偲ぶ会とは故人を偲ぶ新しいかたち
偲ぶ会とは?
偲ぶ会とは、近親者のみで葬儀を行った後に改めて催す告別の会で、故人と関係のあった人々を招き、故人の在りし日を偲びお別れをしてもらう場のことをいいます。
主催者は、会社や親族、友人など様々ですが、故人と生前に親交のあった人や団体が、遺族の意向を聞きながら開催するのが一般的です。会社の社葬として、故人を偲ぶ会を催す場合もあります。偲ぶ会を開く時期は、亡くなってから一ヶ月後、四十九日、一周忌などを目安とすることが多いですが、故人の誕生日や母の日、父の日といった記念日にあわせて開催するケースもあります。
会の形式に決まりはなく、故人の遺影や祭壇を用意して献花でお参りしたり、食事やお酒を用意して歓談の時間をとったり、そのスタイルは様々です。葬儀とは異なり、宗教にとらわれない自由な形式で行われることが多く、服装も喪服ではなく平服で参列することがほとんどです。
また、規模もそれぞれで、数十人でこじんまり行うケースもあれば、数百人という規模で開かれることもあります。会の形式や規模、主催者の意向によって、開催場所も異なります。規模が大きい場合はホテルやホール、食事をしながらゆっくり思い出話をしたい場合は、レストランなどで行うこともあります。しかし、最近は、故人との縁の深い場所などで、その人らしい会を催すことが重視される傾向にあります。
「偲ぶ会」というと、芸能人のお別れ会や経営者の社葬をイメージされるかもしれません。実際、著名人が亡くなった際に「葬儀は近親者のみで済ませ、後日、偲ぶ会を執り行います」とよく聞かれます。
しかし、故人を偲ぶ会は、いまや著名人だけが行うものではありません。
最近は、親族や友人を中心に故人を偲ぶ会を催す人が増えてきているのです。その理由の一つは、昨今の小規模化する葬儀事情にあります。
近年、故人が高齢で知人が少ない、近所付き合いがない、費用を抑えたい、などの理由から「家族葬」や「直葬」といった小規模葬儀が主流になっています。しかし、その一方で、葬儀を終えてから「お葬式を簡単に済ませてしまったのではないか」と後悔したり、後から訃報を知った方から「故人とちゃんとお別れしたかった」という声を聞いたり、新たな悩みを抱えてしまう人も増えているのです。
特に、会社経営や地域の活動をしていた、趣味の仲間がいたなど、故人の交友関係が広かったにも関わらず、近親者だけで葬儀を行ってしまった場合は、葬儀後の対応に頭を悩まされることになります。そういった問題を解決すべく今注目されているのが、偲ぶ会なのです。葬儀後改めて、社会的な告別の場を設け、友人知人たちの思いに応えることで、自身の心残りも解消することができます。
そればかりか、故人を偲ぶ会だからこそ、自分たちの思い通りの故人らしいお別れが実現できる、ともいえるのです。偲ぶ会は、慌ただしい中で故人とのお別れを行わなければならない葬儀と違い、時間をおいてゆっくりと計画して故人とのお別れを行うことができますし、宗教的な作法や地域的なしきたり、葬送のマナーをあまり気にする必要もありません。
自由なスタイルで、そして、明るい雰囲気で、おしゃれに、本当に故人らしい告別の会を催すことができます。また、偲ぶ会ならば、遺族が主体となる必要もありません。
大切な家族を失った悲しみを抱え、長い看病生活や葬儀後の手続きで疲れきってしまった遺族に代わり、会社や友人が会を催し、遺族を励まし、その悲しみを癒すこともできるのです。今、葬送の形はどんどん変化しています。
葬儀は簡単に済ませたいけれど、故人とご縁のあった皆さんと、故人らしいお別れの場を持ちたいという人が増えているのです。そういった現代人のニーズにあわせて、偲ぶ会が注目されています。
では、偲ぶ会とは一体どんなものなのでしょうか?本当に故人らしいお別れの場を実現することができるのでしょうか?従来の偲ぶ会について、そして、これからの偲ぶ会について、ご紹介します。
会場やどんなスタイルで行うのか?
