葬儀において喪主のやることや役割は非常に多岐にわたっています。大切な方を亡くして、心の余裕もないまま、期間としてはどんなに長くとも1週間程度の間で、様々な意思決定をおこなわなくてはなりません。
最近では家族葬という形式が広まってきており、規模が縮小化している傾向にありますが、喪主のやることについては例え身内だけのお葬式であっても大きく変わることはないでしょう。しっかりと喪主としての責務を果たしつつも、最後のお別れの時間を後悔なく過ごすためには、あらかじめ全体の流れや、やるべきことを明文化しておく必要があります。
今回は逝去を告げられたタイミングから順に、それぞれの注意点を交えながら9つのセクションに分けてご紹介をいたします。
【2023年最新版】喪主のやることリストを9つに厳選してご紹介
喪主は誰が務める?
喪主とは、遺族の代表となってお葬式を執り行い、弔問を受ける人のことです。お葬式における喪主の役割は誰が務めるのでしょうか?
特に決まりはありませんが、一般的には亡くなった方の配偶者か、子供である長男・長女など故人と近しい関係にある方や血縁関係の深い方が務めることが多いです。また、喪主を務める方は状況によっても異なります。
例えば故人の配偶者が高齢である場合などは、存命であっても子供達の誰かが喪主を務めることがありますし、生前に1番長く同居してお世話をしていた方がいれば、孫や親戚にあたる方でも喪主になる可能性もあります。
いずれにせよ、喪主を務めるということは短期間であっても決めることが多く、大変忙しい立場となりますので、家族間でよく相談して決定をすることが望ましいです。その上で、喪主1人だけに負担がかからないように、うまく分担してサポートできる体勢を整えておくことも大事になってくるでしょう。
逝去後にまずは葬儀社への連絡から
葬儀社を決める
逝去を告げられた後に、真っ先におこなう必要があるのは葬儀社をどこに決めるかということ。昔はご自宅での看取りというのもありましたが、現在は病院か介護施設などで最後の瞬間を迎えることがほとんどです。
その際に、病室や施設の部屋をなるべく早く空けたいという考えから、その場ですぐに葬儀社への連絡をするように言われます。
既に事前相談や資料請求をしており、葬儀社を決めている場合は専用窓口に電話をして、まずはお身体のお迎えを依頼するようにしましょう。
また最近ではスマホを使ってインターネットで検索し、自分の住んでいる地域の近くにある葬儀社を探して連絡するという方も多くいらっしゃいます。
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安置先を決める
お迎えの車が到着した際に、まずはお身体のご安置場所を決める必要があります。こちらも以前は、自宅へお帰りになるケースがほとんどでしたが、住宅事情によっては安置や搬送が難しいというご家庭も増えてきました。
そこで最近では、斎場や葬儀社の所有する専用の安置所を利用する方も多くいらっしゃいます。場所によっては時間の制限があるものの、事前に連絡することで故人との面会をすることも可能です。
書類の手続きから故人の荷物整理など
死亡診断書を受け取る
逝去された場所にて医師から死亡診断書が発行されます。ただし夜中や朝方など、担当医師が不在の場合はすぐに発行されない場合もありますので、その際はあらためて書類を取りに伺う必要があります。
他、入院費用の支払いなども合わせてお願いされることもありますので、少し余裕をみて現金の準備をしておくと安心です。
死亡診断書には名前や本籍など、喪主による記入が必要な欄があります。記入後には必ず死亡診断書のコピーを取っておくようにしましょう。なぜなら、原本は提出して亡くなってしまうため、逝去後におこなう手続きはそのコピーで対応していくことになるからです。
死亡診断書の提出やコピー取りに関しては、喪主に代わり葬儀社が代行してくれるケースがほとんどですが、事前にしっかりと確認しておくようにしましょう。
病院や介護施設から荷物を引き取る
病室や介護施設の部屋に故人の私物がある場合には、喪主のほうで引き取りをする必要があります。逝去時にまとめて持っていくように言われるケースや、葬儀後でも問題ないと言われるケースなど、施設によって手順は異なりますので、お身体の出発時にあらかじめお伺いしておくようにしましょう。
