費用のかかる終活には、身のまわりを片づける生前整理、遺言書の作成、葬儀やお墓の準備、介護状態になることを見据えた住み替えなどがあります。これらの終活を本格的に行えば、少なくないお金がかかります。
この記事では、終活に最低限必要な費用について解説します。そして今からできる費用削減術をご紹介するため、
是非、明日からでも始めましょう。終活は元気で体がしっかり動くうちから始めるほど、自分でできることが多いためです。また、調べる時間をたっぷり取れれば、知識が増えるぶん費用を軽減できることも増えます。
終活費用の相場は?最低限必要な費用と今からできる費用削減術
終活に最低限必要な費用
終活にはさまざまなものがありますが、一般的に最低限必要な終活について考えた場合、かかる費用は以下のようになります。
- 生前整理:3,000円~50万円
- 遺言状の作成:2万円~20万円
- 葬儀の準備:200万円
- お墓の準備:250万円
- 終の棲家のための費用:5万円~数千万円
合計で457万3,000円から、多ければ数千万円の出費となります。詳細をご案内しましょう。
生前整理
生前整理とは、自分が亡くなったとき子世代などが部屋の片づけで困らないよう、不用品を処分したり、印鑑や通帳などの貴重品をまとめておいたりすることです。
不用品回収業者などに不用品の処分を依頼すると、数万円から、家中の清掃なども含めると50万円ほども費用がかかることがあります。
不用品を自分で仕分けることができれば、生前整理の費用は粗大ゴミの処分料金程度で済みます。粗大ゴミの回収料金は自治体により違いますが、大きなタンスの場合、1000円から2000円程度です。3竿で3000円から6000円程度になります。
遺言書の作成
遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言があり、公証役場へ出向き、公証人に作成してもらう公正証書遺言は、確実に法的効力を持ちます。 公正証書遺言の作成手数料は、遺言の目的となる財産の価額によって違います。生命保険をかけており、不動産を所有している場合、1,000万円を超えるケースが多いでしょう。
1,000万円を超え3,000万円以下の場合、手数料は2万3,000円です。 遺言内容を最初から相談したいと考えた場合、司法書士など法律の専門家へ依頼することになります。相談料は数万円から、内容によっては20万円を超える場合もあります。
参考:Q7.公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?(日本公証人連合会)
葬儀の準備
葬儀のお金を確保しておく必要があります。親族の他、友人や会社関係に参列してもらう一般的な葬儀をすると、棺や祭壇などの儀式に関わる費用、通夜振る舞いなどの飲食費、返礼品の費用、お布施など全て合わせて200万円ほどがかかります。
参考:葬儀費用の平均相場はどれくらい?知っておきたいポイントあわせて解説(りそな銀行)
お墓の準備
自分が入るお墓がない場合は、生前にお墓を建てておくと子世代の負担が減ります。子世代がお墓の管理や供養を引き継ぐ一般的な承継墓の場合、お墓の区画の使用料と墓石の費用を合わせて250万円ほどが相場です。
終の棲家を決める
高齢の夫婦2人暮らしや一人暮らしの場合、いずれは老人福祉施設へ住み替えを行うか、バリアフリーにリフォームして自宅を終の棲家にするか、2つのパターンが考えられます。
特別養護老人ホーム(特養)など使用料が抑えられている福祉施設への入居には、指定された要介護度以上である必要があります。要介護度の制限がない福祉施設では、毎月の使用料の他、数十万円から数千万円の入居金がかかるのが一般的です。
なお、バリアフリーの工事をする場合、手すりの設置のみであれば5万円程度で済みますが、段差の解消や滑りにくい床材への変更を行うと数十万円がかかります。また、自宅に長く住み続けるため、修繕費用も必要です。キッチン周りや浴室のリフォーム、屋根の修理、外壁の修繕とトータルでメンテナンスすると、300万から500万円がかかります。
費用削減術
終活費用は工夫次第で減らせます。種類別に、費用削減術をご紹介します。
リサイクルショップを頼る
家財がたくさんあるようなら、リサイクルショップに電話しましょう。引き取り料金の見積もりに来てもらいます。引き取り金額よりも買い取り金額が多くなるようなら、まとめて運んでもらうのがおすすめです。
自筆証書遺言に挑戦する
自筆証書遺言は、財産目録以外を自筆で作成する遺言です。紙とペン、印鑑があれば誰でも作れます。よって作成費用はほぼ無料です。 ただし、書き方の様式が要件を満たしていない場合は法的に無効とされます。法務省の公式サイトで書き方を学びましょう。
参考:遺言書の様式等についての注意事項(自筆証書遺言書保管制度)
家族葬や一日葬、直葬を検討する
親族中心の家族葬なら葬儀の規模が小さくなるため、食事や返礼品の費用を減らせます。その他、通夜を行わず葬儀のみを行う一日葬、葬儀自体を行わず火葬のみとする直葬など、一般的な葬儀よりも費用をぐっと削減できる葬儀形式が増えています。お近くの葬儀社で扱っていないか、確認してみましょう。
合祀墓や散骨を検討する
骨壺から遺骨を取り出し、他の人の遺骨と一緒に埋葬する大きなお墓を合祀墓といいます。合祀墓の費用相場は10万円から30万円程度です。海や陸地に遺灰を撒く散骨の費用相場は、業者に遺骨を送って散骨してもらうなら5万円ほど、散骨の現場へ遺族も出向くなら15万円から30万円ほどです。
リバースモーゲージを検討する
リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関からお金を借りるシニア層向けの融資システムです。契約者の存命中は利息のみを支払い、元金は契約者が亡くなってから相続人が担保物件を売却するなどの方法で完済します。
担保となった自宅にずっと住み続けられるため、リフォームや修繕費用の借り入れ、住み替え費用の確保に便利です。都市部の一軒家など対象物件の要件が厳しい、融資の限度額が自宅の評価額の50~60%程度であるなどのデメリットがありますが、継ぎ手のいない家にあっては空き家対策にもなります。
【まとめ】終活費用の削減術は家族と相談して進めよう
【監修】奥山晶子(終活カウンセラー、FP(2級))
これまでの略歴
葬儀業界を経験した後、出版社勤務を経て終活全般のライターへ。2012年より2年間「葬送の自由をすすめる会」理事。終活カウンセラー、FP(2級)。近著に『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある
これまでの略歴
葬儀業界を経験した後、出版社勤務を経て終活全般のライターへ。2012年より2年間「葬送の自由をすすめる会」理事。終活カウンセラー、FP(2級)。近著に『ゆる終活のための 親にかけたい55の言葉』(オークラ出版)がある
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