【散骨とは?】みんな、終活一年生

【散骨とは?】今週の終活ウォーミングアップ

第一回:墓じまい、第二回:樹木葬と二週に続けてお送りしてきました。今週は、「散骨」についてお話します。

「散骨」とは、遺骨をパウダー状に粉砕した遺灰を、海や山などに撒くことです。従来のお墓に遺灰や遺骨を埋葬するのではないため、お墓を建てることもなく、墓守の心配もなく、ここ数年非常に人気が高まっています。

でも、ちょっと待って。皆さん、ご存知ですか?

お墓は、どこにでも建てていいのではないのです!好きなところへ遺灰を埋めたり、勝手に撒いたりすると、逮捕されます!

あまりご存知ないかもしれませんが、お墓は、「墓地として都道府県知事の許可をうけた区域」に作らないといけないという法律があるのです。(「墓地埋葬法」(以下、「墓埋法」昭和23年制定)

いくら本人の希望だからと言って、

「家の庭の桜の木の下」や、

「小さいころよく遊んだ海」

に勝手に撒いたりしてはいけません!

ただ、これは、「埋葬」する場合。

墓埋法によると、「埋葬」とは、死体を土の中に埋める事とされています。つまり、法律が制定されたときには、人が亡くなった後は、「埋める」ことが前提で、「撒く」ことは想定されていなかったのですね。

「散骨」は、「遺灰を撒く」ので「土の中に埋める」わけではありません。したがって法律上、埋葬とはいえないので、「墓地として都道府県知事の許可をうけた区域」という墓埋法の規定が及ばないのです。

さらに、もう一点。「遺骨や遺灰は、必ず埋葬しなければならない」とは書かれていない(驚!つまり、「埋めない(埋葬しない)」という選択肢をとっても違法ではないのですね。

「散骨は合法ではないけれども、違法とも言えないグレーソーン」といわれるのは、このような背景があるからなんですね。さすがに法律が作られてから70年以上も経ってますので、社会環境、家族のあり方などガラリと変わってしまった今では、法律が現実に追い付いてない感じがします。

散骨には、大きく分けて、海に撒く海洋散骨と山に撒く山葬がありますが、一般的に「散骨」というと、「海洋散骨」を指すほど、海に撒く方が圧倒的に多いそうです。海洋散骨の場合は、海に撒くため、船で沖合まで出る必要があります。

海岸から撒くと、海産物や漁業への影響があるかもしれないからです。ただ、せっかく散骨しようと船に乗ったのに、船酔いしてしまうと最後のお別れどころではなくなってしまいます。船に弱い方や、船酔いしないという自信がない方は、業者に代行を委託することもできます。

山葬の場合は、山の所有者に必ず許可を取る必要があります。勝手に撒くと訴えられるかもしれませんので、くれぐれも黙って撒かないように。山葬の際、くれぐれも注意して欲しい点があります。それは、遺灰を撒いた上に、葉っぱや土をまかないこと。

遺灰の上に土を撒くと、墓地以外で土に埋葬したとみなされ、違法となりますので、ご注意を!

どちらの場合でも、遺骨のまま撒くことはできません(←コレ、重要!)

必ずパウダー状に粉骨してから撒かないと、後で人骨が出てきたりしたら、それこそ警察沙汰になりますので、要注意です!

散骨のメリット、ディメリットについて簡単にみてみましょう。

・散骨のメリット

  • 海や山に遺灰を撒くので、自然に還ることができる
  • 遺灰を撒いてしまうので、お墓が不要
  • 従来のお墓のように管理費などが掛からない
  • お墓を建てるより費用が安い

・散骨のディメリット

  • 遺骨も遺灰も残らないので、どこに向かって手を合わせればいいかわからない
  • 散骨後、お墓を建てたいと思っても、遺骨も遺灰も残っていないので、埋葬できない
  • 海洋散骨の場合、船酔いする人は、最後のお別れが不本意に終わる場合がある
  • 骨のままでは撒けない。パウダー状に粉骨してしまわないと、後で人骨が発見されると、死体遺棄罪に問われるケースがある

散骨を選ぶ方は、自然に還りたいという意識が強い方が多いようです。子どもに負担をかけないように墓を作らないという想いも見受けられます。

散骨の費用は、山葬で3万円~10万円、海洋散骨で5万円~50万円と幅がありますが、とても重要な事を一言。散骨する前に、必ず、家族、親族に事前にお話をしましょう。

一度撒いてしまったら、もう手元には残らないのです。 あとから、「やっぱりお墓を建てて月命日に参りたい」と思っても、埋葬する遺骨がなければ、どうすることもできません。

もし、迷いがあるなら、すべて撒いてしまわずに、遺灰の一部を撒かずに残しておいて、その遺灰でお墓を建てたり、永代供養墓に埋葬したり、手元供養するという方法もあります。

どこに手を合わせていいかわからない、と後から後悔する方もいらっしゃいますので、いそがずに、ゆっくり時間をかけて考えればいいと思います。

次週は、手元供養についてお話します。

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