終活の具体例|実際の体験談から見る成功例と失敗例

終活を実践しようとしても「何から始めよう」「失敗したらどうしよう」と考えてしまい、動き出せない人も多いでしょう。「終活」という言葉が生まれて10年あまりが過ぎ、実際に終活を行った人の声が聞かれるようになりました。その中には、成功談もあれば、失敗談もあります。

終活の成功例3つ

終活の具体例|実際の体験談から見る成功例と失敗例01

この記事では、実際にあった終活の成功例と失敗例をご紹介しながら、終活のコツを解説します。最後には具体例を踏まえた注意点をまとめてご案内するため、終活を成功させたいと考えている方はぜひ最後までお読みください。

まずは、終活の成功例を3つご紹介します。

定年を機にリフォーム、親世代も自分たちも快適に

80代の父親と同居している60代夫婦が、退職金を元にキッチン、バスルーム、トイレをバリアフリーへリフォームしました。大きな出費だったものの、将来を見据えて車椅子が生活動線をスムーズに行き来できるつくりにしたため、夫の父親は102歳で亡くなるまで自宅で過ごせました。

「バリアフリーは父親の介護をするうえでも楽だったし、自分たちが80代になった今も快適に過ごせている。メリットのあるリフォームだった」と、夫婦は声を揃えます。夫婦は安全に生活できる我が家で、可能な限り最後まで過ごしたいと願っています。

70歳を目前に断捨離、気力も体力もあった

69歳の男性は「生前整理はまだまだ早い」と考えていました。しかし妻が断捨離に目覚めたこともあり、思いきって大胆な「捨て活」(不用なものを意識して処分する活動)をします。

その後、暮らしやすいよう家具のレイアウトも変えました。 男性が75歳になった今、「あのとき生前整理をやっていて本当に良かった」と感じています。もう5年前のような気力や体力がないため、今ではとても大胆な断捨離ができないそうです。

77歳の喜寿のお祝いで遺影写真を。亡くなったのは10年後だが……

50代の女性は、母親が77歳の歳祝いをしたとき、遺影のつもりで記念写真を撮ったことをあまり賛成しませんでした。母親は元気で、まだ亡くなるなんて考えられなかったためです。

しかしその10年後に母親が亡くなり、女性は「あのとき遺影を撮影しておいて良かった」と納得しています。「かなり年老いてからの写真では、闘病で痩せてしまっているため、悲しい気持ちが倍増してしまったかもしれない」とのことです。

終活の失敗例3つ

終活は、思いがけず失敗することもあります。3つの実例をご紹介します。

60代でバリアフリーにリフォーム。ぐっと体力が落ちてしまった

60代の夫婦は「まとまったお金があるうちにバリアフリーにしておこう」と、退職金を元に自宅を全面リフォームします。とても快適になりましたが、夫はある日久しぶりに駅の階段を上って、体力の低下に気づきました。以前は楽に昇れていた階段が、とても辛く感じたそうです。 「階段も段差もない生活を早くから始めたせいかもしれない。思えば退職を機に、ろくに外へ出ずテレビの前にずっと座る生活をしていた」と、夫は反省しています。

故人の希望で全て散骨、遺族は「寂しい」

60代の女性は、夫の遺骨を、本人の希望により全て散骨しました。故人の希望を叶えることができて、散骨した当時は気持ちがスッキリしていましたが、だんだん寂しくなってしまいました。手を合わせる場所がないため、供養をしようと思ってもできないというのです。 女性は「少しだけでも手元に遺骨を残しておけば良かった。後悔している」と言います。

葬儀が終わってからエンディングノートが見つかった

50代の女性は、母親の葬儀を終え、遺品整理をしようと実家を片付けていたところ、エンディングノートを見つけました。ノートの内容を見ると、母親は葬儀社を決め、遺影も決めていたようです。 「そんなこととは知らずに別の葬儀社で、別の遺影で葬儀をしてしまった。故人の希望通りにしてあげられなかったことが心残りだ」と、女性は肩を落としました。

終活の例から学べる注意点

ここまでご紹介した終活の例からは、共通して学べる注意点があります。次の3つを意識して終活をすれば、大きな失敗は防げるでしょう。

早めに始めるのが吉

終活の成功例を見ると、3つのケースいずれも、早めに終活を始めていることが分かります。体力、気力が充実し、遺影に活き活きとした表情を残せるうちから活動した方がいいでしょう。

若いうちから終活を始めることには、別のメリットもあります。それは、終活で自分の来し方を振り返ることで、これからどんな人生を送っていきたいかが明確になることです。定年退職して第二の人生を始めるときなど、人生の節目に終活を始めるのがおすすめです。

終活のメリットとデメリットを知っておく

終活は早めに始めるのが良いとは言っても、失敗例にあったように、早めにリフォームしたがゆえに体力が落ちてしまう可能性もあります。終活を始めるなら、メリットと同時にデメリットも知っておき、デメリットに対する対策を取っておくのが大事です。

例えば、散骨のデメリットは、失敗談にあったように家族の喪失感へ繋がってしまうことです。「もし寂しいようであれば、手元に遺灰を少しだけ残し、小さな骨壺に納めて手元供養を行ってほしい」などと家族へ伝えておきましょう。

なお、生前整理にもデメリットがあります。ガランとした部屋を見て「スッキリした」と晴れやかな気持ちになる人もいれば、「寂しい」「生きる気力がなくなった」と感じる人もいるのです。

少しずつ整理を進め、思い出として残したいものは無理に触らず、一定期間置いてからまた処分を検討してみるなど、時間をかけた生前整理がおすすめです。

終活していることを家族に告げておく

終活の失敗例では、エンディングノートの存在を家族に告げていなかったがゆえに、希望通りにならなかったケースが見られました。

エンディングノートの存在だけでなく、契約した霊園の情報など、自分の死後について決めたことがあればすぐ家族に伝えておくのが大事です。

希望を決めるのは自分自身でも、その希望を実行するのは家族であることを必ず念頭に置いて終活を行いましょう。

【まとめ】終活は早くから、家族を巻き込んで行いたい

終活の成功例と失敗例を見ると、終活は早くから、かつデメリットに対する対策を考えながら行うのが良いことが分かります。また、終活を行っていることは家族へオープンにした方がいいでしょう。

「家族に迷惑をかけたくない」と考える人のなかには、終活になるべく家族を巻き込みたくないと思う人もいるでしょう。しかし、終活していることを黙っていると、かえって家族に迷惑をかけてしまうことになります。「遺影はどちらがいいと思う?」などと、明るく話せる関係が理想的です。

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【監修】奥山晶子(終活カウンセラー、FP(2級))

奥山晶子

これまでの略歴

葬儀業界を経験した後、出版社勤務を経て終活全般のライターへ。2012年より2年間「葬送の自由をすすめる会」理事。終活カウンセラー、FP(2級)。近著に『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある

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