「親の死後に相続した家を処分したいが売れない」「終活の一貫として持ち家を処分しようと思っているが売れない」など、終活時、相続時に問題となりやすい空き家の売却・処分。
すぐに買い手が見つかるケースばかりではなく、なかなか売れなかったり、不動産屋さんから買い取れない、取り扱えないと言われてしまったり、悩んでしまう方も多いと思います。
そこで、今回は、訳あり物件専門の空き家買取のプロが、売れない空き家の対処法などを詳しく解説いたします。
売れない空き家はどうする?売れない原因と3つの対処方法
空き家が売れない主な原因
売りに出しているにも関わらず、買い手が1年以上つかない場合は、次のような売れない物件の条件に当てはまってしまっているのかもしれません。
まずは、空き家が売れなくなってしまう原因として一般的なものを挙げてみました。売りに出している物件がこの条件に該当していないかどうかを最低限チェックし、改善できるポイントがないかを見ていきましょう。
原因1:立地の条件が悪い
主に次のような条件に該当していないかをチェックしましょう。
- 最寄り駅やバス停までの徒歩での距離が長い
- スーパーやコンビニ、ドラッグストアなど生活に必要なインフラが周囲にない
- 地震や洪水などの災害対策が十分ではない(海抜が低すぎる、災害対策整備がされていない、ハザードマップの危険区域内など)
特に立地において重要なのが、「最寄り駅までの徒歩での距離の長さ」です。
原因2:販売価格が相場よりも高い
地域によって相場価格というものがあります。相場価格よりも高い価格で販売している場合には買い手がつきにくくなる可能性が高くなります。
原因3:築年数が古い
戸建ての場合、築20〜25年程度で価値が0になると言われています。これは不動産業界で一般的に言われていることなので、必ずしも築20〜25年で売却査定が0円になるとは限りません。あくまで目安としてください。
原因4:建物の劣化や物理的瑕疵がある
物理的瑕疵とは、建物自体に損傷があったり、土壌汚染が発生していたり、地中に障害物が埋まっていたりなど、建物や土地などに何らかの物理的な不都合がみられることを言います。
- シロアリ被害にあったことがある
- 雨漏りする箇所がある
- 水回りの不具合がある
- 掃除や手入れができておらず、衛生的に問題がある
- 壁のひび割れ、屋根の欠損や腐食など建物に明らかな損傷がある
- アスベスト
- 床下浸水した経験がある
- 排水管の破損や亀裂、つまりなど
- 地中にゴミが埋まっている
- 欠陥住宅
- 耐震強度不足(築50年以上、1981年6月1日よりも前に建てられた物件は耐震基準を満足していない可能性があります)
原因5:デザインや間取りが生活向きではない
玄関を開けたらいきなりダイニングキッチンになっているなど、不思議な間取りになっている場合は、「生活向きではない」と判断されることが多く、買い手がつきにくい傾向があります。
デザイナーズ物件などにもよく見られますが、「おしゃれだけれども不便そう、生活しづらそう」と感じられてしまう場合も買い手が敬遠してしまう可能性が高くなります。
原因6:土地の形状や敷地面積に問題がある
土地が極端に細長かったり、鋭角の三角形をしていたり、土地の形状に何らかの難がある場合には、買い手がつきにくい傾向があります。
主に次のような項目に該当していないかをチェックしてみましょう。
- 傾斜地や崖地に建っている
- 土地の形が特殊(鋭角の三角形など)
- 細長い土地(奥行きが長い)
- 土地が極端に狭い(狭小地)
- 土地が極端に広い
原因7:再建築不可など、法律的瑕疵がある
例えば、他の土地に囲まれた土地であり、かつ接している道路の幅が4m未満もしくは接している間口が2m未満の場合は、未接道物件と呼ばれ、再建築不可となります。
再建築不可とは、リフォームなどの増改築や、解体して新しい家を建てることが法律的にできないということです。
このような法律的な基準を満たしていないために、土地や建物の有効活用が制限されてしまう法律的瑕疵物件は、買い手がつきにくい傾向があります。
また、このような物件を買い取ることができない不動産会社が多いのも、売主を悩ませる原因の1つです。
