遺言書の効力はいつから生じる?遺言書の効力が生じる要件を解説

遺言書の効力がいつから生じるのか、遺言者になれるのはいつからか、自筆証書遺言の効力に関する注意点などについて解説します。

遺言書の効力は遺言者の死亡時から

遺言書の効力はいつから生じる?遺言書の効力が生じる要件を解説01

遺言書の効力はいつから生じるかというと、遺言者(遺言を行う人)が亡くなった時からです。

民法第985条第1項
“遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる”

したがって、たとえ遺言書の内容がすでに遺族の間に知れ渡っている状況であったとしても、遺言書の効力は、遺言者が亡くなるまで生じません。

停止条件が付された遺言書の効力は成就のときから

遺言には、遺言者の意思で、財産を取得させるための条件を付けることができます。

たとえば「◯◯が結婚したら△△を相続させる」とか、「◯◯が医師になって病院を継いでくれたら△△を遺贈する」というような条件です。

この場合、遺言者が亡くなったとしても遺言書の効力は生じず、その条件が成就されたときに、遺言書の効力が生じます。

もし遺言者が亡くなった時点で、すでに条件が成就されている場合は、通常の遺言書と同様に、遺言者が亡くなった時から効力を生じます。

民法第985条第2項
“遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。”

遺言者になれるのはいつからか

遺言は、15歳に達したときから行うことができます。

通常、未成年者は、法律行為を単独で行うことができませんが、遺言については、この取り扱いの例外となり、15歳を迎えれば単独で遺言を行うことができるようになります。

理由は、遺言が、本人の意思が尊重されるべき性質のものであることや、遺言の効力が生じるときにはそもそも遺言者がこの世にいないため、未成年者である遺言者を保護する必要がないことなどです。

ただし、年齢要件だけを満たしていれば、無制限に遺言が認められるわけではなく、遺言を行うときには、遺言者に「遺言能力」がなければなりません。

このことから、成年被後見人(※)が作成する遺言書などには、一定の制約が設けられます。

(※)判断能力が乏しい等の理由から、成年後見制度により家庭裁判所から成年後見人を付された人のこと

自筆証書遺言の効力に関する注意点

遺言書の効力が発生するのは、遺言者が亡くなったとき(「停止条件」が付された遺言書の効力はその成就から)ですが、そもそも遺言書の効力を生じさせるには、遺言書が正しい方式により作成されていることや、作成した遺言書が発見されることが必要です。

遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3つの方式があります。

その中でも自筆証書遺言とは、遺言者が、すべての内容を自書(手書き)で遺言書を作成する遺言のことで、紙とペンがあれば、専門家や他者の力を借りずに作成できる、最も身近な遺言書といえます。

しかし、自筆証書遺言による遺言書を作成する場合は、次の点に注意が必要です。

記載事項をもれなく手書きで行うことが必要

自筆証書遺言の効力が生じるのは、遺言者がその全文、日付及び氏名といった記載事項を自分で手書きし、これに押印を行っているものです。 また遺言書を作成した後に、内容を修正するときは、修正を加える場所を指示し、変更したことを付記してその場所に印を押さなければ、その修正に効力は生じないとされています。

もちろん形式的に誤った遺言書であっても、相続人全員が話し合って、遺言者の意思を実現するよう遺産分割することは可能です。 しかし、遺言書の内容に納得のいかない人がいる場合、作成方式に誤りのある遺言の効力について、争いが生じることは避けられません。 相続人同士で解決できなければ、調停や裁判に発展することもあります。

相続人に発見されるよう工夫が必要

自筆証書遺言は、専門家の手を借りずに作成できることから、1人で作成し、そのまま自身で保管することが少なくありません。 家族に見つからないよう、隠して保管する場合もあるでしょう。

ところが自分で保管したり、隠したりすると、亡くなった時に遺言書を誰からも発見してもらえない可能性があります。 いくら正しい方式で遺言書を作成し、法律上の要件を充足した有効な遺言書だったとしても、遺言書そのものが発見されなければ、遺言の内容は実現されず、遺言書に効力がないのと同じことです。 自筆証書遺言は、相続人などに確実に発見してもらえるよう工夫が必要になります。

法改正によって自筆証書遺言が利用しやすくなった

比較的手軽に作成できる反面、注意点の多い自筆証書遺言ですが、約40年ぶりの相続法の改正によって、自筆証書遺言が利用しやすくなりました。

財産目録の作成要件が緩和された

これまで遺言書に添付する財産目録は、すべて自書しなければなりませんでしたが、法改正によって、パソコンで作成した財産目録や通帳などのコピーを使用できるようになりました。

改正前は、不動産であれば所在地の番地や家屋番号、預金口座であれば1つ1つの口座番号や預金の種類など、遺産を識別するための情報を正確に書き取らなければなりませんでしたが、改正によってその負担が大きく軽減されました。

ただし、パソコンで作成した財産目録や通帳のコピーなどは、それぞれに署名押印する必要があります。

また、改正法は平成31年1月13日から施行されていますが、それ以前に作成された自筆証書遺言には適用されないため、注意が必要です。

自筆証書遺言の保管制度が創設された

自筆証書遺言による遺言書を、法務局において保管してもらえる制度が創設されました。この制度を利用すれば、遺言書の紛失や、遺言書を相続人などに発見してもらえないというおそれがなくなります。

法務局による保管制度は、令和2年7月10日から施行予定です。

遺言書で指定した財産の分け方と法定相続分の関係

遺言書では、特定の遺産を相続させるという内容や、遺産の割合を指定する内容などで、相続人の遺産分割の方法を指定することができます。

また、相続権のない人に財産を遺贈することも可能です。

もし遺言書によって指定された相続分と、法定相続分が異なる場合、遺言書の内容が優先されます。ただし、相続人の遺留分を侵害する場合、遺言書の内容が実現しない可能性がでてきます。

相続人の遺留分を侵害する遺言書の効力

遺留分とは、相続人に認められている最低限の遺産を受け取れる権利のことです。

遺留分は、兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者や子、親など)に認められ、それぞれの法定相続分の2分の1(相続人が親など直系尊属のみの場合は3分の1)となります。

もし遺言書の内容が、遺留分を侵害する内容であったとしても、その遺言書が他の要件を満たしていれば、その遺言書は有効となります。

ただし遺留分減殺請求(遺留分に不足する遺産の請求)によって、遺言書の内容どおりの相続や遺贈が実現しない可能性があるということは知っておきましょう。

【遺言書の効力はいつから生じる?遺言書の効力が生じる要件を解説のまとめ】

遺言書の効力は、遺言者の死亡時(「停止条件」が付された遺言書の効力はその成就から)から生じます。

しかしその遺言書の内容が実現されるためには、その遺言書が相続人などに無事に発見されること、法律で定められた方式によって作成されたものであること、そして作成時に遺言能力があることが必要です。

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