葬儀を執り行う機会は一生のうちに1,2回程度です。そう考えると、そもそも事前準備をしておく必要性をあまり感じない方も多いのではないでしょうか?
葬儀に関する準備の全てをチェックリスト付きでご紹介
人の死は突然やってくる
人が亡くなるタイミングというのは、当然ながら誰にも予想はつきません。長年の闘病生活の末に亡くなってしまう方もいれば、突然の病に倒れて数日のうちに亡くなってしまう方もいらっしゃいます。
高齢化社会と呼ばれて久しく、男性の平均寿命は81.41歳、女性は87.45歳というデータが示す通り、昔と比べれば長生きをする方が圧倒的に増えてきています。それでも今、世界中に蔓延している未知のウイルスなどによって、残念ながら平均寿命に満たない年齢で亡くなってしまう方もいらっしゃいます。また、必ずしも病院で亡くなるというだけではなく、介護施設や自宅での看取りといったケースも年々増加してきています。
そういった現代の様々な変化に伴い「終活」が話題となって、生前のうちから自分や家族の死に対しての準備を考える方もいらっしゃるでしょう。実際、「葬儀の手順を正しく理解しているかどうか」「事前にしておかなくてはならないことは何か」などのポイントを知識として触れておくだけでも、いざという時に慌てずにいられることは間違いありません。
次のセクションからは、臨終の瞬間から葬儀を終えるまでの流れに沿って確認しておくべきポイントをチェックリスト形式でまとめています。ぜひとも参考にしていただき、葬儀の準備のためにお役立てください。
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死亡診断書の確認〜搬送まで
病院や介護施設などで亡くなった場合を想定して、その際に確認しなければならない点を以下にまとめました。
- 死亡診断書はすぐに書いてくれそうですか?(時間帯によっては翌日以降の場合も)
- 記載されている生年月日などに間違いがありませんか?
- 葬儀社の手配はお済みですか?
- 互助会などを含めて、事前に会員になっている業者はありませんか?
- 搬送先は決まっていますか?(自宅or葬儀場の安置施設)
- 故人を安置する部屋はエアコンが設置されていますか?(夏場は特に重要)
このように、死亡診断書の確認が済んだあとは、まず最初に葬儀社へと依頼をする段取りから始まります。そのため、特に決まった業者がない場合は、亡くなった直後から葬儀の依頼先を決めなくてはなりません。
基本的には住んでいる地域の近くにある業者に依頼するのが安心ですが、最近ではインターネット上で検索をしても、たくさんの業者が出てきます。
あるいは大きい病院の場合は、出入りしている葬儀社がいることもありますので、その場で依頼することも可能です。ただし、業者によっては強引なやり方で決めさせようとしてくるケースもありますので注意しましょう。その際は検討する時間を設けてもらうか、ひとまず搬送だけの依頼をするといった対応でも構いません。
なお死亡診断書(死亡届)に関しては、必要事項を記入して7日以内に役所へ提出する必要があります。こちらの届出は多くの場合、葬儀社が代行をしてくれます。ただし死亡届は、葬儀後に保険の請求などで必要になってくる書類のため、必ずコピーを5部ほど控えた状態で預けるようにしましょう。
お葬式の日程と葬儀場を決める
故人を安置した後は、各方面へと連絡をとりながら、お葬式の日程と葬儀場を決めるための打ち合わせが必要になってきます。その際に確認をしておく点としては以下の項目が挙げられます。
- 菩提寺はありますか?(仏式の場合)
- 住職に都合の良い日程の確認はできましたか?
- 代々決まった宗派はありますか?(菩提寺がない場合)
- 喪主はどなたが務めますか?
- 参列者としてどの方まで訃報をお知らせしますか?(会社関係・町会・友人)
- 遺影写真の用意はお済みですか?
- 葬儀プランの内容に不明点はありませんか?
- 棺の中へ一緒に納める副葬品はありますか?
