デジタル遺品で故人のデータ整理のやり方

デジタル遺品とは

デジタル遺品で故人のデータ整理のやり方01

遺品整理で困るものの一つが、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器です。IDやパスワードが分からず重要な情報にたどり着けなかったり、逆に、見たくなかったものを見てしまったり、遺族を悩ませる種となっています。

今や、パソコンやスマートフォンが日々の生活と切り離せない時代、終活の一貫としてデジタル機器の整理にも目を向けましょう。

デジタル遺品とは、パソコンやスマートフォンなどの電子機器、SDカードやUSBメモリなどの電子記憶媒体、または、インターネット上にあるデータのことをいいます。オフラインでは、写真や動画データ、テキストデータ、メールの履歴などがあります。

オンラインでは、SNSやブログ、オンラインストレージといったクラウド上のデータ、各種ネットサービスのアカウント、ネットバンキングやネット証券といったデジタル取引される資産などがあります。

遺族が困る故人のデジタル機器トラブル

まず、IDやパスワードが分からず、パソコンやスマートフォンを起動することができないケースがあります。また、起動できても、端末内またはネット上に、どんなデータを残しているのか、どんなサービスを利用しているのか、把握することは非常に困難です。

もしかしたら、ネットバンキングやネット証券などネット上の資産があるかもしれませんし、逆に、継続して課金されるサービスを利用しているかもしれません。

また、SNSの利用や、ブログ、ホームページの運営をしているかもしれません。もし、履歴などから利用しているサービスが分かったとしても、IDやパスワードが分からなければ、解約や退会はもちろん、ログインすることすらできません。

なかでもトラブルとなるのは、お金の問題です。遺産分割を済ませた後でネット上の資産が発見され、相続手続きをやり直すことになってしまったり、ネット上で資産運用していて、知らない間に負債を背負うことになってしまったり、という場合もあります。

さらに、端末内やネット上で見たくなかったデータと出くわす可能性もありえます。残される家族のために、また、自身の沽券のためにも、伝えるべきデータと、見せないデータを分類して、整理しておくことが大切です。

パソコンのパスワードなど伝えるべきデータの整理をしよう

デジタル遺品で故人のデータ整理のやり方03

まずは、残される家族に伝えておかなければいけないものを整理していきましょう。

デジタル機器で遺族に伝えるべきデータとしてあげられるのは以下のとおりです。

・パソコンやスマートフォンを起動するためのID
・パスワード・パソコンやスマートフォン内にある写真や動画など残したいデータのフォルダ名
・USBメモリやSDカードの内容と保管場所
・ネットバンキングやネット証券、FXなどネット上の資産情報と各サイトの(URL・ID・パスワード)
・課金が発生するネットサービスと、解約手続きに要する(URL・ID・パスワード)
・メール、SNS、ブログなど各種ネットサービスと、退会手続に要する(URL・ID・パスワード)

各項目を明記するだけでなく、SNSでつながっている相手に死亡を伝えて欲しいなど、具体的な希望がある場合は、それもエンディングノートなどに記載しておくとよいでしょう。また、残される家族が機器の扱いに詳しくない場合は、操作手順なども細かく記しておく必要があります。
また、それらを整理したデータは、プリントアウトしたり、エンディングノートに書き残したり、紙ベースにおとし家族に簡単に伝わるようにしましょう。

見られたくないデータとその対策

パソコンやスマートフォンは、大変プライベートな領域です。誰しも、家族に見られたくないデータが少なからずあるでしょう。そういったデータは、処分しておくのがベストですが、自分が健在の間はなかなか削除しづらいものです。

そういった方のために、データを残しながら、家族に見られないように隠す、または、万が一の時に自動的に削除されるようにしておく方法があります。
データの隠蔽としては、家族に教えないクラウドをもっておいたり、パソコン端末上の「ごみ箱」内にいれて完全削除せずにおいたり、という方法がありますが、隠し通せる保証はありません。

また、万が一の時にデータを消去する方法として、死亡時自動削除ソフトや、アカウント無効化管理ツールなどがあります。これらは、パソコン上のショートカットをクリックすれば、メッセージの表示と同時に指定データが完全削除されるシステムや、一定期間ログインされなかった場合に、指定データを自動消去してくれるシステムです。

また、これらのツールの多くは、メッセージや託したいデータを、残された人に伝達できる機能も伴っており、そういった点でも有効的といえるでしょう。

誰もが日常的にパソコンやスマートフォンを使い、思い出も、お金も、交友関係も、全てがデータ化される時代です。万が一の時に、家族が困らないように、または、自身のアイデンティティを守るために、元気なうちにデジタル終活を始めましょう。

整理しておくべきデジタル遺品の種類と具体的な対処法【チェックリスト】

終活の一環としてデジタル遺品を整理するときに役立つ項目を、チェックリストで紹介します。チェック項目の内容(各IDやパスワードなど)は専用のノートに記載し、自分にしかわからない場所に大切に保管しておきましょう。

ノートの保管場所はエンディンングノートに記載しておくことで、自分に万が一のことがあったとき、家族に知らせることができます。

携帯(スマートフォン)

  • ④写真や動画フォルダの整理(必要のないものは消しておく) →見られたくない写真や動画は別の鍵付きアプリやフォルダに保管し秘密のパスワードを設定しておく
  • ⑤アプリの整理(必要のないものは消しておく) →見られたくないアプリは「隠しアプリ」を使ってその中に隠しておく
  • ⑦各通販サイトなどのログインIDとパスワードをメモに残しておく →貯まっているポイントがあればなるべく消費しておく
  • ⑧利用しているSNSアカウントのIDとパスワードをメモに残しておく(必要に応じて) →見られたくないSNSアカウントには鍵を付けてIDとパスワードをメモに残さないようにする

パソコン

  • ④写真や動画フォルダの整理(必要のないものは消しておく) →見られたくない写真や動画は別の鍵付きアプリやフォルダに保管し秘密のパスワードを設定しておく

デジタル機器、ネット資産、その他

デジタルカメラやデジタル機器

  • ②データを保存してある思い出のUSBメモリやSDカードなども家族がわかるようにまとめておく →できればどこにどんなデータがあるのかラベリングしておく
  • ③本体内の写真や動画の整理(必要のないものは消しておく) →見られたくない写真や動画は個別のUSBなどに保管し隠しておく
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【監修】池原充子(終活専門相談員)

池原充子

これまでの略歴

身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了

兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒

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