終活用エンディングノートに書いておきたい内容とは

終活用エンディングノートに書くべき内容と、書いてはいけない内容を詳細にまとめました。これから書き始める方は参考にしてください。

終活にエンディングノートをおすすめする理由

終活用エンディングノートに書いておきたい内容とは01

近年、終活セミナーでエンディングノートを配布する自治体が増えています。なぜなら、エンディングノートは終活の中でも「生前整理」の一環として有効だからです。

エンディングノートで何を整理するのかというと、大きく分けて2つあります。それは、自分の想いと家族へ伝えておくべきことです。

これらを書くことで、残りの人生をどう生きるかはっきりすることもあれば、介護や葬儀など、自分のことなのに自由にできないことに関して意思を明確にしておくことができます。

加えて、残された家族を安心させることもできるでしょう。

そのため、エンディングノートの中心は「自分」と「家族」であり、それらに対する想いです。だからこそ、書き方もルールもありません。自由に書くことができます。

反面、遺言書とは違い、法的な力は一切ありません。このことを念頭に置いて書いていく必要があります。そのため、場合によっては遺言書と共に作成しなければなりません。

エンディングノートに書くべき自分のこと

エンディングノートと聞くと、相続や介護、葬儀のことを記載すれば良いものだという認識が少なからずあることでしょう。

しかし、本当に必要な情報は自分のことと言っても過言ではありません。

なぜなら、本籍地や在籍していた学校の名前などの細かいプロフィールまでは、遺族でもわからないことがあるからです。

特に本籍地に関しては、手続きに必要になることがありますので、現住所と違う場合は必ず記載してください。

以下に書くべき自分の項目をまとめます。

名前

出身地

本籍地

現住所

生年月日

血液型

家族情報(家系図)

小学校から大学院まで在籍していた学校

引っ越しの有無

勤めた会社

これらの項目以外にも、趣味や特技、好きな食べ物、かかりつけ病院や持病などを書いておくと、後に家族の役に立つこともあるでしょう。

また、上記のような項目からエンディングノートを書き始めると、意外と簡単に思えてくる方も多いため、気がのらない場合はこれらの項目から埋めてみてください。

葬儀や介護に関する項目は必須

エンディングノートに自分のプロフィールを記載したら、葬儀や介護に関して家族に伝えておきたいことを記載します。

この項目はとても大切な項目です。家族が決断を迫られる機会は必ず来ます。その折に、家族の負担を軽減するために、また、自分の意志を伝えるためにも、詳しく記載してください。

具体的な内容は以下の通りです。

認知症などで介護が必要となった際の希望

臓器提供の意思の有無

終末期医療(延命措置など)の方針

葬儀・埋葬方法への希望

遺影の有無

葬式費用の負担について

中でも、葬儀や埋葬方法に希望がある場合は、エンディングノートに記載するだけではなく、家族と話す機会を持つと良いでしょう。

なぜなら、病院で最期を迎えた場合、提携している葬儀業者に勧められるまま葬儀を執り行ってしまうことが多いからです。後からエンディングノートを見ても遅い可能性があります。

そうなると、希望していたよりも盛大な葬式になってしまうことや、望んでいた葬儀会社とは違う会社で葬儀をされてしまうことにもなりかねません。

また、これはあくまでも一例ですが、例えば家族が仏教徒なら必ず仏教式の葬式になります。万が一心のどこかで仏教に疑問を持っているなどがあれば、事前に話しておくことで無宗教などの葬儀方法をとることも可能です。

お経の代わりに好きな曲を流したい、位牌は不要など、細かい要求まで書かれていればより、家族が安心できるでしょう。

埋葬方法に関しても、近年はさまざまな形式があります。墓石のあるお墓だけを取っても、墓石の種類はもちろん、芝生墓地や寺院墓地、ペットと一緒に眠れるお墓など多種多様です。

納骨堂や散骨、樹木葬に宇宙葬などもあるため、希望があればエンディングノートに記載しつつ、自分でも調べてみてください。

そして、一番悩むところが介護の問題です。

自宅で介護をしてほしいと望んでいても、家族に負担はかけたくない場合など、さまざまな悩みがあることでしょう。エンディングノートは誰にも気兼ねなく、自分自身の想いを書ける場所です。ストレートに想いを記し、あとの判断は家族に委ねてください。

財産や遺品の相続に関して

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エンディングノートには相続に関しても記載します。しかし、前述の通りエンディングノートには法的な力は一切ありません。