お葬式の日程を決める上では、様々な都合を考慮する必要があります。
例えば、葬儀場や火葬場の空き状況などです。また、菩提寺がいる場合は、住職の都合を確認する必要があるため、すぐに日程や場所を決められないこともあります。それぞれ葬儀社のスタッフに確認をしながら、慎重に進めていきましょう。
そしてこの段階で特に重要なのは「喪主をどなたが務めるか」ということです。なぜなら喪主は、お葬式の打ち合わせの段階から様々な意思決定をしなくてはならず、式の当日も忙しく動き回る必要が生じるからです。そこで大事になってくる喪主の役割についても詳しくみていきましょう。
喪主の役割はとても重要
喪主は通常、故人から見て血縁関係が1番近い人物が務めます。仮に旦那さんが亡くなったとすると、その配偶者である奥さんが喪主になります。奥さんが既に他界されているようであれば、長男、もしくは長女にあたる関係の方が喪主になることが多いでしょう。
いずれにせよ、気持ちが落ち込んでいる中で精神的・肉体的にも負担がかかる可能性が高いため、事前に家族間でしっかりと相談しておくことが必要です。
お葬式の準備の段階から喪主の役割は多岐に渡ります。菩提寺とのやり取りや参列者のリストアップ、訃報の連絡などを順番におこなっていきます。その上で葬儀社と打ち合わせをして、葬儀プランを決定し、費用や支払い方法について確認をします。
お葬式の当日(通夜)には、親戚や参列者、菩提寺などの案内をするため、早めに葬儀場へと到着していなくてはなりません。また、式場内では祭壇脇に飾られている供花名義の順番決めや、親族の席順についても事前に確認をしておく必要があります。
特に開式の前後には参列者が多く集まってくるため、それぞれの方へと挨拶回りをしていきます。状況によっては故人との対面を案内したり、通夜振舞いの会食の席へと声がけをすることもあるでしょう。
また、参列者や親戚が帰ったあとには、葬儀場に泊まって故人と一晩を過ごす方もいらっしゃいます。終日対応に追われていると、この段階でやっと一息がつけるような状況です。
このように、喪主はお葬式の準備から始まって、実際にお葬式当日を迎えてからも常に動き回って、周りに気を遣う場面が多くあります。参列者の数が多くなって、お葬式の規模が大きくなってくると、さらにその負担が大きくなってしまいます。
そのため、喪主1人で全ての役割をこなそうとするのではなく、必要なところでは周りの家族に助けを求めて、共に協力をしながらお葬式に臨むようにしましょう。
通夜〜告別式〜火葬まで
続いて、お葬式当日を迎えた際に、現地で確認しておくべき点について順番にみていきましょう。
通夜
香典を預かるための受付をされる方は決まっていますか?
当初の参列予定人数から変更はありませんか?
通夜料理・返礼品の数量は不足していませんか?
会葬礼状に記載している名前などに誤りはありませんか?
住職へ渡すお布施の用意は出来ていますか?
告別式・火葬
出棺時の挨拶の内容は決まっていますか?
精進落としのお弁当の数量は変更がありませんか?
会食の際に献杯の発声をどなたかに依頼されましたか?
火葬場までの移動手段はお伝えしていますか?(マイクロバス・自家用車など)
火葬場の職員から埋葬許可証を受けとりましたか?
お葬式当日には、特に人数などの細かい確認事項が増えてきます。事前に用意をしなくてはならない料理や返礼品に関しては、不足があると会葬者へ失礼になってしまうので、都度確認をして葬儀社のスタッフへと伝えるようにしましょう。
また、喪主としては出棺時や会食前に挨拶をする場面がありますので、話す内容を事前に考えておく必要があります。こちらは葬儀社のスタッフに聞くと例文をもらえたり、内容の添削等をしてくれるはずです。
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- 葬儀における喪主挨拶の文例
もしも不安が残るようであれば、一言一句書いた用紙を手に持って挨拶をしても問題はありません。いずれにせよ、しっかりとお礼の気持ちが伝わるようにすることが重要です。
葬儀後の手続きチェックリスト
最後に葬儀を終えた後にしなくてはならない手続きに関しては、数も多いため主要なものに絞ってまとめています。基本的には葬儀社から、葬儀後に書類として一式をもらえますので、そちらを参考に手続きを進めていきましょう。
ただし手続きによっては、弁護士や税理士、保険会社などに任せなくてはならないものもありますので、該当するものがある方に関しては、それぞれの専門家へとお問い合わせをすることをオススメいたします。
- 故人の年金受給停止の手続きをしていますか?
- 埋葬料、もしくは葬祭費の支給申請をおこないましたか?
- 死亡時の保険受け取り請求はお済みですか?
- 相続税の申告・納付手続きはおこないましたか?
- 世帯主の変更手続きはされていますか?
- 株式や社債などの名義変更はされましたか?
- 公共料金の支払先口座の変更はお済みですか?
ほとんどの手続きに関しては数ヶ月から1,2年程度の期間が設けられていますので、お葬式が終わるまでの間に慌てて済ませる必要はありません。
ですが、故人が年金受給をされていた場合には注意が必要です。この年金の手続きに関しては、亡くなった日付から14日以内におこなわなければなりません。また、亡くなった翌月分の支給をされてしまうと、返納する手続きを別途おこなう必要が出てきてしまうため、なるべく早めに済ませておいたほうが賢明です。
遺産がある場合などは、親族間で相続に関する話し合いに時間がかかることもありますので、優先順位をつけながらも手続きに関しては事前にしっかりと把握をしておきましょう。
【葬儀に関する準備の全てをチェックリスト付きでご紹介のまとめ】
いざという瞬間を迎えてから、葬儀を終えるまでは数日からおよそ1週間程度です。しかし、それぞれの過程において確認が必要な点や、決めなくてはならないことが山のように存在しています。分からない点は都度、葬儀社のスタッフや専門家へと相談した上で、着実に準備をすすめていくようにしましょう。
【監修】池原充子(終活専門相談員)
これまでの略歴
身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了
兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒
これまでの略歴
身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了
兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒
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