親や配偶者など身近な人が亡くなると、遺骨をお墓に埋葬しなければなりません。そんなときにふと「お墓は必要だろうか」「自分が亡くなったとき、お墓に埋葬されたいだろうか」という疑問が頭に浮かぶ人もいるでしょう。
今はさまざまな埋葬の形があり、従来のような墓石を使ったお墓を選ばない人も増えています。「お墓は必要ない」と思うのであれば、どんな埋葬法が自分や家族に合っているか、考えてみましょう。この記事では、5つの質問にお答えいただくことで、埋葬に対するご自身の希望を明確化します。
お墓は必要かどうか迷う人へ!5つの質問で自分の希望をチェック
お墓は必要かを考え、お墓を持たない人が増えている
近年、少子化やライフスタイルの変化から、お墓の承継者が不足しています。お墓を継ぐ人がいないことから「お墓は必要か?」と考える人も多いのでしょう。墓石を撤去し、更地にしてお寺や霊園に墓地を返還することが「墓じまい」と名付けられ、注目されています。
また、お墓を継ぐ人がいないなら、墓じまいの後は承継者を必要とするお墓をつくれません。よって家族ではなく霊園やお寺が永年に渡りお墓の管理や供養を担う「永代供養」にスポットが当たっています。
永代供養には、樹木葬、納骨堂、合祀墓などいくつかの形があります。また、お墓に納骨しない選択肢として散骨があります。あなたが希望する埋葬の形は、どんなものでしょうか。
お墓は必要かどうか迷う人への5つの質問
以下、5つの質問に答えてください。自分の理想とする埋葬の形が分かります。
自分のお墓を守ってくれる人はいる?
自分がお墓に入ったとイメージして、承継者としてお墓を管理してくれる人はいるでしょうか。年間管理費を霊園やお寺に納め、必要に応じて草むしりなどお墓掃除をし、お盆やお彼岸には、お参りしてくれる人です。そして、将来はそのお墓へ入る人です。
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- 迷わず「はい」と答えられるなら、従来通りのお墓を維持するのがおすすめです。管理供養してくれる家族がいるのであれば、わざわざ高い費用をかけて墓じまいをするよりも、年間1~2万円の管理費を支払って、家族が利用できるお墓を維持した方がよいためです。
ただ、お寺の檀家になっている場合、年間管理費の他に寺院の修繕費用を寄付するよう求められることがあります。その点だけ、家族に伝えておきましょう。
- 「いいえ」であれば、永代供養墓を検討しましょう。永代供養墓は、承継者がいなくても契約できるお墓です。お墓掃除やお参りは、霊園やお寺が担ってくれます。墓石ではなく樹木をお参りのシンボルにする樹木葬や、屋内施設にたくさんの遺骨が収蔵されている納骨堂には、永代供養のシステムを採用しているところが多くあります。
また、骨壺から遺骨を開けて多数の人の遺骨と一緒に埋葬される合祀墓も、永代供養です。
将来は配偶者と一緒に眠りたい?
- 「はい」を選んだ方へ。永代供養を選び、かつ配偶者と一緒のお墓がよいという人もいるでしょう。永代供養の樹木葬や納骨堂には、1人用、夫婦用、家族用と人数に応じて専有スペースの大きさを選べるものがあります。また、合祀墓は、夫婦で一緒に申し込むことも可能です。
- 「いいえ」であれば、1人用の樹木葬や納骨堂、合祀墓を選びましょう。ただ、夫婦で別のお墓を選ぶと、埋葬やお墓参りの負担が重くなります。事前に子世代の了解を得ましょう。
不特定多数の人と大きなお墓に共同埋葬されるのに抵抗はない?
永代供養の中でも費用負担が抑えめなのが、たくさんの人の遺骨と一緒に葬られる合祀墓です。
- もし「はい」であれば、合祀墓が最も負担の少ない埋葬法なので、あまり費用をかけたくない人におすすめです。
- 「いいえ」と答えた人には、合祀墓は向いていません。また、永代供養型の納骨堂も向いていないと思われます。永代供養型の納骨堂は、5年や10年といった使用期限を設けており、使用期限が過ぎたら専有スペースから遺骨を取り出し、合祀されるケースがほとんどだからです。合祀に抵抗のある人は、小さくても専有スペースをずっと使える集合墓形式の樹木葬を検討しましょう。
お墓にお線香や供物をお供えできなくてもいい?
「いいえ」と答えた方へ。多くの納骨堂ではお花などのお供えができず、施設によっては火気厳禁のためお線香もあげられません。火を使わないLED式のお線香が備え付けられているケースもありますが、「お線香や供物をお供えすることこそがお墓参り」と考える人には、納骨堂は向いていないでしょう。
遺骨に対して手を合わせる場所がなくても構わない?
「はい」と答えた方には、選択肢として「散骨」が加わります。散骨は、海や陸地に遺灰を撒くもので、完全にお墓をつくりません。永代供養の場合はあくまで手を合わせる場所がありますが、散骨では参拝場所がなくなります。大いなる自然へ還っていきたいと希望する方におすすめです。
やっぱりお墓が必要と感じたときの注意点
質問に答えてきて「自分にはやっぱり昔ながらのお墓が必要だ」と感じたら、子世代などにお墓を継いでくれるよう頼んでみましょう。ただ、子世代の負担が最低限で済むよう配慮したいものです。お墓の維持費と、最終的に子世代が墓じまいをする際の費用を残すことが必要になります。
最近では、忙しい子世代の代わりにお墓参りをしてくれる代行業者も増えてきました。年に幾度かお墓参りの代行業者に依頼するための費用もプラスして、残しておくと安心です。
【まとめ】さまざまな選択肢から感覚に合う葬法を選ぼう
【監修】奥山晶子(終活カウンセラー、FP(2級))
これまでの略歴
葬儀業界を経験した後、出版社勤務を経て終活全般のライターへ。2012年より2年間「葬送の自由をすすめる会」理事。終活カウンセラー、FP(2級)。近著に『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある
これまでの略歴
葬儀業界を経験した後、出版社勤務を経て終活全般のライターへ。2012年より2年間「葬送の自由をすすめる会」理事。終活カウンセラー、FP(2級)。近著に『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある
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