遺言書の作成手順と無効にならないためのポイント

遺言書の作成時、一番気を付けたいのは無効にならない遺言書を作成することです。どのようなポイントに気を付けて作成すれば良いのか知りたい方におすすめの記事です。

もめない相続のための遺言書作成

遺言書の作成手順と無効にならないためのポイント01

相続は『争族』という造語ができる位、家族・親族間で争いが起こりやすいものです。普段は仲良く暮らしている家族でも起こり得ることなので、自分の死後、家族が揉めずにすむようしっかりと遺言を残しておくことが大切です。

さて、遺言書には3つの種類があります。

自筆証書遺言の作成手順

①財産目録の作成

財産目録とは、所有する財産について財産の種類・所在・評価額などをまとめたリストのことです。先に財産目録を作成することで自身が所有する財産を把握でき、どの財産を誰に相続させるか決める時に役立ちます。目録に記載し忘れた財産があると、後に相続人の間でトラブルになる可能性がありますので、漏れがないよう注意しましょう。

また、財産には借金・ローンなどの負債も含まれ、このような負の財産も相続対象です。相続人は負の財産も含めて財産を相続するか、放棄するかを選択するので隠さずに記載します。

自筆証書遺言の基本は『手書き』ですが、財産目録についてのみ手書きでなくても(パソコンなど)良いことになりました(2020年1月13日法改正)。パソコン等で作成した場合には、各ページに署名・押印が必要です。

財産目録を作成する際には財産を客観的に示す資料を準備し、正確に情報を記載しましょう。

  • 預貯金(通帳などを準備)…金融機関名、支店、種別、残高
  • 有価証券(運用報告書などを準備)…発行会社・銘柄、証券会社名、種別、数量、価格
  • 不動産(固定資産税の名寄帳、課税明細書、などを準備)…所在地、種目、構造、面積
  • 車・バイク(車検証などを準備)…登録番号、型式、社名

②遺言の作成

作成は必ず『手書き』で行います(代筆や音声・映像は無効)。使用する用紙・ペンに指定はなく、縦書き・横書きも自由に選択できます。ただし、第三者による偽造・変造を防止する目的で鉛筆・シャープペンシルの使用は控えたほうが無難です。

遺言の雛型は出典:法務省ウェブサイト(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00057.html

書き間違いなどで訂正する際には、訂正箇所に二重線を引き、訂正印を押してから近くに書き加えます。

その後、遺言書の末尾などに「○行目○文字削除 ○文字追加」と追記し署名します。このように訂正が厳格に行われるのは、訂正が第三者による書き変えではないことを証明するためです。

③保管

保管は盗難・紛失に気をつけながらご自分で行う、または、法務局(遺言書保管所)で保管する方法があります。遺言書保管所に保管する制度は2020年7月10日から施行した新しい法律に基づくものです。

作成した遺言書が無効にならないためのポイント

日付は日にちまで書く

遺言書の最後に遺言書の作成日を記入します。「20○○年(または令和○年)○月○日」と日にちまで記入するのが正解です。「20○○年(または令和○年)○月」や「20○○年(または令和○年)○月吉日」など日にちが正確に特定できない書き方をすると無効になりますので気をつけましょう。

署名・押印を忘れずに

遺言書の最後に遺言者の署名・押印をします。押印はシャチハタではなく、実印を使いましょう。署名・押印がないと無効になりますので注意しましょう。

自分の手で書く

自筆証書遺言はご自分の手で手書きする必要があります。妻による代筆などは、たとえ遺言者本人が許可していても法律上無効となります。本人が書いたものではないと疑いがかけられると筆跡鑑定をする場合もありますので、しっかりとご自分で手書きしましょう。

遺言者は一人だけ

両親から子供たちへ向けた相続であっても、遺言者には一人の名前しか署名できません。これは、法律上、遺言書は単独の意思表示であるものとされているためです。そのため、複数人が共同で作成した遺言は無効となります。夫婦で遺言書をのこしたい場合は、夫と妻で別々に遺言書を作成するか、夫婦で話し合ってどちらか一人が代表して作成するかにしましょう。

『自筆証書遺言保管制度』について

今までは自筆証書遺言を自己管理のもとご自宅などで保管することになっていました。しかし、紛失の恐れや相続人などによる隠匿・改ざん・廃棄の恐れがあること、これらによって相続争いが起こる恐れがあるという問題を抱えていたのが現状です。

この問題の対策として2020年7月10日に施行されたのが『法務局における遺言書の保管等に関する法律』です。この法律によって公的機関である法務局(遺言書保管所)で自筆証書遺言の原本を保管する制度『自筆証書遺言保管制度』が誕生しました。

保管できるのは自筆証書遺言のみで、遺言者本人が遺言書保管所に出向いて申請する必要があります。病気などの理由があっても代行で申請を行うことはできません。保管の申請には1件につき3900円かかります。保管期間は、遺言者の出生日から起算して120年です。

保管後は、原本・画像データの閲覧、保管の申請の撤回(遺言書は本人に返還、画像データは消去)、氏名・住所などの変更届出などができます。原本の閲覧は保管を申請した遺言書保管所でしかできませんが、画像データの閲覧であれば全国どこの遺言書保管所でもできます。

