終活で家の処分をするメリット5つ|迷ったときのポイントや売却の手順も

終活の一環として、家を処分する人が増えています。家は大切な資産ですが、所有していると税金が発生したり管理の手間がかかったりと、老後の生活に負担がかかってしまう恐れがあります。

家などの不動産は相続が難しく、自分が亡くなった後に、家族や親族が困ったり揉めたりしてしまう可能性も。所有している家を処分するのは勇気がいりますが、実はメリットがたくさんあります。今回は、終活で家の処分をするメリット5つをご紹介します。家を処分するか迷ったときの判断ポイントや、売却の手順、注意点も詳しくまとめました。家を処分するか迷っている人も、ご参考にしてみてください。

終活で家の処分をする方法

終活で家の処分をするメリット5つ|迷ったときのポイントや売却の手順も01

家の処分の選択肢は、売却だけではありません。終活で家の処分をする方法をご紹介します。

売却する

終活で家の処分をするときに、最も選ばれている方法です。家を売却すると現金資産が手に入り、税金や管理費を支払う必要がなくなります。

不動産という相続が難しい資産を現金化することで、親族の分配相続がスムーズになるのもメリットです。現金資産の一部を老後資金に充てることもできます。

解体する

家が古く売却できない場合は、解体する手段もあります。解体すると、老朽化した家が倒壊する危険を防げるのがメリット。

日本は地震や台風などの自然災害が多いため、老朽化した家が倒壊するリスクが高く、近隣住民や通行人に危険を及ぼす可能性があります。

終活の一環として、老朽化した家を解体という手段で処分するのは、家主の大切な役目の一つです。残った土地は、売却したり遺産として残したりできます。

家を解体すると固定資産税が高くなるデメリットはありますが、土地の相続は親族に喜ばれることも多くおすすめです。

寄付する

家や土地は、自治体や個人、法人などに寄付もできます。

老後の生活資金に困っていない人や、相続を希望する親族などがいない人におすすめです。寄付をすると、譲り受けた人は固定資産税などの税金を、支払っていく必要があります。寄付は、相手側の受け入れがあって成立するものです。

手続きなども複雑なため、寄付をお互いに強く希望してる場合にのみ、選べる方法でもあります。

終活で家の処分をするメリット5つ

終活で家の処分をするメリットは、自分にも家族にもあります。終活で家の処分をするメリット5つをご紹介します。

節税になる

家を所有していると、空き家であっても毎年固定資産税を支払わなくてはいけません。終活で家と土地を処分すれば、固定資産税の支払いがなくなるため、大きな節税になります。

家の管理費などを支払う必要もなくなり、老後の負担が精神的にも経済的にも軽減されるのがメリットです。

また、家を売却すると「売却の3,000万円控除」が適用される可能性があります。

不動産を売却して得たお金には譲渡所得税が課されますが、家の売却であれば最大3,000万円の特別控除が受けられる制度です。

この制度を利用するには、税務署で手続きをする必要があります。適用されれば譲渡所得税が安くなったり、全くかからなかったりするお得な節税制度です。

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

相続が楽になる

家などの不動産は、相続が難しい問題があります。現金の資産であれば、そのまま平等に分けるだけですが、家の場合はそうもいきません。

家を相続する場合の分割方法は主に以下の4種類があります。

  1. 現物分割…現物(家や土地)を物理的にそのまま分けること。土地は分筆することもある。
  2. 代償分割…相続人の一人が家を相続する。代わりに、他の相続人には現金などを支払うこと。
  3. 換価分割…家を売却して、得たお金を分けること。
  4. 共有分割…家の名義を複数の相続人の共有名義にすること。

どの方法も、相続人が複数いる場合はトラブルの種になりやすく、困らせてしまう可能性があります。

生前に家を処分しておけば、このような複雑な相続手続きを行う必要はありません。 遺言書に相続の分配について書くときも、悩みにくく安心です。

家族の負担を減らせる

家も資産になるため、相続対象になります。家を誰が相続するのか問題は深刻です。なぜなら、家を相続すると税金の支払いや管理が大変だからです。

特に、家が古くて家族が住む予定のない場合は要注意。人に貸すのも難しいため、空き家になってしまい、税金と管理費だけが発生する、負の遺産になってしまう可能性があります。

