「認知症の9大法則」を知って介護負担を減らそう

そもそも認知症とはなにか

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認知症の人の介護では、うまくコミュニケーションが取れずに介護負担が重くなりがちです。認知症の介護がうまくいかない背景には、私たちが認知症の人の気持ちを理解できていないという点が挙げられます。

もし、私たちが認知症の人の気持ちを理解する事ができれば、症状が落ち着き介護の負担も減らすことができるでしょう。

認知症とは、病気やケガなどの後天的な原因により、知能が徐々に低下していく病気です。

認知症の症状には、必ず現れる「中核症状」と、周囲の環境によって引き起こされる「周辺症状」の2つがあります。このうち周辺症状は、必ず起こる症状ではありません。しかし、周囲の人の対応によって症状に大きく差が出ます。

対応が良ければ症状が改善することもあるでしょう。この認知症の人への対応で大切になってくるのが、「認知症の9大法則」です。

認知症の人の気持ちを理解する「認知症の9大法則」

「認知症の9大法則」では、認知症の人に見られやすい症状や行動などを、次に示すようにわかりやすく9つにまとめています。

1.記憶障害に関する法則

認知症になると、以下のような記憶障害が見られるようになります。

  1. つい最近見たり聞いたりしたことをすぐに忘れてしまう「記銘力の低下」
  2. 行為そのものを丸ごと忘れてしまう「全体記憶の障害」
  3. 新しい記憶から忘れていく「記憶の逆行性喪失」

2.症状の出現強度に関する法則

認知症の症状は、より近しい関係にある家族に強く出るという特徴があります。特に、いつもそばにいて一生懸命世話をしている人に対しては、安心して強い感情が出やすくなります。一方で、医師や近所の人などの前では症状が抑えられる傾向にあるため、周りに介護の大変さをわかってもらえないことが多々あります。

・自己有利の法則

認知症の人は、自分にとって不利なことは認めない傾向にあります。認知症でも今の状況が自分の能力低下によって引き起こされていることは薄々感じています。しかし、はっきりとは認めたくないという自己防衛本能が働くため、不利なことは認めようとはしません。介護する側にとっては、「言い訳ばかりして」と腹が立つこともあるでしょう。しかし、「言い訳も認知症の症状の1つ」と割り切ることが大切です。

・まだら症状の原則

認知症になると、常識的でしっかりした部分と、理解しがたい不可解な言動や行動をする部分の両方が見られるようになります。理解に困る行動が性格によるものなのか、認知症によるものなのか、判断に困ることもあるでしょう。そのような時には、「きっと認知症のせいでこうなっている」と思う方が、介護する側も気持ちが楽になります。

・感情残像の法則

認知症の人は、記憶障害によって今見たり聞いたりしたことを忘れてしまいます。しかし、その時に抱いた感情は残っているため、否定的な発言や叱責をうけると「嫌なことをされた」という印象だけが強く残ってしまいます。認知症の人に悪い感情を残さないためには、次の4つを心がけると穏やかな介護につなげることができます。

  1. 褒める、感謝する
  2. 同情する
  3. 共感する
  4. 思い込みを受け入れる

・こだわりの法則

認知症になると、1つのことに対するこだわりが強くなります。しかも、そのこだわりが頭から離れず、周囲の人が否定したり説得すればするほど、ますますこだわりが強くなってしまいます。こだわりが強い時には以下のような対応をすると良いでしょう。

  1. こだわりの裏にある背景を考える
  2. そのままにしておく
  3. 別のことに関心を向ける
  4. 第三者に登場してもらう
  5. 地域に理解や協力を求める
  6. 本人の過去を理解する
  7. 一手だけ先を読む
  8. 長期間は続かないと割り切る

・作用・反作用の法則

認知症の人に周囲の人が強い言い方や対応をすると、同じように強い反応が返ってきます。周囲の人は、自分の言動や対応が認知症の人にどのように受け取られるかをよく考え、素直に納得してもらえるような伝え方をする必要があります。できる限り笑顔で穏やかな対応をするよう心がけるようにしましょう。

・認知症症状の了解可能性に関する法則

一見不可解に感じる認知症の人の言動や行動も、認知症の人の立場に立ってみるとほとんどの行為に説明がつきます。加齢による知的機能の低下や、今までの人生の過ごし方などをよく考え、理解するよう努めることで適切な対処方法も見つかることでしょう。

・衰弱の進行に関する法則

認知症の人は、そうでない同年齢の人に比べると2~3倍のスピードで老化が進むと言われています。個人差があるため、全ての認知症の人に当てはまるわけではありません。しかし、一般的には老化や衰弱のスピードが速いので、何十年にも渡って介護が続く状態になるとは考えにくいということを頭に入れておきましょう。

認知症の人の世界を理解し尊重しよう

認知症の人は、何もわからないわけではありません。

認知症であっても、その人それぞれの世界があり、その世界の中を生きているのです。周囲の人は認知症の人の世界を理解し尊重するよう心がけてください。そうすれば、症状も落ち着き介護負担も軽くなっていくことでしょう。

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【監修】池原充子(終活専門相談員)

池原充子

これまでの略歴

身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了

兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒

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