【ネットで故人の声を聴け】終わりを意識して生きるって、どういうこと? みんな、終活一年生
【ネットで故人の声を聴け】終わりを意識して生きるって、どういうこと?
こんにちは。終活プロデューサー(終活P)の池原充子です。終活とは、「終わりを意識して生きる」ことなのですが、日常生活では、ついつい終わりを意識して生きることを忘れがち。そんな方にお勧めしたいのが、「ネットで故人の声を聴け」という本です。著者は、ジャーナリストの古田雄介氏。
この本で取り上げられているのは、「故人の痕跡」つまり、持ち主が亡くなってから何年も経っているのに、インターネット上に残された故人のブログやホームページです。そこには、「死にゆく人々の本音」が綴られています。
紹介されている15人のホームページからは、「もっと生きたかったのに。」という声は聞こえてきますが、「命を大切にしろ」とか「俺の分まで生きてくれ」といった「上から目線」(この表現が正しいのかどうかわかりませんが)のメッセージはあまりないのが特徴的です。
「ブログを書いていたら余命宣告された」のか、「余命宣告されたからブログを書き始めた」のか、動機はそれぞれですが、言葉が大きく乱れることはなく、日々の心境が淡々と書き綴られています。
それはある意味、読む側にとって安心感でもあり、その言葉の後ろに大きな喪失感と絶望感が静かに控えているような怖さもあります。 そして、そのホームページを、とても丁寧に解説しているにも関わらず、肩入れするわけでもなく、近すぎず遠すぎず、絶妙な距離感を保ちながら故人の意思を紐解いている著者のジャーナリスト魂を強く感じた力作でした。
だからなのか、重いテーマにも関わらず、感情的になることもなく、冷静に読み進めることができました。 まだまだ続くと思われていた人生だったのに、
- 「余命を宣告されてしまった。」
- 「自殺しようと自ら命の期限を定めてしまった。」
- 「事件や事故に巻き込まれてしまった。」
自分がもし、その立場だったら、どうするだろうか? きっと余命を宣告されたら、絶望して自暴自棄になってしまうのではないだろうか?いや、時間があまりないのであれば、落ち込んでる暇はない。大切な人に大切なことを先に伝えないと、と思うだろうか?
そう思いながら読み進めていると、第7章で「41歳で余命を知った医師が残した死への記録」で、はっと思う記述がありました。「あの人に比べたら、自分にはまだ時間がある。」 (あの人とは、1985年日航ジャンボ機墜落事故で、家族に走り書きのメモを残した父親のこと) 自分の命が残りわずかだと知っても、絶望の淵にあっても、 「自分はまだましだ。できることをやろう。」 と思えるものなのか。
「守るべきものがある。」「守るべき人がいる。」ということは、これほどまでに、「最後まで生ききるためのモチベーション」となるのか。 「自分の思いを残し、誰かがそれに励まされる。」 これがまさに「命のバトン」と呼ばれるものなのか。 生きることはとても不条理で、「なぜ今死ななければならないのか?」「なぜ私なのか?」と聞かれても、納得できる答えはありません。
もし、自分が余命を宣告されたら、きっとこの本の15人のように、淡々と自分の思いを自分の言葉で綴っていくだろうなと思います。誰の目に留まらなくても、自分で「自分が存在した意味」を感じられれば、死後その痕跡が消滅しても、それでいいと私は思います。ただ、見られたなくモノだけは、早めに消しておこうかな。
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