家族や親族の負担を減らすためにも、空き家になりそうな家は処分しておくのがおすすめです。

老後資金を調達できる

家は、大きな資産価値のあるものです。売却すればまとまったお金が入ってくるので、老後資金の足しにできるメリットがあります。

終活で老後が不安な人、家族に現金として遺産を残したい人にもおすすめです。

現金として遺産を残すのであれば、生前贈与の選択肢もあります。生前贈与とは、生きている内に資産を贈与することです。通常、相続をするときには「相続税」がかかります。

しかし、生前贈与であれば相続税が発生しないため、相続人はより多くのお金を受け取れます。ただし、1年間に受け取った財産の合計額が110万円を超えると、「贈与税」が課されます。

節税しながら、少しでも多くの財産を家族や大切な人に残したいのであれば、生前贈与として毎年110万円以下ずつ贈与していく手段が使えます。

管理の不安や煩わしさから解放される

家は住んでいなくても老朽化していきます。

空き家の場合は、定期的に風を通したり掃除をしたりしないと、室内にカビが生えたり白アリ被害を受けたりする可能性も。

家を所有していると、老後も管理の不安や煩わしさを抱えながら、生活しなくてはいけません。終活では断捨離を行いますが、思い切って家も手放すと、さまざまな不安や煩わしさから解放されます。

家の複雑な相続の不安も解消されるため、老後を軽やかにのびのびと過ごせるのがメリットです。

終活で家を売却するときの手順

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家の売却は、意外と難しくありません。終活で家を売却するときの手順をご解説します。

家の査定をする

まずは、家にどれくらいの資産価値があるのか、査定をしてみましょう。

家の査定は不動産会社に依頼できますが、おすすめは家の査定サイトを利用することです。家の査定サイトを利用すると自宅に居ながら、資産価値をすぐに算出してもらえます。

家の査定サイト「リビンマッチ」では、チャット形式で、かんたんな情報を入力するだけで、すぐに家の査定をしてくれます。

複数の不動産会社を比較して査定してくれるため、自分で相見積もりをする手間が省けるのがメリットです。

リビンマッチでの家の査定は完全無料なので、気になる人はぜひ一度ご利用してみてください。

不動産会社と契約をする

家の査定が完了したら、不動産会社と契約をします。家を売却するときに不動産会社と結ぶ契約は「媒介契約」と言います。

売主(自分)と買主(家を買う人)の間を取り持ってもらう契約のことです。

家が不動産会社経由で売りに出される

不動産会社との契約が成立したら、いよいよ家の売却です。

家は不動産会社経由で売りに出されるため、自分で買主を探したり、やり取りをしたりする必要はありません。購入希望者が現れるのを待ちます。

購入希望者との交渉が成立したら家の売却は完了

家の購入希望者と不動産会社の交渉が成立したら、家の売却は完了です。

家に関するすべての権利が買主に譲渡されます。家の売却期間は住まいの形態にもよりますが、一般的には6ヶ月前後で決まることが多いようです。

終活で家の処分をするべきか迷ったときのポイント

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終活では断捨離として、たくさんのものを手放すことが推奨されています。

しかし、家には思い出があることも多く、本当に処分していいのだろうかと迷ってしまう人もいるかもしれません。終活で家の処分をするべきか迷ったときの判断ポイントをご解説します。

現在空き家であるかどうか

家が空き家の場合は、現時点で所有しているデメリットの方が大きいと言えます。誰も住んでおらず家賃収入もないのに、固定資産税を支払っているからです。

近年は、日本の空き家問題も深刻化しています。

高齢化で空き家が増えており、庭の不手入れによる景観の悪化や、老朽化による家屋の倒壊危険など、近隣住民に迷惑を掛けてしまっているケースが少なくありません。

空き家は売却、解体、寄付、どの方法も選びやすいメリットがあります。今後も自分や家族の住む予定がないのであれば、思い切って手放すのがおすすめです。

子どもや孫が住む可能性があるか

現在、所有している家が空き家であっても、将来子どもや孫が住む可能性もあります。家は資産なので、家族が困ったときに差し出せるのがメリットです。

家族や親族が多く、家も老朽化していない場合は、将来の家族のことを考えて残しておくのも手段の一つです。

老後の理想のライフプランで判断する

家を処分するかどうかは、老後をどんな風に過ごしたいのかによって判断してみましょう。例えば、老後は思い出のある家で過ごしたい想いがあるのであれば、家を手放すわけにはいきません。

