【遺言書を書く上で忘れてはいけない「遺留分」について】みんな、終活一年生

【遺言書を書く上で忘れてはいけない「遺留分」について】今週の終活ウォーミングアップ

今週は、引き続き「遺言書その5 遺留分」です。

  • 一回目は、遺言書はなぜ必要?
  • 二回目は、遺言書の書き方~自筆証書遺言編~
  • 三回目は、遺言書の書き方~公正証書遺言編~
  • 四回目は、遺言書の書き方~法定相続分~

五回目の今回は、遺言書を書く上で忘れてはいけない「遺留分」についてお話します。

前回、誰がどういう割合で相続をするのか?という話をする上で重要な法定相続人

と「法定相続分」についてお話したのですが、もう一点、これを無視して遺言書を書くと、絶対もめる原因になるのが、「遺留分」です。

「遺留分」とは、簡単に言うと、「相続人の最低限の相続分」の事です。

「ん?最低限の相続分って、法定相続分と同じじゃないの?」と思われた方、するどい!法定相続分があるのに、最低限の相続分って、なに?と、ちょっと混乱しますよね。どうしてこのような制度があるかというと、

遺産相続では、「法定相続より遺言が優先される」という大原則があるからなんです。遺留分の事を考えず、遺言書に自分の想いを勝手に書く方は結構います(遺留分の事を知りながら、あえてもめごとの種を残していくという意地悪な方もいるかもしれませんが)。例えば、

長男に遺産を全て相続させる

と遺言書に書かれていて、相続人が、配偶者、子供二人(長男、次男)の合計3人だったとしたら、長男以外の、配偶者と次男は、法定相続人であるにも関わらず、一円も相続できない、という事態が起こります。この内容で、相続人全員が納得できれば問題ないのですが、もちろん、そんなわけないっ!ですよね。そういう時に、「相続人の最低限度の相続分」が法律によって守られているのが、民法1042条に定められている「遺留分」です。

遺留分でどれだけ遺産を相続できる権利が守られているかというと、ざっくり「法定相続分の2分の1」です。

配偶者は、本来もらえるはずだった、「法定相続分(1/2)の1/2=1/4」

次男は、本来もらえるはずだった「法定相続分(1/4)の1/2=1/8」を遺留分侵害額請求することができます。

上記の遺言書を書いた本人は、「配偶者は、介護の世話もあまりしてくれなかった。次男は都会に出てほとんど家に戻ってこない。

長男には、大学に行かせてやることもできず、晩年、介護でとても世話になったから、せめて遺産だけでも遺してやろう」という親心で書いたのかもしれませんが、何の根回しも話し合いもせず、独断でこのような内容の遺言書を遺してしまったとしたら、不公平感から、配偶者と次男の不満が上がることは簡単に想像できますよね。

家族の中で誰かに多めに遺産を残したい、という事であれば、遺留分を考慮することはもちろん、家族間で不満が上がらないよう事前に話し合いをしておくことがとても重要です。遺言書は、なんでも好きな事を書けばいいのではなく、残された家族が、困らないように配慮してあげることが大切で、そのためには、いきなり遺言書を書くのではなく、「こういった内容で書こうと思っている」とあらかじめ家族に理解してもらうために、話し合いができる雰囲気を作っておくことが何より大事だと思います。

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