次のような法律的瑕疵に当てはまっていないかどうかをチェックしてみましょう。
- 他の土地に囲まれた土地であり、接している道路の幅が4m未満、間口が2m未満の物件(未接道物件)
- 違法に増改築された物件(違法建築物)
- 市街化調整区域内の物件
- 未登記物件
- 容積率や建ぺい率を満足していない物件
- その他、建築基準法や都市計画法、消防法などを満足していない物件
原因8:心理的瑕疵がある
心理的瑕疵物件とは、住むにあたって心理的に「嫌だなぁ」と感じるような事情を抱えた物件のことです。
代表的なものが物件内で人が死亡した「事故物件」です。
主に次のようなものが心理的瑕疵と呼ばれます。該当するものがないかチェックしてみましょう。
- 建物や敷地の中で人が死亡した(自殺、事故死、病死、突然死、孤独死など)
- 病院の跡地
- 建物のそばに嫌悪施設がある(反社会的勢力の事務所、原発、お墓、ガスタンク、清掃工場、刑務所、鉄塔、風俗、火葬場、ゴミ屋敷、宗教施設、軍事施設、下水処理場など)
- 前の居住者に問題があった物件(逮捕、夜逃げなど)
売れないからと、安易に行ってはダメな4つの対処法
物件が売れないから、と焦って安易に対処してしまった結果、かえって大きな損失を被ってしまうケースもあります。
一般的な方法で物件が売れない場合、専門知識がない状態での対処は、リスクが高いため、避けるべきです。
具体的には次のような4つの対処法を、物件が売れないからと言って安易にやってしまう方が多いので注意しましょう。
- 物件の放置
- リフォーム
- 解体、更地化
- 無償譲渡
なぜ注意が必要なのか詳しく説明します。
1、物件の放置
相続などで引き継いだ、売れない物件に対してやってしまいがちなのが放置です。放置すると、家の劣化が進みやすくなります。
結果的に劣化が進みすぎて近隣住民からのクレームにつながったり、国から特定空き家に指定されて固定資産税が増額されてしまうなどのリスクが発生します。
もし、物件を活用できない、売れないのであれば、放置ではなく、後述する「売れない空き家を売却する方法」を知って検討してみましょう。
2、リフォーム
「売れないのは、家がボロいせいだ」などと決めつけて勝手にリフォームをしてしまうのも時期尚早です。リフォームには数百〜数千万円の費用がかかります。
しかし、リフォームをしても買い手がつかないというケースはよく発生します。結果的に大幅な値下げをせざるを得ずに大きな損失を被ってしまうリスクがあるのです。
売れない理由は「ボロいせい」だけではないかもしれません。まずは、現状の状態で売却できないか、方法や売却できる業者などを探すのが先です。
3、解体・更地化
「物件が売れないのであれば、土地にして売ればいいじゃないか」というのも時期尚早です。
解体費用が数百万かかりますし、さらには物件だからこそ適応されていた「住宅用地の特例」が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍になってしまうこともあります。
このようにお金をかける前に、まずは現状で売れる方法や工夫を模索していくことが先です。
4、無償譲渡
売れない空き家であっても、維持費や固定資産税はかかり続けます。そのため、「売れない状態が続くと維持費や固定資産税がかかり続けるから、誰かにあげてしまおう」と考える方も多いようです。
しかし、空き家の譲渡も譲渡する側、譲渡される側の関係性や固定資産税評価額などによって、完全に無料ではない場合があるので、やる前には、どれぐらいの費用がかかってくるのか、注意が必要です。
売れない空き家を売却する!検討すべき3つの対処方法
どのような問題を抱えた物件であっても、基本的には工夫次第で売却は可能です。一般的に知られているような方法での売却が難しいというだけです。
例えば私が運営する訳あり物件買取専門の『スマイル空き家買取センター』に買い取りを依頼される方の多くは、「不動産屋さんを何軒も何軒も回ったが買取してもらえなかった」「数年以上誰も買い手がつかなかった」という方がほとんどです。
ですが、結果的に物件を買い取れています。
