終活における片付け術|効率よく進めるためのステップとアドバイス

終活における片付けは、自室や物置だけでなくキッチンや脱衣所などの水回り、寝室、タンスの中、庭先まで調べて行う必要があります。「まだ、誰かが使うかもしれないからもったいない」と思うと、片付けはなかなか進みません。「これから自分が使うもの」だけを残すという徹底した視点が必要です。

この記事では、終活における片付けがスムーズに進むよう、5つのステップをご案内します。「何から手をつけたら良いか分からない」という人も、「片付け始めたはいいけれど、難しくて頓挫してしまった」という人も、ぜひ参考にしてください。最後には、より良い片付けにするためのアドバイスもご紹介します。

終活における片付けの5ステップ

終活における片付け術|効率よく進めるためのステップとアドバイス01

終活における片付けは、以下の5つのステップで進めましょう。やみくもに手をつけるよりも、効率的に、気持ちの整理をつけながら行うことができます。

使用期限の切れたものを捨てる

終活の片付けで肝心なのが「捨てグセ」をつけることです。ものをゴミ袋に入れることをためらわない気持ちを養うことが、まずは大事になります。

「捨てグセ」をつけるために、まずは誰が見ても捨てたほうが良いと分かるものを処分することから始めます。薬棚を調べ、使用期限の切れているものは全てゴミ袋へ入れましょう。次は使用期限が明記されていないものの、明らかに今後は使えないものを処分します。

「いつか使える」と考えて溜めている紙袋、輪ゴム、ビニール袋、コピー用紙などは、数年経つと素材が劣化している恐れがあります。あまりに古く、使えないものから順に処分しましょう。

不用品を処分した後の部屋がスッキリしていることを気持ちよく感じるようであれば、捨てグセをつけることに成功しています。この気持ちを大事に、これからもっと難易度の高いものを手放していきます。

「これからの自分が使わない」ものを手放す

2ステップめには、「これからの自分が使わない」と感じたものを次々と手放していきます。ここで重要なのが、自分あるいは同居の家族が、今後使うかどうかです。

「これから『誰か』が使うかもしれない」と考え、家の中にしまっているものは、今の時点でほしい人に譲りましょう。ほしい人が現れなかったら、リサイクルショップに持ち込みます。

こうしてものを手放していくと、棚やタンスを空にすることができるでしょう。空になった家財は、もう使わないものです。他の人に譲るか、リサイクルショップに持ち込みます。あるいは、自治体の処分方法に従い、粗大ゴミとして回収してもらいます。

思い出箱を作る

これから使うことはなくても、思い出深くて捨てられないものもあります。思い出の品を保管しておくための思い出箱を作るのが、ステップ3です。段ボールや気に入った柄の缶などを利用しましょう。

肝心なのが、思い出箱に入るだけの量を、思い出の品として残すことです。思い出の品があまり大量にならないよう、写真に収めて本体は処分するなど工夫するのがおすすめです。

この思い出箱の内容は、定期的に見返します。すると、もう手放すことができると感じるものが見つかるでしょう。役目を終えたものから手放し、思い出箱が溢れないよう管理します。

模様替えをする

今後の自分の生活に合わせて模様替えをします。高齢になると、ものにつまずいて転んだだけで骨折などの大きなケガに繋がりやすくなるため、動線となるところにはとくに、足元にものを置かないよう注意しましょう。

なお、健康増進に励みたいならヨガのスペースを作る、応援したいアーティストのグッズを飾る場所を作るなど、趣味を最大限楽しめるようなレイアウトもおすすめです。

「買う」や「もらう」を見直す

家に入ってくるものを必要最小限にするよう意識します。日用品の大量買いや、「タダだから」と使うあてのない試供品をもらうのをやめるだけでも、スッキリした家が持続できます。

終活における片付けへのアドバイス

以下の3つを心がけると、より効率よく片付けが進み、また他の終活が行いやすくなります。ぜひ参考にしてください。

アルバムに手をつけるのはある程度片付いてから

多くの人が終活の片付けで手がけたいものの1つに、アルバムの整理があるかと思われます。しかし、アルバムは一度手に取り出すと、取捨選択に思いのほか時間を取られます。確認しているうちに思い出が溢れてきて、どうしても時間をかけて見たくなってしまうためです。

アルバムの整理に時間をかけているうちに、他の片付けが滞ってしまいがちです。よって、アルバムに手をつけるのは、ある程度片付けが進んでからと決めましょう。「1日一冊ずつ」「1日1時間だけ」などと決め、コツコツ取り組むのもおすすめです。

「もったいない」は「使わないで済んだことへの感謝」に変えて

ほとんど使っていないものを処分するときは、心が痛むことがあります。使ってあげられなかったことに罪悪感を持ち、「もったいない」となかなか手放せない人もいるでしょう。

しかし、例えば薬の使用期限が切れているなら、その薬を使う状況に陥らなかったということです。それはとても幸せなことといえます。溜め込んでいるうちに劣化してしまった輪ゴム、錆びてしまったクリップ、日焼けしてしまったコピー用紙。それら全てを、長く使わないでいられたほど、豊かな生活を送ってきたのです。

どうか、使えなかった自分を責めないでください。むしろ、健康で豊かな生活を送れてきたことに感謝して、手放すようにしましょう。

片付けを機に財産リストを作る

片付けを進めていると、使用頻度の低い預金通帳や保険の証書など、日ごろはその存在を忘れかけていた重要書類が見つかることがあります。これを機に貴重品を管理し、財産リストを作りましょう。財産リストを作っておくと、将来、遺言書を作るときに便利です。

【まとめ】今後の自分の生活をイメージして

終活における片付けでは、今後自分が使わないものを手放す姿勢が出発点になります。この考え方を大事に部屋の整理を進めていくと、自分が何を大事に思い、今後どのような生活をしていきたいかが明らかになるでしょう。

「終活の片付け」という言葉だけを聞くと、亡くなる前の身辺整理のような寂しい印象があります。しかし、これからの自分をより良く生きるための取り組みと思えば、希望と意欲が湧いてくるはずです。今後の人生を明るく捉えるために、前向きな片付けを始めましょう。

終活全般相談窓口メールでのご相談
終活全般相談窓口メールでのご相談

▲この記事をシェア

【監修】奥山晶子(終活カウンセラー、FP(2級))

奥山晶子

これまでの略歴

葬儀業界を経験した後、出版社勤務を経て終活全般のライターへ。2012年より2年間「葬送の自由をすすめる会」理事。終活カウンセラー、FP(2級)。近著に『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある

終活に関連する記事

←「終活コラム一覧」に戻る
会員登録・ログイン
終活相談窓口 いい葬儀お客様センター
電話で相談する メールで相談する LINEで相談する 会員ログイン