ありがちな納骨堂のトラブル5つをご紹介

納骨堂はたくさんの遺骨を収蔵している屋内施設で、よく「一般的なお墓が一軒家なら、納骨堂はマンション」と例えられます。一般的なお墓よりも専有面積が小さいため安価であるというメリットがありますが、見た目がいわゆる「お墓」とは違うことや、契約形態が複雑になりがちなことから、トラブルになる例も見られます。

この記事では、よくある納骨堂にまつわるトラブルをご紹介します。また、トラブル回避のためには納骨堂の仕組みをよく知り、注意点を押さえておかなければなりません。納骨堂の種類やメリット、注意点についても詳しく解説を行うため、全て読んでいただければ、より納骨堂への理解が深まり、トラブルに陥りにくくなるでしょう。

納骨堂とは雨の日も楽にお参りできる屋内施設

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納骨堂とは、屋内施設の中にたくさんの遺骨が保管されている場所です。納骨堂のトラブルをご紹介する前に、まずは納骨堂の種類と、一般的なお墓と比べたときのメリットを解説します。

納骨堂の種類

納骨堂には大きく分けて4つの種類があります。「ロッカー型」「仏壇型」「墓石型」「機械型」の4つです。このうち「ロッカー型」「仏壇型」「墓石型」の3種類は、名称が見た目を表しています。

ロッカー型は、コインロッカーのような扉付きの棚に骨壺を納めます。仏壇型は小型の仏壇がずらりと並んだ納骨堂で、仏壇の中や下段へ骨壺を納めます。墓石型は一般のお墓と同様の墓石が用意されている、いわば「屋根つきのお墓」です。

「機械型」の納骨堂は、骨壺の収蔵スペースとお参りスペースが別々に用意されている納骨堂です。お参りスペースの機械にIDカードをかざすなどすると、施設内部にある収蔵庫から故人の骨壺が送られてきます。参拝者は、共用の広いお参りスペースで、骨壺を前に参拝することが可能です。

納骨堂のメリット

納骨堂のメリットとして大きいのは、屋内なので雨でも傘をさすことなく参拝可能なこと、お墓掃除が不要なことです。屋外のお墓であれば必要になる雑草の処理も必要ありません。

また、最近の納骨堂は継承者がいらない永代供養にしているところも多く、「永代供養である」「年間管理費用がいらない」といったことをメリットに挙げている納骨堂もあります。

永代供養ではない納骨堂もたくさんありますが、永代供養の納骨堂が目立ってきたことにより、「納骨堂は永代供養である」と考えてしまう人もいて、そこからトラブルに発展するケースもみられます。

納骨堂にまつわる典型的なトラブル5つ

納骨堂においてトラブルになりがちな5つのケースをまとめました。参考にしてください。

親族が納骨堂を「お墓」と認めない

納骨堂は、一般的なお墓と見た目がかなり違います。ロッカーや小型の仏壇などへ骨壺を納め、お参りはロッカーや仏壇に向かって行うか、観音像などが置かれた共同のお参りスペースで行います。

親族に「『先祖代々之墓』などと刻まれた墓石に向かって拝むのがお墓参りである」という意識が根強いと、「こんなものはお墓ではない」と言われてしまうケースがあります。

お供え物ができず寂しさを感じる

納骨堂は個別にお参りできるスペースが狭かったり、共同でのお参りになったりするため、お供え物ができないところがほとんどです。屋内であることから火気の使用が禁止され、線香をあげられない納骨堂もみられます。

お供えができず、線香もあげられなければ、ただ手を合わせるのみになってしまいます。一般的な「お墓参り」とはかけ離れた参拝に、寂しさを感じてしまう人がいます。

合祀の後に遺骨を取り出せず改葬できない

永代供養型の納骨堂は、個別に納骨する期間を設けており、期間が終了すれば合祀されます。合祀とは、大きな供養塔などに遺骨を納骨することで、骨壺から遺骨を取り出して他の人の遺骨と一緒に葬られます。

合祀されると他の人の遺骨と一緒になってしまうため、以後は個別に遺骨を取り出すことができません。しかしこの事情を知らない継承者が、「新しいお墓をつくったので納骨堂から遺骨を移動させたい」と希望することがあります。合祀の後では遺骨を取り出せず、納骨堂とトラブルになるケースがみられます。

年間管理費用がかかることを家族が了承していない

納骨堂は使用期間中、年間管理費が発生するのが一般的です。永代供養型の納骨堂では契約後に管理費を支払い続ける必要がありませんが、契約期間中の管理費を契約時に一括して支払うだけのことで、実際には管理費が発生しています。

後に残る家族に「納骨堂は永代供養である」というイメージがあると、年間管理費用をめぐって納骨堂とトラブルになることがあります。永代供養の納骨堂を選ばない場合は、遺された家族に管理費についてきちんと引き継いでおくことが肝心です。

堂内の清掃が行き届いていない

納骨堂の清掃は、承継者である家族ではなく、管理者である納骨堂側が行います。しかし、納骨堂の清掃が行き届かず、埃が舞っていたり、ゴミが散らばっていたり、トイレが気持ちよく使えなかったりすることもあります。

利用者側は年間管理費用を支払っているため、納骨堂の管理者は堂内を清潔に保つ義務があります。しかし、利用者のために堂内をキレイにしようという意識が薄い納骨堂では、清掃が十分に行われない可能性があります。

納骨堂のトラブルに見舞われないための注意点

納骨堂のトラブルに見舞われないために必要なのは、コミュニケーションです。上のどの事例も、コミュニケーション不足から生じたトラブルといえます。事前に親族とよく話し合っていれば、親族側から難を言われることはないでしょう。契約前に納骨堂側と契約形態についてよく確認しておけば、認識の齟齬も生まれないと思われます。

なお、堂内の清潔さは実際に見学しないと確認できません。納骨堂を選ぶときには、ぜひ一度見学に行き、アクセスや契約形態と同様に、設備の充実や清潔感についてチェックしましょう。

【まとめ】納骨堂を選ぶときは複数を候補に入れて必ず見学を

納骨堂は、一般的なお墓にはない魅力を持った施設です。しかし、一般的なお墓とは違うところがあるからこそ、納骨堂側や親族としっかりコミュニケーションを持ち、参拝方法や契約形態を確認し、納得のうえで契約する必要があります。あいまいな部分があると、そこからトラブルに発展する恐れがあるため、注意が必要です。

「思っていたものとは違った」という事態にならないよう、見学は必ず行いましょう。また、1つだけではなく可能であれば2~3の納骨堂を候補に入れて、それぞれ見学した上で比較検討するのがおすすめです。見学して感じたことは家に持ち帰り、ぜひ他の家族とも話し合いの上で納骨堂を決めましょう。

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【監修】奥山晶子(終活カウンセラー、FP(2級))

奥山晶子

これまでの略歴

葬儀業界を経験した後、出版社勤務を経て終活全般のライターへ。2012年より2年間「葬送の自由をすすめる会」理事。終活カウンセラー、FP(2級)。近著に『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある

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