寿命がますます伸びてきている現代で、老後の保険は老後資金を備えるためにとても大切な存在です。年金や終身保険を活用して老後資金を今のうちから備えておきましょう。
老後の保険で対策しよう!年金や終身保険で老後資金は調達できる
老後の保険を考える前に長生きするリスクを知っておこう
日本人の老後は、年々長くなりつつあります。なぜなら平均寿命が少しずつ伸びてきているからです。「平成30年簡易生命表」によると、平均寿命は男性で81.25歳、女性で87.32歳となっています。60歳を定年とすると、仕事を辞めてからの人生が20~30年もあるのです。
出典:「平成30年簡易生命表」(厚生労働省)
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/dl/life18-15.pdf)
今では65歳を定年とする企業も少しずつ増えてきていることから、「老後」とは一般に65歳以上を指すことが増えています。
さてこの老後について、「資金繰りをどうしようか」と悩んでいる方は少なくありません。寿命が長くなればなるほど、老後の資金が多く必要となります。
寿命が伸びるのは喜ばしいことではありますが、お金の心配は尽きないものです。そのため長生きすることは、お金が不足するリスクを高めてしまいます。
老後を夫婦で過ごしている世帯の年金収入は、平均して月に約22万円です。しかし収入に比べて支出は、平均して約28万円。約6万円も毎月不足してしまいます。60歳で退職した場合は約1,400~2,000万円も老後資金が不足する計算です。
ところで平均寿命とは別に、健康寿命と呼ばれているものをご存知でしょうか。健康寿命とは、誰かから援助されることなく自立して生活できる期間のことです。
健康寿命は男性で72.14歳、女性では74.79歳となっています。平均寿命と比べると男性は9.11歳、女性は12.53歳も差があることが分かります。
男女を平均すると差は約11年。これだけの期間を日常生活に制限がある中で生活しなければなりません。お金が不足するだけにとどまらず、体を思うように動かせない期間も老後はあるのです。「老後も働けばいい」と思われている方も多いですが、体を動かせる期間は意外と長くはありません。
老後の生活資金となる制度として年金がありますが、年金だけでは老後資金がたりないと言われることも多くあります。現に毎月約6万円も生活費が不足するとも言われていることから、年金だけに頼って老後を過ごそうとするのは、賢明な判断とは言えないのです。
もちろん人によって生活スタイルが異なるため、一概に年金だけだとたりないとは言えません。ですができるだけ余裕のある老後資金を蓄えておきたい、とは誰もが考えていることだと思います。
このように長生きすることは、老後資金が不足するリスクを高めます。しかしリスクは、資金の問題だけではありません。
もし介護が必要な状態になったら、家族に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。老後資金がたりなくて家族に金銭的負担をかけてしまう可能性もゼロとは言い切れません。
このようなリスクをできるだけ少なくするために、老後の保険について考えておく必要があります。
老後資金は保険で備えることができる
毎月6万円も生活資金が不足すると言われると、ただただ不安になってしまうものです。しかし不安になりすぎる必要はありません。保険に入っておくことで、老後に備えることができます。
ただし保険に入っておけば何でも良いわけではありません。老後の保険には大きく掛け捨て型と貯蓄型の2つがあるので、まずはそれぞれの特徴について見ていきましょう。
掛け捨て型
掛け捨て型とは、解約返戻金や保険満了時に受け取れるお金がない商品です。つまり保険に入っている期間に何事もなければ、お金は一切返ってきません。まれに解約返戻金がある場合もありますが、金額はとても少額です。掛け捨て型には主に、次のような商品があります。
- 定期保険
- 収入保障保険
- 医療保険
- がん保険
定期保険とは、一定期間のみ加入するタイプの保険です。保険に入っている期間に亡くなったり重度の障害を負ったりした場合に保険金が支払われます。
収入保障保険は亡くなったり重度の障害を負ったりした場合に、保険期間が終了するまで一定金額を受け取れるもの、医療保険は万が一の病気やケガに備える商品のことです。がん保険は、名前の通りがんを患った場合に保険金を受け取れます。掛け捨てだともったいないようにも感じてしまいますが、貯蓄型と比べて保険料が安くなることが特徴です。
貯蓄型
万が一のときに保険金を受け取れるだけでなく、満了時にも保険金を受け取れるのが貯蓄型です。解約返戻金も受け取れます。貯蓄型の主な商品は、次に挙げる通りです。
- 終身保険
- 養老保険
- 学資保険
- 個人年金保険
終身保険は、亡くなったり重度の障害を負ったりした場合に保険金が支払われます。定期保険とは違い保険期間が定められていないので、保険の契約をしている限りは保険金を受け取ることが特徴です。
養老保険とは保険期間中に万が一のことがあった場合、設定しておいた金額の死亡保険金を受け取れるもの、個人年金保険とは積み立てたお金を保険会社が運用し、最終的に60歳または65歳で年金として受け取れるものを言います。学資保険は老後の保険とは関係ないものですが、子供の進学費用を貯めるための商品です。
