と神を合体させたような精霊(せいれい)的存在なのではないか?今まで一緒に過ごしてきた大切な人が、「この世からあの世へ移るとき」の儀式として仏教の「戒名」や「お経」が必要で、その後は、子孫たちを守る神様となるのでは? (神様と仏様は、本来別ものですが、沖縄ではそんなことは誰も言及しませんし、問題ではないのでしょう。)

しかも、つい数十年前までは、七回忌で、「骨を洗って、骨壺に納める」(いわゆる洗骨)という儀式があったらしく、教、宗、派にかかわらず、「ご先祖様のために良いと思われるものをすべて取り込んでいる」のではないか? (宗教のいいとこどり=チャンプルー(沖縄の言葉で混ぜるの意)

島の歴史や民俗風習が色濃く反映された沖縄の葬送事情は、とても奥が深いです。ちなみにお線香は、一般的な緑の細いものではなく、黒い平べったいものです。ヒラウコーと言うそうです。

左が沖縄の線香ヒラウコー、右は本州で一般的な線香。写真は、供養ギャラリーMemorialさんからお借りしました。

これが沖縄の亀甲墓(かめこうばか)

そして、身内の道案内が無ければ、到底たどり着くことができない墓参りへ。ここはジャングルか?と思うような生い茂った木々の道を降りて、フツーに生えている島バナナを横目に見ながら、お墓に到着。

(墓の周りにたくさん生えている島バナナ。地元民は誰も収穫しない)

(亀甲墓。左隣は、空き墓。もう何年も空いたまま。)

ご覧の通り、デカいです。亀甲墓(かめこうばか)は、女性の子宮を模したもので、「死んだら子宮に還る=生まれ変わる」という由来があるそうです(諸説あり)。

墓の中は、3、4畳はありそうな広さで、中には伝統工芸品のような大きい骨壺(厨子甕(ずしがめ))が並んでいるそうで、「骨壺の蓋の裏に、戒名が書いてある」

(主人の母談) と言うではありませんか。位牌や墓石などの見えるところに書いてないけど、戒名はいただいている。やっぱり、「先祖崇拝(精霊)」と「仏教」の「いいとこ取り」をしているのではないか。

そして、 これこそが、市井の人々の弔いの原点 なのではないかと。

どの宗教が一番とか、どの宗派が正しいとか、そんなことは関係なくて、 ただ、大切な人が、「あの世でも幸せでいて欲しい」という純粋な思いこそが本来の弔い。

だから、いいと思ったものはすべて取り込んできた結果、今のスタイルになったのではないかと思いました。 沖縄の骨壺、厨子甕(ずしがめ)や棺を運ぶ龕(がん)を実際に見ることができる伊是名島の民俗資料館ので様子は、次回【番外編】でご紹介したいと思います。

戒名を生前いただいている、宗教、宗派が分かっているのであれば、エンディングノートに記載するか、ご家族へ伝えておいてください。宗派の確認は葬儀の際、必ず葬儀社さんから聞かれますので。

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