どのようなスタイルで故人を想う偲ぶ会を行いたいかでも変わってきますが、立食パーティーのようなカジュアルなスタイルであったり、カジュアルではないかたちであったりと、また、人数、会場などでも違いはあるでしょう。偲ぶ会というと、ホテルなどの広い会場で、大きな故人の遺影の飾られた立派な祭壇が用意されたり、豪華な料理やお酒がずらりと並んだり、というイメージをされるかもしれませんが、最近の偲ぶ会は、著名人が行うような大規模なものばかりではありません。
葬儀の小規模化によって、交友関係の広かった故人でも、身内だけで葬儀を行う傾向にあり、そのため、会社関係や友人知人のための社会的な告別の場を後日改めて設けるケースが増えているのです。また、限られた時間の中で、宗教的な決まりや葬送のマナーを気にして、希望の葬儀を行えなかった場合の受け皿としても、偲ぶ会を催す人が増えています。
いまや、偲ぶ会は、誰でも行いうるもので、数十名の小さな集まりから数百名の大規模なものまで様々です。会場も、ホテルやレストランだけでなく、行きつけのカフェやバーなど、故人と縁のある場所が選ばれることが増えてきました。
また、このような時代のニーズにあわせて、故人を偲ぶ会を専門にお手伝いしてくれる業者が登場し、個人では実現しづらいプランや今までになかった故人を送る新しいセレモニーが行われるようになっており、偲ぶ会のスタイルは更に多様化しているといえます。
その具体的な内容をみていきましょう。
個人と専門会社に依頼する場合の比較
ご自身で企画・開催する場合と偲ぶ会を企画・運営している専門会社に依頼する場合の比較
遺族は、故人の葬儀を終えた後も、大切な人を失った悲しみにくれる間もなく諸手続きに追われ、精神的にも時間的にもなかなか余裕がもてません。そんな中、会場の手配や招待者のピックアップ、案内状の送付など、偲ぶ会の企画や手配を自身で行っていくのは難しく、専門業者に依頼する人が増えています。
また、友人らで偲ぶ会を計画している場合でも、故人を想い、どのような会にすればいいのか分からなかったり、友人らで故人を偲ぶ食事会を開いてもただの飲み会になってしまうのではないかと不安に思ったりして、専門業者に相談するケースが増えています。
偲ぶ会の専門業者に依頼すれば、予算や人数に応じた会場の提案や手配、招待者の名簿整理、案内状の送付、セレモニーの企画や演出、進行台本の作成、会場の装飾や当日の進行まで、トータルにサポートしてくれます。専門業者にお任せすることで、遺族や主催者は、できるだけ少ない負担で希望の会を実現することができます。また、偲ぶ会当日も、専門スタッフに進行や雑務を任せてしまうことで、遺族や主催者は、故人の在りし日を偲んだり、お招きした人々と思い出話に花をさかせたり、心置きなく偲ぶ会に集中することができます。
一般的なプラン内容の内訳
偲ぶ会の基本料金は、会場の手配、会の企画、セレモニーの提案、招待客のリスト作成、案内状の送付代行、問い合わせ対応、出欠の受付、当日の式進行など、全体的な企画・運営サポートに、祭壇や遺影写真などの会場装飾の費用が含まれて、200,000円~100万円程度必要になることが一般的です。この価格は、主に祭壇のグレードによって上下します。
この基本料金に、ホテルなどを借りる会場費、立食パーティーなどにかかる飲食費、人数分の案内状や献花にかかる費用、希望に応じて依頼するオプションサービスの費用がかかります。
基本料金は、業者によって固定されている場合もありますが、多くの場合が、祭壇装飾によって上下し、20~100万円程度必要になるのが一般的です。社葬など大規模な祭壇やオリジナル祭壇の場合には、数百万円かかるケースもあります。
会場費は、一般的なホテルの広間で5~10万円程度、一流ホテルになると10~20万円程度かかります。また、ビュッフェスタイルなどで食事や飲み物を振る舞う場合は、参列者50人程度で40~60万程度が必要となります。
これらに、人数分の案内状や献花の費用が加わり、全体的な開催費用の相場は、参列者50人で70~200万円程度となります。食事や飲み物を振る舞わずセレモニー形式のみで行う場合は、30~100万円程度で会を開くことができますが、最近は、立食形式で歓談の場を設けるのが一般的です。食事を振る舞うと、費用はかかりますが、偲ぶ会は会費制で開催することが多く、その相場は一人1~2万円程度といわれていますので、開催費用を会費で賄うことは十分可能です。
また、オプションサービスとして、故人を偲ぶ写真パネルやスライドショー、楽器の生演奏、会のしおり、参列者への返礼品、当日の記録写真などを依頼することもできますが、その際は、別途追加費用がかかりますので注意が必要です。
しかし、最近では、ホテルなどでセレモニーやパーティーを行うスタイルよりも、自宅やカフェなどのこじんまりとした空間で、写真や思い出の品だけを飾り、数十人程度のささやかな偲ぶ会を開くケースが増えてきています。そういった場合は、人数分の飲食費に少しプラスする程度の料金で、気軽に開催することができます。
故人の経歴や付き合い、また、人柄や思いを考えながら、故人を偲ぶのにふさわしいサービスを選択することが重要です。