貯蓄性のある終身保険は老後の保険として人気
保険にはさまざまな種類があります。万が一のために備えるという意味ではどれも同じに見えるかもしれませんが、老後資金を目的とするのなら、ある程度は限られてくるものです。中でも終身保険は、老後に備えられる保険として知られています。
終身保険は貯蓄性がある
終身保険は掛け捨てではなく貯蓄型の保険です。しかし貯蓄型と言われてもピンと来ない方も多いでしょう。終身保険に加入すると、被保険者が亡くなったり重度の障害を負ったりしたときに、家族が保険金を受け取れます。満期がなく保障が一生涯にわたって続くことが特徴です。終身保険が貯蓄型と言われているのは、解約返戻金を受け取れることが関係しています。解約返戻金とは、保険を解約したときに払い戻されるお金のこと。一般に契約年数が長くなるほど返戻率が高くなるので、払い戻される金額も増えていきます。場合によっては支払った金額より多くの解約返戻金を受け取ることも可能です。
終身保険は支払い期間を選べる
終身保険は、支払い期間をある程度自由に決められます。たとえば「10年間」や「20年間」といった具合です。また「60歳まで」や「65歳まで」のように、いつまで払うのかを決めることもできます。このように自由に支払期間を決められるため、支払いが老後にまでわたる心配がありません。解約返戻金も貰えるため、支払い期間さえ設定してしまえば完全に老後のためのお金として備えることができます。
ただし元本割れの期間が長いので注意
解約返戻金も受け取れて支払い期間を選べるとなると、終身保険はメリットばかりのようにも思えます。しかし元本割れというリスクがあることを忘れてはいけません。終身保険でいう元本割れとは、支払った金額より解約返戻金のほうが小さいことを指します。
一般的には少なくとも10年は元本割れの期間が続くと思っておいてください。つまり終身保険で支払い期間を10年としてしまうと、元本割れのリスクがあるということです。老後資金として終身保険を活用するのなら、元本割れのリスクがないよう気をつけなければなりません。
個人年金保険に加入して老後に備えるのもあり
個人年金保険を老後の保険として使うのも1つの手です。厚生年金などでは不足してしまう部分を個人で補充する保険として位置づけられています。
老後資金を貯める意味では、とても役に立つ保険です。保険料を払うことで、一定期間もしくは一生涯にわたって年金を受け取れます。年金の受け取りは60歳もしくは65歳からが一般的です。個人年金保険には主に次のような種類があります。
- 確定年金
個人年金保険のうち、被保険者の生死にかかわらず保険金を貰えるものがこの確定年金です。10年や15年など、契約時に決めた一定の期間中に年金を受け取れます。万が一、年金の受取人が亡くなってしまった場合は、残りの金額を遺族で受け取ることが可能です。 - 終身年金
確定年金とは違い、一生涯にわたって年金を受け取れます。ただし被保険者が生存している間しか保険金の受け取りはできません。 - 有期年金
こちらは被保険者が生存している限り、一定期間だけ年金を受け取れるものです。被保険者が早く亡くなってしまうと、元本割れのリスクがあります。 - 変額個人年金
保険会社の運用次第で受け取れる金額が変わる個人年金です。運用次第では、支払った金額よりも多くの年金を受け取れます。 - 外貨建て年金
外貨で運用し、運用金額が年金として受け取れる個人年金です。ドルやユーロなどで運用を行います。運用次第では利回りがかなり良くなりますが、逆に損失を被るおそれもある年金です。
まとめ
寿命が伸びていることもあり、老後資金に対して不安を抱いている方は少なくありません。年金だけに頼らず、老後の保険として対策をしておくと後々役に立ちます。老後の保険を考えているのなら、まずは掛け捨て型にするのか、それとも貯蓄型にするのかを決めましょう。
老後資金を潤沢にする目的があるのなら、貯蓄型を選ぶことが一般的です。貯蓄型の商品には終身保険や養老保険、個人年金保険などがあります。中でも終身保険と個人年金保険は、貯蓄性が高いため人気です。終身保険は保障が一生涯にわたって続くため、貯蓄だけではなく家族を守る保険としても注目を集めています。被保険者が亡くなったり重度の障害を負ったりしなくても解約返戻金が受け取れることも特徴です。場合によっては解約返戻金が保険料の支払い金額を上回ることもあります。
将来受け取る年金を補助する目的で、個人年金保険を活用するのも良いでしょう。「人生100年時代」とも言われる現代、長生きのリスクを少しでも減らすためには老後の保険をうまく活用することが大切です。
【監修】池原充子(終活専門相談員)
これまでの略歴
身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了
兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒
これまでの略歴
身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了
兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒
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