このように、一般的には知られていないないだけで、「なぜ売却できないのか?」という原因や理由、そして「どうすれば売却できるのか?」の方法を理解すれば、どのような物件であっても基本的には売却が可能です。
もし今あなたが「相続した空き家に問題があり、売れずに困っている」という場合は、安易にリフォームや解体・更地化、放置などをせず、次のような方法での売却を検討してみましょう。
方法1:売却価格を下げてみる
空き家に特に問題がないのに、なかなか売れない場合に考えられる原因が「売却価格の高さ」です。その地域の相場価格よりも高かったりすると、買い手がつきにくくなってしまいます。
特に問題がないのに売れない場合には、適正価格の調査と、売却価格の適正化、もしくは低価格化を検討してみましょう。
方法2:不動産業者を変えてみる
売却を依頼した不動産会社がしっかりと宣伝活動を行っていない場合もあります。例えば、物件の詳細がわかるような間取り図や写真を掲載していなかったり、そもそも広告掲載していなかったり、などです。
そのような実態を売主側が掴むのは難しいと言えますが、価格も適正で、物件にも特に問題ないのにも関わらず売れない場合には、業者を変えてみるのも一つの手です。
業者を変えてすぐに買い手が決まったというケースは、よくあります。
方法3:訳あり物件専門の買取業者に売却を検討
通常、物件の売却は不動産仲介業者を通じて購入者を見つける方法が一般的です。しかし、問題を抱えている物件の場合、買い手を見つけるのが難しく、時間がかかることがあります。
そのため、一般的な不動産屋さんでは取り扱うことができずに断られてしまうこともしばしば。
私の運営する「スマイル空き家買取センター」にも、「十数軒の不動産会社に断られて途方にくれていた」という方がたくさんいらっしゃいます。
このような場合には、訳あり物件専門の買取業者に売却を検討してみるのがおすすめです。
訳あり物件専門の買取業者は、一般的な不動産屋さんとは違う販路を持っていたり、販売・活用ノウハウを持っていたりします。
もし、何らかの「売れない原因」を持った物件を相続などで所有することになってしまった場合、処分したくても処分できない場合には、訳あり物件専門の買取業者への売却を検討してみてください。
空き家の実際の売却手順についてさらに詳しく知りたい方は、実際に買取を行っている訳あり物件買取プロの 記事も参考にしてください。
売れない空き家も方法次第で売却できる!
終活や相続で売れない空き家に悩む方は多いと思いますが、基本的には方法次第で売却が可能です。しかし、このような売れない空き家は、一般的な不動産屋さんでは取り扱ってくれなかったり、長期間売れない状態が続いたりしてしまう傾向があります。
そういった場合には、自分でリフォームを決断したり、解体して更地にしたり、無償譲渡したり専門知識がないままに対処しようとせず、訳あり物件買取専門の業者に相談してみましょう。
一般的な不動産屋さんとは持っている販路が違うため、売却できる可能性が高まります。
終活・相続で空き家の売却に困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【監修】橘田 浩志(有限会社アティック取締役)
これまでの略歴
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。
アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など、不動産を活用する事業も並行して行う。
2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。
これまでの略歴
有限会社アティック取締役の橘田浩志です。2000年にデザイン会社として創業。出版を中心に雑誌や書籍などのデザインを手がける。2013年より不動産賃貸業を始める。
アパート、区分マンション、戸建てなど様々な物件を購入。他にシェアオフィス 「原宿テラス」や民泊の運営など、不動産を活用する事業も並行して行う。
2023年より不動産業として日本全国の戸建物件の買取再販、東急世田谷線沿線専門仲介などの事業をスタート。
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