遺言が無効になる5つのケースとその解決策

せっかく作成した遺言書が無効になってしまったり、内容が実現しなくなったりしたら大変です。
今回は、遺言が無効になってしまうケースとその解決策を解説します。

遺言が無効になる5つのケース

遺言が無効になる5つのケースとその解決策01

遺言は、法律で定められた方式によるものでなければ、その効力は認められません。

遺言書の方式を守っていない

遺言が無効になる代表的なケースは、遺言書の方式を守っていないことです。

たとえば自筆で作成する自筆証書遺言では、その全文、日付、氏名といったほぼ全ての内容を手書きで作成し、誤った箇所は定められた方法で修正しなければならないルールとなっています。

もちろん、多少方式に誤りがあったところで内容が理解できれば、相続人や遺贈を受ける人の意思で、内容を実現する遺産分割を行うことは可能です。

しかし、遺言書の内容に反対する人が出てくるとそうはいかないでしょう。

また、財産を相続した人は、その後、財産の名義などを変更するための相続手続き(登記手続きや金融機関での手続き等)を行うことになりますが、遺言書の内容に基づく財産の移転の場合、遺言書の方式が正しくないと、スムーズに相続手続きが進められないことが考えられます。

相続人の遺留分を無視して作成した

遺留分とは、一定の相続人に認められる最低限の相続財産を請求できる権利のことです。遺留分が認められるのは兄弟姉妹を除く法定相続人で、その相続分の2分の1(直系尊属のみが法定相続人となる相続の場合は3分の1)が遺留分となります。

相続人の遺留分を侵害する遺言そのものは無効ではありませんが、遺留分を侵害すれば、結果的に遺言書の内容どおりの相続・遺贈が実現しない可能性があります。

発見した相続人に遺言書を偽造・変造される

「遺言書の方式は完璧!」「内容も遺留分を侵害しないものを作成した!」と完璧な内容の遺言書を作成したとしても、発見した相続人によって内容を偽造・変造されてしまっては意味がありません。

遺言書の偽造・変造は、刑法上の私文書偽造の罪にあたり、発覚すれば刑事罰を受けるほか、民法上の相続人の欠格事由にもあたることから同時に相続権も失います。

遺言書に不備があり驚く相続人また、上記ほど大きな問題ではありませんが、封をしている遺言書を家庭裁判所に持ち込まず勝手に開封した場合、過料5万円のペナルティを受けることもあります。

このようにして遺言書の偽造・変造は牽制されているわけですが、仮に最初に遺言書を発見した相続人がうまく偽造したり書き換えたり場合、それに気がつくのは難しく、さらに元の遺言書を確認する術がなければ追及のしようがありません。

罰則が設けられていても、偽造や変造を完璧に防げるわけではないのです。

そもそも相続人に発見してもらえない

遺言書の存在を、生前に家族に知られたくない方もいらっしゃるでしょう。

ところが遺言書を見つからない場所に隠してしまうと、そもそも相続人に発見してもらえないおそれがあります。

どんなに完璧に作成された遺言書も、発見してもらえなければまったく効果はありません。相続人だけで遺産分割が進められ、財産の振り分けが行われてしまいます。

遺言の実現を相続人に妨害される

遺言を行うことのメリットは、「相続人でない人に財産を受け取ってもらいたい」「相続分とは異なる相続をしてもらいたい」といった被相続人の想いを実現できることにあります。

しかし、遺言で財産の相続・遺贈を受けた人と、それをよく思わない他の相続人との間でトラブルになることは少なくありません。

遺言の内容を実現させないよう、たとえば第三者に遺贈された不動産を、相続人が他者に勝手に売却するような妨害が行われることも考えられます。

相続で遺言が無効にならないための対策

遺言が無効になる5つのケースとその解決策02

自筆証書遺言は財産目録の要件緩和や預かり制度を活用しよう

自筆証書遺言は、遺言者自身が文面を作成するため、いつでも思い立ったときに遺言書を作成できる反面、法律で定められた方式にしたがって作成することの難易度が非常に高く、不備があると遺言書の効力が問われるという厳しい遺言の方法です。

作成の難易度が非常に高かった自筆証書遺言ですが、法改正によって、平成31年1月10日以降の日付による遺言書は、手書きでない財産目録を添付できるようになりました。これを活用すれば、財産の詳細について誤記が生じにくくなりますので、これから自筆証書遺言を作成される方はぜひ活用しましょう。

ただし、財産目録には各頁に署名押印が必要で、両面印刷の場合は両面に署名押印が必要になります。

そのほか、自筆証書遺言で心配されるのは、偽造や変造ですが、令和2年7月10日から、「自筆証書遺言の保管制度」が開始されます。

「自筆証書遺言の保管制度」とは、法務局において、遺言者が作成した遺言書の原本を預かり、相続が開始されてから、相続人等の求めに応じて遺言書の写しの交付などを行うものです。

この制度を活用すれば、保管された遺言書について偽造・変造の心配はありません。

公正証書遺言を作成する

公正証書遺言とは、遺言の内容を公正証書にするものです。

遺言者が考えた遺言の内容を、公証人が聞き取り、公証人が文面を作成します。

公証人は法律のプロであるため、公正証書遺言は、方式の不備によって遺言が無効になることを心配する必要はありません。

さらに公正証書遺言の原本は、公証役場において保管されます。

遺言者や相続人が手にするのはその正本や謄本となるため、これについて偽造・変造を行われる心配も無用です。

なお、遺言者が亡くなっても、公証役場から公正証書遺言がある旨の連絡は入りませんので、この点は、遺言者が生前に公正証書遺言があることを親族等に伝えておくとよいでしょう。

遺言執行者を選任する

遺言書の内容の実現を相続人に妨害されることが心配なときは、遺言書で、遺言執行者を選任しておくとよいでしょう。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために、相続財産の管理や遺言の執行に必要なさまざまな手続きを行う権限をもつ人のことです。(民法第1012条第1項)

遺言執行者が選任されている場合、相続人は、遺言の対象となる相続財産の処分やその他遺言の執行を妨げる行為をすることは禁じられ、そうした行為は無効となります。(民法第1013条第1項、同条第2項)

弁護士など専門家に作成・保管等を依頼する

どの方式で遺言書を作成する場合でも、遺言の内容を決めるのは遺言者です。

相続人の遺留分に留意しながらどういった遺言書にするかは、弁護士など専門家に相談したり、作成を依頼したりするとよいでしょう。

公正証書遺言の文面を考案してくれる専門家もいます。

また、専門家によっては、遺言書の作成から保管、遺言執行者のサービスや、公正証書遺言を作成するときの保証人の手配といった遺言に関わるさまざまなサポートを行ってくれます。

まとめ

遺言が無効になるケースとその対策について解説しました。

ご自身の思いを実現するために、遺言が無効にならないよう遺言書の内容や保管方法、遺言執行者の選任等を考えることはとても重要です。相続や遺言のことは、終活サポートにご相談ください。

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