【僕の死に方】流通ジャーナリスト金子哲雄氏の著書から見る「やってよかった終活」とは?みんな、終活一年生
【僕の死に方】流通ジャーナリスト金子哲雄氏の著書から見る「やってよかった終活」とは?
こんにちは。終活プロデューサー(終活P)の池原充子です。流通ジャーナリストの金子哲雄さんが書いた衝撃的なタイトル「僕の死に方」を2年ほど前に読んだのですが、久しぶりにもう一度読み返してみました。
見事な最期、としか言いようがない。 こうも見事に自分の死を演出することができるものか? 自分が同じ状況だったら?同じことができるだろうか? 読み終わった後の素直な感想です。
金子さんは、「普通の主婦の視点」を常に意識して、国際経済からスーパーのお得情報を解説できる稀有な存在でした。流通ジャーナリストという唯一無二の立ち位置を確立し、メディアでも活躍していたので、覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その金子さんが40歳で余命宣告された病名は、「肺カルチノイド」という悪性の腫瘍でした。「僕の死に方」には、本当に心に響く言葉がたくさんあるのですが、金子さんが死ぬ一か月前、よく口にしていたのは、「生きることと死ぬことって、やっぱり同じだよな」という言葉だったそうです。
金子さんを在宅で看取った奥様である金子稚子さんが、あとがきでこの言葉に触れています。「生と死の狭間に生きる金子に寄り添い、私も共に生きることで、感じたことがあります。「死」は、決してゴールではない、ということです。(「僕の死に方」あとがきより)
金子さんは、生きることと同じように死に対しても一生懸命取り組んでいたそうですが、稚子さんが言うには、「自分の終わりを意識して、死後の始末をしていたのとは、ちょっと違う」そうです。その意味は、稚子さんがこのように解説されています。
「常に、今、与えられている環境で、全力で生きる。これをずっと実践し続けられた人でした。金子にとり、「死」もまた、通過点に過ぎないような気がします。」
「生きていることが「善」で、死ぬことは「悪」。あるいは死ぬことは「敗北」。そんな考え方があることもわかっています。でも、この頃の金子には、生きることにも死ぬことにも、さほどの違いはなかったと思います。そして私も、父を在宅で看取り、さらに、金子とともに生きた経験から、生と死の境目は、線一本くらいの違いしかないんじゃないだろうか。そんなふうにも思うのです。あまり違いはない、と。」
病気でも、死に直面しているわけでも人たちには、この言葉の本当の意味が理解できないかもしれません。ただの気休めじゃないかと思う方もいるかもしれません。でも、私は、この言葉に非常に共感します。
仏教でも、生死一如(しょうじいちにょ)という言葉があり、生と死は紙一重、「死を見つめることが生を見つめることになる、死を解決することが、生を解決することになる」と言われています。 金子さんは、死を見つめることで、生を見つめることができ、「今、与えられている環境で、全力で生きる」ことができたのではないかと思います。
死を考えることは、決して縁起が悪いことではありません。 死は必ずやってくる未来。自分の人生の一部。今を全力で生きるためには、「死を考えること」は絶対に必要なことなのではないでしょうか?
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