保管申請のながれ

自筆証書遺言の作成
保管申請をする遺言書保管所を決める保管申請ができる遺言書保管所は、①遺言者の住所地 ②遺言者の本籍地 ③遺言者が所有する不動産の所在地 のいずれかを管轄する遺言書保管所です。
法務局HP内に全国の遺言書保管所の管轄一覧が掲載されています。出典:法務局ウェブサイト(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00010.html
申請書の記入申請書は法務局HPからダウンロードする
(法務局HP http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00048.html
または、法務局窓口でもらうことができます。
保管申請の予約保管申請は即日処理を行っているため、一日に処理できる件数が決まっています。そのため予約が必要です。
予約は②で決めた遺言書保管所へ電話、または、窓口で直接予約ができます(平日8時30分~17時15分)。
保管申請当日遺言者本人が遺言書保管所に出向いて申請を行います。申請日に必要な持ち物は以下の5つです。
保管証を受け取る申請は即日処理され、保管証が交付されます。保管証は遺言書の閲覧や撤回・変更の届出、遺言者が亡くなった後で相続人が遺言書を見るために必要になりますので大切に保管してください。

公正証書遺言の作成手順

①遺言の原案作成

遺言原案(誰に何を相続するか、など)を考え、メモなど記録に残します。

②公証役場へ相談予約

お近くの公証役場に連絡し、相談の予約をします。公証役場とは、法務局が所轄する役場で公正証書の作成などを行っているところです。

③(予約当日)公証人との相談

予約当日、①で作成した原案を持って公証役場へ出向きます。原案を公証人へ伝え、遺言の内容を一緒に検討します。相談後は、公証人が遺言の準備を行います。

相談の中で遺言作成に必要な書類を指示された場合は、後日、公証役場へ届けます。また、公正証書遺言作成当日に立ち会ってもらう証人2名を決めるように指示されます。

④公正証書遺言作成日の決定

公正証書遺言作成日には、遺言者・証人2名・公証人の参加が必要です。これらのメンバーで日程を調整し、公正証書遺言作成日を決定します。なお、作成日は平日のみ、場所は公正役場です。

⑤(作成当日)公正証書遺言の作成、交付・保管、費用清算

作成当日は遺言者・証人2名・公証人が集まり、公正証書遺言を一緒に作成します。

まずは、公証人が遺言書の案を遺言者・証人2名の前で読み上げます。読み上げられた内容に間違いがなければ、遺言に遺言者・証人2名の署名・押印を行います。さらに、公証人も署名・押印を行い、遺言書を完成させます。

署名・押印をした遺言書原本は公証役場で厳重に保管されます。正本と謄本は遺言者に渡されますので、大切に保管しましょう。万が一、紛失した場合でも原本は公証役場に保管してあるので再発行が可能です。

また、公正証書遺言を作成した費用も当日に清算します。現金払いが基本ですので、あらかじめ費用を確認し準備しましょう。

秘密証書遺言の作成手順

①遺言の作成

作成は手書き・パソコン・代筆のいずれでも構いません。但し、遺言書内の署名は必ず手書きで行います。使用する用紙・ペンに指定はなく、縦書き・横書きも自由に選択できます。

遺言書が完成したら封筒に入れ、のりなどで封を閉じます。そして、遺言書内の押印に使用した印鑑で封印をします。①封印をすること、②封印には遺言書内の押印に使用した印鑑を使うこと の2点ができていないと無効となるので注意しましょう。

②証人2名を決める

公証役場で遺言書の存在を保証するには、証人2名の同行が必要です。2名を決めたら、一緒に公証役場に行くことができる日を話し合います。

③公証役場へ行って日程調整を行う

遺言者が公証役場へ出向き、秘密証書遺言の存在を保証する手続き日について日程調整します。持ち物は、遺言者の身分証と証人2名のメモ書き(氏名・住所・生年月日・職業)です。

④(手続き当日)遺言者・証人2名と公証役場へ出向く

手続きは公証人・遺言者・証人2名で行います。

まず、遺言者が公証人と証人2名の前に封筒に入れた遺言書を出し、自分の遺言であること・氏名住所を申述します。この時、封筒の中身を見せる必要はありません。

次に、公証人が遺言の入った封筒に提出した日付と遺言の申述(自分の遺言であること・氏名住所)を記載します。

最後に、公証人・遺言者・証人2名が封筒に署名・押印をすると手続きが完了します。手続きが完了したら、手数料として1万1千円を現金で支払います。金額は一律です。

手続き当日の持ち物は次の4点です。

  • 封印をした遺言書
  • 印鑑(遺言書内の署名・押印に用いたもの)
  • 身分証
  • 手数料1万1千円(現金で)

証人の方は、身分証と認印が必要です。

⑤保管

保管は盗難・紛失に気をつけながらご自分で行います。秘密証書遺言には法務局で保管するサービス(自筆証書遺言保管制度)がありません。

【遺言書の作成手順と無効にならないためのポイントのまとめ】

遺言は種類によって手間も費用も全く異なりますが、最終的に自分の意思が確実に実行される遺言書が作成できることを第一に考えて選びましょう。

その際、自筆が可能な状態か、自宅での保管は安全か、亡くなった時に遺言を発見してもらえる環境か、作成時に専門家に相談したいか、などご自身の状況に合わせることも大切です。

終活全般相談窓口メールでのご相談
終活全般相談窓口メールでのご相談
▲この記事をシェア

遺言書に関連する記事

←「終活コラム一覧」に戻る
終活相談窓口 いい葬儀お客様センター
電話で相談する メールで相談する