遺言書の作成費用と保管までに必要な費用

遺言書を作成する際の費用がどの程度かかるのか心配ではないでしょうか。専門家へ依頼した方が安心だけど、大きな出費になるのはちょっと…そんな方におすすめの記事です。

遺言書の作成から保管までに必要な費用の内訳

遺言書の作成費用と保管までに必要な費用01

遺言書の作成から保管までに必要な費用は、遺言書の種類によって異なります。専門家への相談・作成依頼や、公証役場での手続きが多くなるほど費用は高くなります。

また、相続する財産の規模や相続人の人数など状況によって費用が変わってくるため、一概にいくら位で遺言書が完成しますとは言えませんが、手続きの数だけで言うと、

自筆証書遺言<秘密証書遺言<公正証書遺言の順に費用が高くなります。

自筆証書遺言の費用内訳

一自筆証書遺言の費用内訳は次の通りです。括弧書きは希望した場合のみに必要になる項目です。
用紙、封筒、ペン代
(・専門家への遺言書作成依頼の報酬)
(・自筆証書遺言書保管制度の手数料)

公正証書遺言の費用内訳

公正証書遺言の費用内訳は次の通りです。括弧書きは希望した場合のみに必要になる項目です。
・公正証書作成の手数料
・遺言書正本・謄本の交付手数料
・必要書類の取得費用
(・専門家への遺言書作成依頼の報酬)(・証人立ち会い料)

秘密証書遺言の費用内訳

秘密証書遺言の費用内訳は次の通りです。括弧書きは希望した場合のみに必要になる項目です。
・公証役場で遺言の存在を証明する手続きの手数料
・用紙、封筒、ペン代
(・専門家への遺言書作成依頼の報酬)(・証人立ち会い料)

それでは、内訳の項目となっている費用について説明します。

専門家への相談・遺言書作成の費用

遺言書の要となる財産の分配方法は遺言者の意思で決定するものなので、専門家へ相談せずに決めてしまっても問題はありません。

しかし、遺留分など相続人が主張できる相続分が法律で定められており、それを無視した分配方法は相続争いにつながる可能性があります。現在考えている分配方法は法律上可能なのか、などさまざまな疑問を解決してくれるのが専門家の役割です。

専門家に相談・作成依頼するメリット・デメリット

メリット

・遺言者の希望と現在の状況から、より良い遺言の内容を教えてくれる
・相続争いなどのトラブルを未然に防ぐためのアドバイスをもらうことができる
・遺言作成に関する法的なルールを熟知しているため、内容に不備がなく無効とならない遺言書を作成することができる
・遺言者の死後、引き続き相続人が依頼していた専門家へ相談できる(相続争い、不動産の名義変更の手続きなど)
・公正証書遺言の場合、公証役場との打ち合わせの代行をしてくれる

デメリット

・費用がかかる

遺言書の相談・作成ができる専門家とその特徴

弁護士

弁護士は、何と言っても法律のエキスパートです。費用は高めですが、相続人同士の交渉の代行も行ってくれるため、相続争いが発生する心配のある方は弁護士事務所にあらかじめ依頼することをおすすめします。

司法書士

司法書士は、不動産の専門家であると同時に法律にもつよい専門家です。遺言者の死後、不動産の名義変更を伴う相続を予定している方におすすめです。法律にもつよい司法書士ですが、相続争いの交渉代行は行っていません。

税理士

税理士は、税金の専門家です。相続税の計算・申告に関する知識が豊富なので、相続税に関して心配事がある方におすすめです。

行政書士

行政書士は、一般の方が官公庁に提出する書類作成や提出手続きの代行を主に行っています。その意味では遺言書の作成は本業と言えるでしょう。複雑な案件(相続する不動産の数が多い、相続争いになる心配がある)でなく、遺言書作成だけが中心となる場合におすすめです。

信託銀行、信託会社

遺言書以外の目的で日頃からお世話になっている信託銀行・信託会社であれば、気軽に相談できるのが強みです。しかし、行政書士・弁護士・司法書士・税理士は国家資格を有する士業であるのに対し、信託銀行・信託会社は担当者がどの程度専門知識を持っているかによって遺言書の内容が大きく左右されます。

専門家への報酬と注意点

専門家に遺言書作成を依頼する時の費用(報酬)の目安です。

  • 行政書士 7~15万円
  • 弁護士 20~300万円

(相続する財産の大きさによって大きく異なります。数百万円の預貯金と不動産であれば20~30万円です。)

  • 司法書士 7~15万円
  • 税理士 10~50万円
  • 信託銀行、信託会社 30~100万円

専門家の料金体系はそれぞれの事務所によって異なります。相談だけで費用が必要になるところもあれば、パック料金のように相談から作成までの工程をまとめた料金設定にしているところもあります。