所有している家に住む予定はなく、老後資金に余裕を持って過ごしたい人や、断捨離をして所有物を少しでも多く減らしたい人は、処分をするのがおすすめです。

終活で家の処分をするときの注意点

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終活で家の処分をするときは、相続人である親族への相談や終の住処の確保が重要です。終活で家の処分をするときの注意点をご紹介します。

家族に事前相談をする

家は大きな資産で相続の対象にもなるため、相続人になる家族や親族には家の処分について、事前相談を必ずするようにしましょう。

長い間空き家で、今後も活用することはないと思っていても、実は子どもや孫が住みたがっていたり、不動産として運用したがっていたりする可能性があります。

家族や親族と揉めないように、事前相談や説得をすることが大切です。

終の住処を確保しておく

処分したい家に現在住んでいる場合は、老後を過ごせる「終の住処」を確保しておく必要があります。ここで気をつけたいのは、高齢になると家を借りるのが難しくなる点です。

資産があっても、年齢を理由に賃貸契約がスムーズにできないこともあります。家を処分するときは、老後を快適に過ごせる終の住処の確保も、忘れずに考えておきましょう。

所有している家に住みながらも売却ができる「リースバック」という制度を活用する手段もあります。

リースバックとは、家を不動産会社に売却して現金化した後も、家賃を支払うことで賃貸として所有していた家に住み続けられる制度のことです。

一度売却するため、まとまった資金が手に入り、終の住処を新たに用意する必要もなくなる大きなメリットがあります。

老後資金や相続問題に不安はあるけれど、所有している家に住み続けたい人におすすめです。

ただし、物件に瑕疵があったり、既存不適格物件である場合には利用できないこともあるので注意が必要です。

終活で家の処分をするメリットはたくさんある(まとめ)

終活で家の処分をすると、精神的にも経済的にも余裕ができるメリットがあります。家の処分方法はいろいろありますが、おすすめは売却です。

まとまったお金が手に入るため老後資金の足しになり、税金の支払いや管理の煩わしさから解放されます。また、家は相続方法や手続きが難しい資産です。家族のためにと残していても、結局空き家になり、負担になってしまうこともあります。

家を処分するべきか迷ったときは、相続人となる家族や親族に相談したり、自分の老後の理想のライフプランを思い浮かべたりして、判断するのがおすすめです。

現在、処分を考えている家に住んでいる場合は、住みながら売却ができる「リースバック」という制度を利用するのも手段の一つ。

家の処分方法や選択肢はたくさんあるので、自分に合った形で終活の断捨離として、思い切って手放してみてはいかがでしょうか。

今日のポイント

  1. 終活で家の処分をする方法には売却、解体、寄付がある
  2. 終活で家の処分をするメリット5つは「節税」「相続の簡易化」「家族の負担の軽減」「老後資金の調達」「管理の不安や煩わしさからの解放」
  3. 家を売却するときの査定は、家の査定サイト”リビンマッチ”がおすすめ
  4. 終活で家の処分をするべきか迷ったときのポイントは、空き家であるか、今後誰かが住む予定があるか、老後の理想のライフプランに合っているか、で考えること
  5. 終活で家の処分をするときの注意点は、家族に事前相談をすることと、終の住処を確保しておくこと

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【監修】堀田直紀(ミッドポイント不動産鑑定株式会社 代表取締役)

堀田直紀

これまでの略歴

民間最大手の不動産鑑定会社に10年以上勤務し、一般的な土地、建物のほか、オフィスビル、レジデンス、商業施設、老人ホーム、ゴルフ場等、様々なアセットの評価を多数担当。現在、ミッドポイント不動産鑑定株式会社の代表取締役。
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