確実に自分の想い通りの相続を遂行したい場合は、同時に遺言書を用意しなければならないことを、必ず覚えておいてください。

遺言書は、民法の規定に則って、手書きで書かれたもののみが、法的効力を持ちます。そのため、自由書式のエンディングノートや遺書では不十分です。

そのことを踏まえたうえで、エンディングノートには、財産の情報を一覧にして開示しましょう。

特にネット銀行やネット保険、ネット証券などがある場合は、通帳や郵送による通知がほとんどなく、家族がわからないままになってしまうことが多いです。

以下のような財産がある場合は、必ず記載しておいてください。

預貯金(金融機関・支店名まで記載。暗証番号や口座番号は不要)

有価証券(金融機関・支店名まで記載。暗証番号や証券番号は不要)

不動産(住所も記載するとなお可)

年金の有無と年金手帳の保管場所

生命保険や葬儀保険などの各種保険の加入状況と保険証券の保管場所

クレジットカードなどの会社名(番号は記載しないこと)

借入金やローンの有無

骨董品・貴金属・貴重品などの有無

貸金庫やトランクルームの有無や場所

貸しているお金がある場合はその相手先や金額等

遺言書の有無と保管場所

相続税がある場合には、特にすべての財産を開示しなければならないため、細かいものでも必ず記載しておきましょう。

また、借金やローンも相続対象です。恥ずかしいから書きたくない、という場合があるかもしれませんが、借りたお金は必ず返す必要があります。

残された家族が身に覚えのない借金を負うのは精神的にも負担なので、家族のためにも必ず記載しておいてください。

また、遺品を形見分けしたい場合も、エンディングノートに記載しておくことをおすすめします。

しかし、遺品は残された家族にとって、多ければ多いほど負担です。

「遺品整理」という言葉が多く使われるようになったことからわかるように、精神的にも金銭的にも負担です。遺品を専門業者に依頼して処分しなければならない状況を作らないためにも、生前から少しずつ整理をはじめましょう。

これも終活のひとつです。

万が一、健康上の理由などで家の整理をすることができない場合は、粗大ゴミ回収業者などに依頼すると良いでしょう。分別や搬出まで行ってもらえます。

友人や親族の情報

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エンディングノートに記載するべき項目のひとつに、友人や親族の情報があります。自分が誰と親しくしていて、親せきは何人いるのか、家族には意外とわからないことです。

住所と電話番号と共に、どのような付き合いがある方なのかを、きちんと記載しておかなければなりません。

入院や葬儀、納骨などの各種タイミングにより知らせたい相手もさまざまでしょう。これらの情報をあらかじめ記載しておけば、家族の負担を減らせます。

また、年賀状やお歳暮、お中元のみの付き合いの方がいる場合があるでしょう。この場合は、「終活を機に今回限りでやめる」という意思表示を、相手に対して送付しておくべきです。近年では、「年賀状じまい」や「お歳暮・お中元じまい」とも言われます。

元気な内にこのような連絡をしておけば、交流があった方が逝去されたあとも、家族が年賀状やお中元などを送る手間やお金が省け、負担をかけずに済むでしょう。

お付き合いの整理は寂しいものですが、久々に連絡を取る良い機会だと思って、少しずつ対応してみてください。身の回りをスッキリさせることで、不思議と気持ちが前向きになることもあります。

さまざまな個人情報について

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世の中はIDとパスワードだらけです。スマートフォンを使うときでさえ、ロック解除が必要なので、これらの情報をまとめておく必要があります。

ただし、何でも記載すれば良いわけではありません。詳しくは後ほど解説しますが、銀行口座の暗証番号などは絶対に記載しないようにしてください。

個人情報のうち、IDやパスワードなどと共に、定期的に支払っている光熱費などの情報も必要です。

以下の内容を忘れずに記載しましょう。

携帯電話やスマートフォンの契約情報

スマートフォンのロック解除方法

インターネットのプロバイダー情報

電気やガス、水道の契約情報

メールアドレス

定期契約している通販やデリバリー、動画配信サイトなどの契約情報

SNSやブログの情報

パソコンのIDとパスワード

前述の通り、エンディングノートには銀行口座の暗証番号や、クレジットカードの番号などを記載してはいけません。

なぜなら、エンディングノートは誰の目に触れるかわからないからです。盗まれることすらあるかもしれません。そのため、エンディングノートは机の上などに放置しないでください。

だからと言って、家族が見つけられない場所に置いておいては、家族の手に渡らないことも想定されるため、鍵付きの引出しや貸金庫などに入れておくことをおすすめします。

また、パソコンに関しては必ずログインIDとパスワードを明記してください。なぜなら、パソコンには莫大な量の個人情報が眠っています。パソコンを処分する際は、これらをきちんと削除しておかないと、第三者に悪用される恐れがあるからです。

