終活コラム "認知症になる前に!任意後見制度で将来のことを決めておこう"

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任意後見制度とは?

認知症になる前に!任意後見制度で将来のことを決めておこう01

成年後見人制度には、元気なうちから将来何かあった時に備えて後見人を決めておく「任意後見制度」があります。認知症になってしまった後で利用する「法定後見制度」に比べると、信頼できる人を事前に指名できたり、細かな内容を決めておけるなど、メリットが大きい制度です。そこで、この記事では、任意後見制度を徹底解説していきます。

任意後見制度とは

任意後見制度とは、成年後見制度の1つで、将来認知症などで判断能力が衰えた時のために、今のうちから財産管理や身上監護の代理人となってもらう人を選んでおく制度です。法定後見制度と違い、後見人や委任する内容を自由に決めることができます。子供や親せきがいない「おひとりさま」や、家族はいるものの疎遠な場合などに利用するケースが多いでしょう。

任意後見の種類

任意後見には次の3種類があります。

将来型 将来認知症などで判断能力が衰えた時に、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てて任意後見の効力を発揮させるというものです。契約は判断能力が十分なうちに行います。
即効型 任意後見契約と同時に効力を発生させることを、「即効型」と言います。認知症は徐々に進行することが多いため、自分では「おかしいな」と思っても判断能力がまだそれほど衰えていない場合があります。しかし、任意後見制度は手続きを完了するまで2~3カ月かかるので、手続きが終わった後には判断能力が低下している可能性があります。このような場合には、判断能力がしっかりしているうちに契約を結び、同時に家庭裁判所に手続きを行うことで、本人が信頼している相手に財産管理などを任せることができるでしょう。
移行型 移行型は、判断能力が衰えた時はもちろん、判断能力がある今の段階からも支援を頼む方法です。判断能力はしっかりしているものの、足腰が悪いなど身体能力の低下によって外出が難しくなった時に利用されます。判断能力がしっかりしているうちは財産管理委任契約、判断能力が低下した時には委任契約を終了して任意後見契約を発動されるということが多いでしょう。

任意後見契約の流れ

任意後見契約の流れは以下の通りです。

任意後見人を選定する
将来自分の判断能力が衰えてしまった時に、誰に後見人をお願いしたいかを決定します。後見人は本人が信頼できる成人であれば、誰でも構いません。また、個人でも法人でも可能で、複数の後見人を指名することもできます。

依頼内容を決定する
次に、任意後見人に依頼する内容を決定します。任意後見人は取り決めで決められた範囲内のことしか行うことができません。与えられた権限の範囲が狭すぎたり、代理権だけでは対応できない時には、本人の支援を十分に行えない可能性があります。しかし、代理権の範囲を途中で変えることができないため、変更するには新たな契約を結ばなくてはいけません。その段階で判断能力が衰えていれば、契約自体を結ぶことができなくなります。任意後見制度に基づいた支援がいつまでも行われるよう、依頼内容はあらゆる事態を想定してきちんと決めておく必要があるでしょう。

公証人役場で任意後見契約を締結する
依頼内容まで決まったら、後見人の候補者と一緒に公証人役場に行って公正証書を作成しましょう。公正証書を作るためには、以下の書類が必要となります。

本人:戸籍謄本、住民票、本人確認書類
任意後見受任者:住民票、本人確認書類(法人の場合は登記事項証明書)

任意後見契約にかかる費用
任意後見契約の公正証書を作るためには、次に示す費用が必要です。

  • 公正証書作成の基本手数料  1万1千円
  • 法務局への登記嘱託手数料  1400円
  • 法務局に納付する収入印紙代 2600円
  • 書留郵便の料金       約540円
  • 用紙代           250円×枚数分

任意後見契約と同時に委任契約などを結ぶ場合には、契約数分の公正証書作成の基本料と手数料などが必要です。また、任意後見人が複数の場合には個別に契約が交わされるので、人数分の費用が発生します。

契約の仕方によっても費用が変わる場合もあるので、詳細は公正証書に確認してください。

任意後見制度を実際に使用するときの流れ

では、本人の判断能力が衰えてしまい、実際に任意後見制度を利用する場合の流れを見ていきましょう。

本人が認知症などで判断能力が衰えてきた場合、本人や配偶者、四親等内の親族もしくは任意後見受任者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てます。

任意後見監督人とは、任意後見人の事務が適切に行われているかをチェックする人です。任意後見人と親族などの特別な関係にない人である必要があります。

申立てを受けて任意後見監督人の選出が行われると、任意後見契約は開始となり、任意後見人は契約内容で決められた仕事を行えるようになります。

任意後見契約の変更と解除

任意後見契約の内容を変更したい場合には、本人が判断能力を有しているかどうかが重要となります。特に、任意後見契約が発効している場合には、判断能力が低下していると認められている状態であるため、変更は難しいと言えるでしょう。

実際に契約を変更する場合には、現在ある契約を解除して新たな契約を締結する、もしくは、新しく追加したい代理権を付与する契約書を新たに作ることになります。どちらの場合にも公正証書を作成しなくてはなりません。

また、契約を解除する場合にも、契約がすでに発効しているかどうかが重要です。契約発効前であれば、公証人役場に赴き公証人もしくは立会人の面前で契約解除に関する書類によっていつでも解除することができます。

すでに発効されてしまっている場合には、本人を保護する観点から「正当な理由があると家庭裁判所が認めた場合」のみ解除ができます。この場合には、解除後は法定後見に移行されます。

なお、本人や任意後見人が死亡した場合は、契約は終了となります。

任意後見制度のメリット・デメリット

任意後見制度は、法定後見制度に比べると自由度が高く本人の希望を叶えやすい制度です。しかし、当然ながらデメリットもあります。

メリットとデメリットを知っておけば、後から「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、しっかり確認しておきましょう。

メリット

任意後見制度の最大のメリットは、判断能力がしっかりしている状態で、後見人の選任や依頼内容を自分で決めることができる点です。特に、後見人に報酬が発生する場合には、報酬額を決めておくこともできます。

また、法定後見制度では後見人が決まるまで数カ月かかるのに対し、任意後見制度では契約締結までは約1カ月と短くなります。

デメリット

任意後見制度のデメリットは取消権がないことです。法定後見制度の場合、後見人には代理権と取消権があります。ところが、任意後見制度の場合は取消権がないので、本人が後見人の知らないところで不利な契約をしても、すぐに取り消すことができません。取り消す際には、法定後見の申立てを行い後見人等を選任してもらう必要があります。

また、任意後見制度では必ず任意後見監督人を選任するため、監督人にも報酬が発生します。報酬額は、家庭裁判所の裁判官が決定し、本人の財産から支払います。報酬面では、法定後見制度より負担が大きくなるでしょう。

まとめ

任意後見制度は、元気なうちから将来認知症などになった時のために準備しておく制度です。自分の信頼できる相手を後見人に選ぶことができ、依頼する内容も自由に決めることができます。しかし、依頼内容が狭すぎたり代理権では対応できない時には、本人の支援が行えないこともあります。実際に契約する時には、色々な場面を想定しながら内容を決めると良いでしょう。

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