お墓の維持費はいくら?3種類の費用について内容や相場を解説

「今後、親が亡くなると自分がお墓を継がなければならない」などの事情で、お墓の維持費がいくらか、気になる人も多いと思われます。

ただ、ひとくちにお墓の維持費といっても、内容によってかかる金額や支払先が違います。お墓の維持費には、「年間管理費」と「お墓掃除の費用」、そして「お墓の修繕費」の3種類があります。

この記事では、3種類のお墓の維持費について、その内容や相場、お墓参りの代行業者を頼る場合の費用などをお伝えします。最後には、結局一年間にいくらお金がかかるのかをまとめた上で、お墓の維持費をゼロにする方法もご案内するため、気になる方はぜひ最後までお読みください。

お墓の維持費は「年間管理費」と「お墓掃除の費用」、「お墓の修繕費」の3つ

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お墓の維持費には以下の3種類があります。

  • 年間管理費
  • お墓掃除の費用
  • お墓の修繕費

それぞれ、順番に内容や相場を解説します。

お墓の年間管理費の内容と相場

まずは「お墓の維持費」といえば多くの人が頭に思い浮かべる年間管理費について解説します。

お墓の年間管理費は、年に一度お寺や霊園に支払う費用

お墓の年間管理費は、年に一度、霊園やお寺に支払う費用です。お墓を契約するときに金額を提示され、費用に改定があればその都度知らされます。 年間管理費は、霊園全体の環境整備に使われます。霊園内のトイレや水場のメンテナンス、植栽の伐採、通路の清掃など、利用者の共有設備や通路を整えるために使われる費用です。 なお、寺院墓地を利用していると、寺院の修繕費への協力を臨時でお願いされることがあります。

お墓の年間管理費の費用相場

お墓の年間管理費の相場は5,000円から1万5,000円です。公営霊園は比較的安く、民間霊園は高い傾向があります。

また、庭園型の霊園など環境の管理維持が大変なケースほど、年間管理費が高くなります。

お墓掃除の費用は遠方住まいだと嵩みがち

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年間管理費は霊園全体を整備するための費用なので、個別の区画のお墓掃除は利用者自身が行う必要があります。遠方に住んでいると交通費が嵩みます。

お墓掃除の内容

お墓掃除では、区画内の草木を処理し、墓石や線香立てなどの小物を水洗いします。一番大変なのが草木の処理です。雑草を引き抜き、必要に応じて枝木を伐採し、処理した草木をゴミ袋にまとめます。

お墓掃除はお墓参りに合わせて行う人が多いため、お盆やお彼岸など、年に3~4回の機会があります。ただ、あまり整備されていない霊園で雑草が繁りやすいと、春から秋にかけ頻繁に通う人も見られます。

お墓掃除の費用相場

お墓掃除の費用には、掃除用品の費用と交通費とがあります。掃除用品は軍手や鎌、ホウキ、ちりとり、雑巾、水を入れるためのバケツなど一般的なもので、わざわざお墓掃除のために買うようなものでもありません。ホウキやちりとりなどは霊園に備え付けられている場合もあります。よって費用としては、特別考えなくてもいいでしょう。

交通費は、遠方に住んでいる人ほど嵩みます。新幹線で移動するほど遠くに住んでいる人の場合、年に3~4回お墓掃除をするとなると、年間で10万円を超えるケースもあります。

お墓掃除を代行業者に依頼した場合の相場

お墓掃除を代行してくれる業者があり、「お墓参り代行」などと呼ばれ、石材店や便利業者が運営しています。これら代行業者にお墓参りとお墓掃除をセットで依頼すると、1基につき1万~2万円が相場です。年間4回依頼すれば4万~8万円となります。遠方住まいの場合は代行業者に依頼した方が維持費を節約できるでしょう。

お墓から遠い場所で営業している代行業者に依頼すると、基本料金にプラスして、出張料金がかかる場合があります。

お墓の修繕は大がかりなものだと高額になる

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墓石や外柵は年数が経つと劣化し、修繕が必要になります。墓石の傾きや倒壊など大がかりなものほど高額になってしまいます。

お墓の修繕の内容

お墓の修繕の内容は、小さなものから大がかりな物までさまざまです。

小さなものだと、墓石のひび割れ、着色汚れ、彫刻文字のペイントはがれ、花立てや線香立ての破損などがあります。

大きいものだと、墓石のズレ、傾き、倒壊、欠け、外柵の劣化などがあります。墓石全体がズレたり傾いてしまうようなケースは、地震が原因のときもあるため、地震の後は念のためお墓を点検に行くのがおすすめです。

お墓の修繕の費用相場

墓石の小さな破損や小物の交換であれば、数万円の範囲で対処が可能です。

問題なのは大きな修繕です。10万円単位、規模によっては100万円単位で修繕費がかかる可能性があります。とくに墓石が傾いている場合、基礎から立て直しとなってしまうこともあり、すると100万円を超える費用が必要です。

結局、3つを合わせると年間でいくらかかる?

「年間管理費」と「お墓参りの費用」を合わせると、お墓の近くに住んでいる人なら年間5,000~1万5,000円、新幹線を使うような遠方住まいであれば年間4万5,000円~9万5,000円がかかります。

お墓の修繕費は毎年かかるものではありません。年数の経っている墓石ほど修理のリスクが高いと考えておきましょう。

お墓の維持費をゼロにする方法

お墓の維持費をかなり負担と感じるなら、維持費がゼロの方法を検討しましょう。「永代供養」「散骨」「手元供養」の3つです。

永代供養を選ぶ

永代供養とは、家族ではなく霊園の管理者や寺院がお墓の供養と管理を行うシステムです。永代供養を選ぶと、年間管理費は必要ありません。お墓掃除は霊園管理者が行ってくれます。墓石の修繕費用を負担する必要もありません。

永代供養は、墓石ではなく樹木を墓標とする樹木葬や、遺骨をたくさん収容する屋内施設である納骨堂でよくみられます。また、他の人の遺骨と一緒に眠る合祀墓は、全て永代供養です。

散骨を選ぶ

お墓を持たない選択肢として、散骨が挙げられます。散骨とは、海や陸地に遺骨を撒く行為のことです。遺骨を全て散骨すれば、お墓は必要ありません。よってお墓の維持費もいりません。

手元供養を選ぶ

手元供養とは、自宅などで遺骨を供養することです。仏壇に骨箱を安置したり、専用のお祈りスペースを作ったりして遺骨を供養します。散骨同様、お墓のいらない弔い方です。

【まとめ】お墓の維持費を把握して安心の供養を

お墓の維持費には、年間数万円がかかります。また、お墓の修繕が必要になると、多くの出費が予想されます。お墓を承継した人、承継する可能性が高い人は、この維持費を念頭に置いておくと安心して供養ができるでしょう。

もし維持費がかなりの負担と感じる場合は、永代供養や散骨など維持費をゼロにする方法を選ぶのも1つの手です。ただしその場合、今あるお墓を解体し更地にする費用が必要になります。また、自分のお墓をどうするかも考えなければなりません。

家族に合った供養方法を選べるよう、維持費のことも含めて、一度家族を交えて話し合ってみるのはいかがでしょうか。本音で話し合い、みんなが納得できる弔いの形を見つけましょう。

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【監修】奥山晶子(終活カウンセラー、FP(2級))

奥山晶子

これまでの略歴

葬儀業界を経験した後、出版社勤務を経て終活全般のライターへ。2012年より2年間「葬送の自由をすすめる会」理事。終活カウンセラー、FP(2級)。近著に『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある

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