宣伝している料金が格安でも、請求時に別の名目での追加料金を上乗せされ、高額な報酬を請求される場合があります。トラブルを避けるために、最初の段階で報酬の合計がどれ位になりそうかを確認しておきましょう。

各種の手数料

遺言書の種類によって必要な手続きが異なるため、その手続きによって発生する手数料も異なります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は作成から保管まですべて自分だけで行うため、基本的に手数料はかかりません。

ただし、『自筆証書遺言書保管制度』を利用する場合には、遺言書1件につき手数料3900円が必要です。

『自筆証書遺言書保管制度』は2020年7月10日に施行された新しい制度です。

今まではご自分で保管するだけだった自筆証書遺言ですが、公的機関の法務局で自筆証書遺言の原本を保管できるようになりました。この制度により、遺言書の紛失・盗難、他人による隠匿・改ざん・廃棄の恐れが回避できます。保管期間は、遺言者の出生日から起算して120年です。遺言者生存中は遺言者のみしか原本や画像データを閲覧することができないので安心です。

注意したいのは、この制度の申請は遺言者本人が遺言書保管所に出向く必要があるということです。病気や身体が不自由などの理由であっても代理申請はできません。

公正証書遺言

①公正証書作成の手数料

公正証書作成の手数料は相続する財産の価格によって変わります。対象となる財産は、預貯金(現在の残高)のほか、不動産(直近の固定資産評価額を価格とします)、有価証券(その時の価格)などです。

公正証書作成の手数料=基本手数料(1万1000円)+加算額

基本手数料は1万1000円です(相続財産の総額が1億円未満の場合)。この基本手数料に加算額を足した分が手数料の合計となります。

加算額は相続する財産の価格によって決まり、相続する人ごとに加算するのがポイントです。

例えば、妻に2000万円、息子に1000万円相続する時の加算額は、

加算額= 妻2万3000円+息子1万7000円 =4万円 です。

財産の価格 加算額
100万円以下  5000円
100万円超え~200万円以下 7000円
200万円超え~500万円以下  1万1000円
500万円超え~1000万円以下  1万7000円
1000万円超え~3000万円以下 2万3000円
3000万円超え~5000万円以下 2万9000円
5000万円超え~1億円以下 4万3000円

②遺言書の正本・謄本の交付手数料

公証役場での遺言書作成当日、作成した遺言書原本は公証役場で保存され、正本・謄本が遺言者に手渡されます。交付する正本・謄本の手数料は、遺言書の枚数によって異なります。

正本・謄本の交付手数料= 遺言書の枚数×500円

※ただし、縦書きで4枚・横書きで3枚を超える分に関しては1枚250円で計算します。

秘密証書遺言

秘密証書遺言に必要な手数料は、遺言書1件につき1万1000円です。この手数料は、公証役場で遺言の存在を証明する手続きを行った時に必要です。

証人立ち会い料

公正証書遺言と秘密証書遺言の場合、公証役場での手続き当日に証人2名の参加が必要です。証人2名は遺言者の知人など信頼できる人に依頼しても良いですし、公証役場に証人となってくれる人材の紹介を依頼することもできます。

また、遺言書作成を専門家に依頼した場合、その専門家のところで証人を依頼することもできます。

証人を依頼した場合

証人を公証役場や専門家へ依頼した場合、証人の日当として証人立ち会い料1~2万円(1人につき)が必要です。

証人2人分となると2~4万円必要ですが、遺言はプライベートなものだけに内容や存在自体を知られたくないと考える方は依頼したほう良いでしょう。

証人を依頼しない場合

証人を知人など信頼できる方にお願いする場合、気を付けたいことがあります。それは、民法の定めによって証人になれない人が決まっていることです。

次に該当する人は証人になることはできません。

  • 未成年者
  • 推定相続人(遺言者が亡くなった時、相続人となる立場にある人)、受遺者、これらの配偶者と直系家族
  • 公証人の配偶者・四等親以内の親族・書記・使用人

上記の法律により遺言者の配偶者や家族は証人になることはできません。遺言者の兄弟・姉妹は、推定相続人になる可能性がない場合には証人になることができます(状況によって変わります)。

また、公正証書遺言では証人が遺言内容を知ることになります。内容を故意に相続人やその他の人に漏らす心配がある人にはお願いしないほうが良いでしょう。

必要書類の費用

公正証書遺言の場合には、次の書類が必要です。すべて市町村役場や法務局で取得できる書類です。遺言作成を専門家へ依頼している場合には、専門家側が取り寄せを行ってくれることもあります。

・印鑑登録証明書(遺言者本人)1通300円/市町村役場

・戸籍全部事項証明書(=戸籍謄本のこと) 1通450円/市町村役場
※遺言者と推定相続人との続柄がわかる戸籍であること
※推定相続人全員の戸籍も必要

・住民票 1通300円/市町村役場
※推定相続人以外の受遺者がいる場合、受遺者ごとに必要

・登記簿謄本、登記事項証明書 1通600円(書面請求時)/法務局
※遺言書に明記する不動産がある場合のみ必要
※不動産ごとに必要

・固定資産評価証明書 1通350円~400円/市町村によって取得場所が異なる
※遺言書に明記する不動産がある場合のみ必要
※固定資産税課税明細書がある場合は不要

遺言書選びに考慮したい 相続人が行う『検認』とは?