もちろん、故人のパソコンを家族が使う際にもログインIDとパスワードは利用します。

携帯電話やスマートフォンの場合は、故人となった後でも連絡が来る可能性があるでしょう。そのうえ、家族が思い出として残しておきたい場合もあるため、できる限りログイン情報やロック解除方法を記載してください。

どうしても携帯電話やスマートフォンの中身を見られたくない場合は、携帯ショップに直接持ち込み、ショップで初期化した上解約してもらうように書いておきましょう。万が一家族が携帯電話やスマートフォンを中古販売店に持ち込んだ場合、初期化されていないデータが悪用される恐れがあるからです。

そして、定期契約している各種店舗の情報も必ず記載してください。きちんと記載しておけば、家族が気づかずに長い間不要な出費を強いられることを防ぎます。そのうえ、自分が契約している情報をまとめることで、不要なものに気づくこともあるからです。不要な契約があれば、すぐに解約してください。

ペットの情報も必須

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ペットがいる場合は、飼い主が元気なうちに次の飼い主を見つけてください。これは、飼い主の義務といっても過言ではありません。ペットは生き物です。絶対に放置されることのないように、元気なうちに受け渡しの話を決めてください。

そして、そのことを家族や知人に話しておき、頻繁に次の飼い主とペットを会わせる努力をしましょう。ペットにとって、飼い主が変わることは大きなストレスです。いきなり知らない人の元にいくことがないよう、少しずつ慣れさせてください。これは、次の飼い主になる方にとっても大切なことです。

また、エンディングノートには以下の内容を記載しておいてください。

ペットの名前

ペットの種類と数

ペットの性別

ペットの生年月日

去勢や避妊の有無

かかりつけ動物病院の情報

持病や服薬リスト

既往歴

血液型(わかれば)

ワクチンや狂犬病の情報(犬や猫の場合)

ペットの好きな食べ物、きらいな食べ物

ペットの好きな場所

散歩の時間帯や距離(犬の場合)

ペットのために行ってほしいこと

トリミング店舗の情報(犬や猫の場合)

廃犬届の提出のお願い(犬の場合)

マイクロチップ装着有無(犬や猫、特定動物、特定外来生物の場合)

譲渡するペットが犬の場合、受け渡しの際に忘れがちなのが、「廃犬届」です。 犬は、飼い主が住む市町村に、犬の登録をすることが義務付けられています。

飼い主が亡くなった場合は「廃犬届」を提出し、犬鑑札を返却しなければなりません。

そして、新しい飼い主は、お住いの市町村で飼い犬の「登録」をする必要があります。登録をすることでもらえる鑑札と、狂犬病予防注射済票を犬に装着することは、法律に定められた飼い主の義務です。

そして、もうひとつ忘れてはいけないのが、マイクロチップに関してです。犬や猫などの飼い主には、動物愛護管理法でマイクロチップの装着等を行うべき旨が定められています。ペットが特定動物(危険な動物)や特定外来生物の場合は、絶対に埋め込まなければなりません。

そのため、ペットにマイクロチップが埋め込まれているか否かの情報はもちろん、マイクロチップの登録情報も記載し、次の飼い主に変更してもらわなければなりません。

万が一細かいことがわからない場合は、マイクロチップを埋め込んだ際の病院名を書いておき、詳細を訪ねるようにと書き加えておくと良いでしょう。

まとめ

終活の一環として使用されるエンディングノートには、書くべきことがたくさんあります。そのため、順番に捕らわれず、書けるところから書いてください。

もちろん、この記事に記載したこと以外のものを書いても構いません。

家族や知人への想いや、楽しかったことなどを書けば、自分の人生の振り返りにも最適です。

だからこそ、エンディングノートは40~50歳で書き始める人も多く、これからの人生の不安を少しでも消すことができるアイテムと言えます。

エンディングノートを書くことを悲観せず、自分の新たな人生の第一歩という気持ちで、先々の不安を無くすために書きましょう。

ただし、エンディングノートには絶対に、銀行口座の暗証番号やクレジットカードの番号などは記載しないでください。そして、目立つところに置いておくことのないようにし、扱いには十分気を付けてください。

終活は家族のためだけではなく、自分のためにもなるものです。エンディングノートや生前整理など、簡単なところからはじめてみてください。そして、必要に応じて遺言書も用意すると良いでしょう。

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【監修】池原充子(終活専門相談員)

池原充子

これまでの略歴

身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了

兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒

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