【自分の人生なんだったんだ!死にたくない!】スピリチュアルペインに真っ向から立ち向かうには? みんな、終活一年生

【自分の人生なんだったんだ!死にたくない!】スピリチュアルペインに真っ向から立ち向かうには?

こんにちは。終活プロデューサーの池原充子です。 先日、兵庫県尼崎市で、映画「回眸(フェイモウ)」上演会がありました。この映画は台湾の台北にある大悲学苑(だいひがくえん)の法師たちが実践するスピリチュアルケア活動を記録したドキュメンタリー映画です。

一言でいうと、死にゆく人の心に寄りそった記録映画。この上映会主催者は、スピリチュアルケアの専門家である玉置妙優さん。

「玉置妙憂がどうしても伝えたいこと」より抜粋

書籍やテレビなどでもご活躍なので、ご存じの方もいらっしゃると思います。私はその上映スタッフとして参加し、初めて映画を鑑賞しました。率直な感想は、このシステム、日本でできないんですかっ?!です。

映画の中で、死を間近に控えた人たちの不安や恐怖に耳を傾け、安心して旅立てるように全力で支えようとする法師(尼僧)さんたちの姿に、ただ感動。そして、自分が最後を迎えるときには、こんな人にそばにいて欲しい、もしそばにいてくれたら、死の恐怖がどれだけ和らぐことだろう、と強く思いました。

宗教観、死生観は人それぞれなので、押し付けることはできません。しかし、死を目の前にして、全てが揺らいでいる。不安で不安で仕方ない。死への恐怖と一人戦っているような状況で、 「こうすればいいんだよ。これで救われるんだよ。」 と言い切ってもらえることは、非常に心強いのではないでしょうか? (まさか、この局面で、壺売りつけることもありませんし) 死を目の前にした人の心のケア(スピリチュアルケア)があまりに遅れている日本。

自分の死を目前にして、初めて「自分の人生は何だったのか?死にたくない!」と死生観を突き付けられる人が多い中で、台湾の大悲学苑(だいひがくえん)の法師のようなスピリチュアルケアの専門家が、自分の死に際にいてくれることの安心感は、何ものにも代えがたいと思いました。

映画の中で、深く心に残った言葉があります。 それは、「死んだらどうなるのかわからない、死ぬのが怖い」という患者に対し、法師が、「今まで(過去世で)何度も経験してるのよ。生まれ変わる前に何度も死んでるの。だけど、忘れてるだけだから大丈夫。怖くない。」 「人生は、氷山の一角。見えているところはほんのわずかで、見えないところの方が圧倒的に大きい。それが死の間際に一気に溶け出して、人は混乱する。」 というシーン。まさに仏教の死生観です。

過去世、現在世、未来世、と三世を生まれ変わり死に変わり、人生を上書きしていく人間は、何度同じことを経験しても忘れてしまう悲しい生き物です。だから、毎回、死の間際になると、恐怖を感じてしまう。

でも大丈夫なんですよ。今まで何度も経験してきたことなんだから。今までうまくやってきたんだから、今回もきっと大丈夫なのよって、日本でこれだけきっぱり言い切ってくれる方がいますか? 「いや、死生観も価値観もそれぞれだし、宗教も違うしな~」って遠慮しちゃって、こんなこと、言えませんよね?

でも台湾では、言っちゃう。 法師だから、説得力がある。 そして言われた患者は、不安が取り除かれる。まさにクリティカルヒットな一言! そして、今まで見えてなかった、(見ようともしなかったし、意識もしなかった)大きな氷山のような本当の自分(仏教でいう阿頼耶識《あらやしき》)が、死を目前にしたとき、一気に溶け出して、混乱を起こす。

「自分の人生って、なに?今死ななきゃいけないなんて、生きる意味は、何だったの?何のために生まれてきたの?死んだら、どうなるの?」 魂の叫びのような、答えのない疑問。