検認とは?なぜ行うの?

検認とは、遺言書を開封する前に家庭裁判所に持って行き、相続人などの立ち会いのもと開封して内容(形式、加除訂正の状態、日付、署名など)を確認することです。

検認の目的は、遺言書があるという存在を明確にし、相続人による遺言書の偽造・変造・破棄を防止することです。あくまで証拠保全的な意味合いの目的なので、遺言書が有効であるか無効であるかは関係なく、遺言書内に書かれている財産の分配方法が正しいか間違っているかも関係ありません。

そのため、検認後、遺言書が無効であることが判明したり、相続争いが起こる可能性もあります。

検認前に遺言書を開封してしまった場合

検認が必要な遺言書を検認前に開封してしまうと、5万円以下の過料に処せられることがあります。しかし、間違って開封してしまったことにより遺言書が無効になることはありません。

また、検認の手続きが面倒臭いからと相続人全員の承諾のもとで開封し、遺言書通りの相続を行おうとしても、それが阻止される仕組みになっています。遺言書に記載された不動産や預貯金の名義変更・解約は、検認された遺言書と検認証明書がないと行えないのです。

検認が必要な遺言書は2つ

検認が必要な遺言書は、次の2つです。

・自筆証書遺言(自筆証書遺言保管制度を利用していないもの)
・秘密証書遺言

検認が不要な遺言書は、次の2つです。

・公正証書遺言
・自筆証書遺言(自筆証書遺言保管制度を利用したもの)
これら2つは、遺言書原本が公証役場や法務局に保管されているため、相続人による偽造・変造・破棄があってもすぐにわかってしまうからです。

検認手続きのながれ

申立人:遺言書の保管者、または、遺言書を発見した人

申立て先:被相続人(遺言者)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
※管轄の家庭裁判所は、裁判所HP内で調べることができます

費用:・申立て費用として800円(収入印紙)
・切手代(家庭裁判所からの案内送付のため)
・検認済証明書の申請費用として150円(収入印紙)

①必要書類を家庭裁判所へ提出

次の3つの必要書類を集めて、申立て先の家庭裁判所へ提出します。

※遺言者の子供ですでに死亡している方がいる場合、その子供の出生から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

②家庭裁判所からの遺言検認日の通知(郵送)

①で提出した書類に不備がなければ、約1ヶ月~1ヶ月半後に家庭裁判所から相続人全員の住所に遺言検認日の案内通知が届きます。

③遺言検認日の当日

遺言検認日の当日は申立て先の家庭裁判所で手続きを行います。申立人の出席は必須ですが、他の相続人に関しては欠席しても問題ありません。申立人が出席していれば手続きは行われます。

検認日当日の申立人の持ち物は、遺言書と印鑑(検認済証明書の発行に必要)です。忘れずに持って行きましょう。

④検認手続きの完了

検認手続きは検認日当日に完了します。手続き完了後は、検認証明書付きとなった遺言書を渡され、提出した戸籍等が返却されます。

また、検認日に欠席した相続人には検認の終了通知が郵送されます。

費用だけなく検認の有無も考慮した遺言書の選択が必要

遺言書の検認には手間と時間がかかります。検認が必要な遺言書は作成や保管の段階で公証役場などでの手続きが少ない分、開封時に手間と時間がかかってしまうのです。検認の申立てから手続きの完了までには、最低でも1ヶ月を要します。

遺言書に記載した不動産や預貯金の名義変更・解約などは検認が終わってからしかできないため、その間は手続きが滞ってしまいます。

仮に、残された家族の生活費として預貯金を相続する予定になっていても、検認手続きが終わるまでは口座が凍結されたままでお金をおろすことができません。

また、検認手続きに時間がかかったとしても、相続税の申告は遺言者が亡くなったことを知ってから10ヶ月までに行わなければなりません。

3種類ある遺言書には費用などそれぞれの特徴がありますが、選ぶ際には検認の有無も考慮して選択することをおすすめします。

【遺言書の作成費用と保管までに必要な費用のまとめ】

遺言書の作成から保管までにかかる費用として一番大きいのは、専門家への相談・作成依頼です。しかし、自分が望む財産の分配ができ、相続トラブルを防止することで今後も仲良く暮らせることを想えばその費用は高いものではないのかもしれません。

なぜ遺言書を作成しようと思っているのか、どのような思いがあるのか、自分の気持ちを明確にしてから取り組むと物事を決める基準軸が見つかるはずです。

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