これが、まさにスピリチュアルペイン。(死を前にした精神的苦痛) 氷山のごく一部(きっと日常生活のこと)が、自分のすべてだと思って生きてきた人にとっては、まさに大パニック! 「なんで、今、ここで全部溶ける?!もっと早く溶けて本当の自分を見せてくれればよかったのに!」 と逆ギレしても、なんら不思議ではありませんよね。

だからこそ、生きている間に、元気なうちに、自分の命には終わりがあるんだよ、と意識することがものすごーく大事!!そして、自分が最後にどういう治療を受けたいのか、どのように過ごしたいのかをしっかり意思表示すること。それが、今、日本でできる最高の人生の終いかた「人生会議(ACP)」なのだと思います。

この映画は台湾が舞台なので、法律も死生観も宗教観も日本とはまるで違います。日本で同じことができるようになるには、果てしなくたくさんの壁を壊していかないといけません。しかし、前回の参議院議員選挙では、日本尊厳死協会の理事の方が一人当選されています。

小さな一歩かもしれないけど、あきらめずに声を上げていけば、日本の終末期医療もきっと変わっていきます。何より、自分が最期を迎えるときまでには、何とか変わって欲しい!と思うので、わたしも微力ながら、縁のある方にお伝えしていこうと思います。 そして、人生会議のテーマ、自分が受けたい医療、迎えたい最後の過ごし方は、エンディングノートに書き残しておくと、不安が和らぎますよ。

エンディングノート医療のページ

【「ケーキは買うな」「温泉行くな」成年後見人が生活の切り詰めを迫る理由→“報酬は貯金に比例”】ちょっと気になる終活ニュース

(記事抜粋)

あなたの家族が第三者に生活を切り詰めるよう厳しく迫られ、それにモノ言うこともできなければどのように感じるだろうか。「ケーキはいらないから買うな」「温泉に行って病気は治るのか?医者から証明書をもらって」これらは“成年後見人”から家族に投げかけられた言葉だ。後見人の報酬は担当者の預貯金に比例することが背景にある。制度は一度利用すると原則、止められない。約24万人が利用する成年後見人の制度は横領被害などのトラブルが相次いでいた―。(出典:+rkb)

認知症や判断能力がないと診断されたときに、ご本人の財産を守り、管理するのが成年後見人。元々は、家族が担ってきましたが、身内だからと使い込みをする事案が後を絶たなかったため、士業などの第三者が財産管理をするようになりました。

しかし、身内から第三者に代わっても、新たな問題が浮上。それが、この記事で紹介されている「自分のお金なのに自由に使えない」問題です。後見の杜の宮内代表は、「後見人がもらう報酬は後見される人の預貯金額に比例します。使えば使うほど自分がもらうものがなくなるから使わせない。のみならず、保険を解約して預貯金を増やす、家を売って預貯金を増やす。報酬のメカニズムが背景にあります」と驚きの発言をしています。

さらに、横領事件も多発していて、福岡県南部の久留米市を拠点とする「NPO法人権利擁護支援センターふくおかネット」の理事長だった森高清一被告は、複数の高齢者の後見人で、財産を管理していた高齢者2人が死亡後、銀行口座から約1280万円を横領していたそうです。

認知症になってからでは、「法定後見人」に頼らざるを得ないので、認知症になる前に、自身が信頼できると思う人を見つけて、任意で後見人に指名しておく「任意後見人」が準備できれば、より安心できるかもしれません。

講師のつぶやき

終活サポート専任講師の池原充子(いけはらあつこ)毎月カルチャー倶楽部でエンディングノート講座を開催しているのですが、SNSで繋がっていた方が、講座に参加されて、リアルでお会いすることができました。まるで旧知の友にあったような感覚でとても楽しく嬉しかったです。場所を選ばないのがオンラインのいいところですが、温度感が伝わってくる対面もいいなぁと思いました。

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