病院を出発して故人を安置した後に、ようやく葬儀社のスタッフと葬儀の日程決めや内容の打ち合わせをおこなうようになります。
お寺や葬儀の打ち合わせで決めること
菩提寺へ連絡する
菩提寺の付き合いがある場合には、喪主から直接連絡を取るようにします。この時に葬儀の依頼と合わせて、ご都合の良い日程についてあらかじめお伺いをしておきましょう。それを基に葬儀社が式場や火葬場の予約をおこないます。
お葬式の形式を決める
一般葬、家族葬、一日葬、火葬式と最近はお葬式の形式も多様化しています。特に家族葬のニーズは高まっており、全体の4割以上を占めているという統計もあります。ですが、周りに家族葬が多いからという理由だけで安易に決めることはせずに、それぞれの形式におけるメリットとデメリットをしっかりと見定めた上で決定するのも喪主の重要な役割の一つです。
少しでも不安に思うことがあれば、必ず葬儀社のスタッフへ確認するようにしましょう。
参列者の人数予測を立てる
形式が決まった後は参列をお願いする方のリストアップをおこない、人数予測を立てます。ここで算出した人数を基に料理や返礼品の個数を決めていきますので、喪主をはじめ家族間でしっかりと相談するようにしましょう。
具体的には以下の項目について決めることになるでしょう。
- 祭壇や周りの供花について
- 通夜振る舞いや精進落としの料理
- 参列者への返礼品
- 霊柩車やハイヤー、マイクロバスといった車両関係
喪主が家族の意向をとりまとめた上で、これらについて決定後、スタッフが実際の葬儀費用の見積もりを提示してくれます。この時点で費用の支払いが厳しいといった場合には、正直にその旨を伝えるようにしましょう。
なぜなら葬儀費用には追加で発生する要素(参列者が増えたことによるおもてなし費用など)があり、見積もり時の金額より高くなる可能性もあるからです。頂いたお香典によって費用をまかなえる部分もありますが、少し余裕をもった金額を想定しておくことが重要です。
打ち合わせを終えた後には、参列者へむけた日時の連絡などをおこないますが、連絡する方が多くいらっしゃる場合には、家族間で作業を分担するようにしてもよいでしょう。
訃報の連絡
- 葬儀の日程と式場の場所を伝える
葬儀社から案内用の訃報用紙をもらった場合は、それをもとにして各所へ訃報の連絡をおこないます。日程だけでなく式場の住所や電話番号など、ある程度詳細が分かるようにお伝えすると親切です。 - 人数が多い場合は役割分担をする
参列規模が大きく、人数が多い場合は喪主1人で連絡をすることは大変です。その場合は、家族間で役割を分担して訃報の連絡をおこなうとよいでしょう。
式場と進行の流れを確認
喪主を務める人は通夜と告別式の、それぞれ遅くとも開式の1時間〜1時間半前には葬儀場に到着している必要があります。開式前にしっかりと準備をして参列者を迎えられるように、葬儀社のスタッフと打ち合わせをする事項もありますので順番に見ていきましょう。
供花の順番や名義の確認をする
供花をいただいた場合は祭壇脇に飾られますが、故人との関係性に応じて順番決めをおこなう必要があります。また、名義の誤字脱字がないかどうかも含め、事前にしっかりと喪主が確認をしておき、参列者に失礼のないようにしましょう。
控室の場所や親族席の順番決め
参列者が来られる前に、あらかじめ控室の場所や導線を確認しておきましょう。また、親戚の方が来られた場合に、式場内のどの席にお掛けいただくのかを決めておくと、スムーズに案内することができます。
出棺や火葬までの流れを確認する
告別式の日は火葬場への移動も伴うため、喪主として事前にスケジュールをしっかりと把握しておくようにしましょう。葬儀社のほうで印刷した状態のものを用意してくれることがほとんどですが、それが無い場合には作成を依頼するか自身のメモ書きなどを手元に控えておくと安心です。
弔電の確認
供花と同様に弔電も式前に届けられます。稀に自宅へ直接届く場合もありますので、その際は必ず喪主が葬儀場へと持参するようにしましょう。通常は1度祭壇の前にお供えをして、告別式の際に中身の文面と送り主の名前のご紹介があります。複数枚届いているような場合においては、弔電を読む順番に関してもスタッフと事前に打ち合わせをしておく必要があります。
参列者と宗教者への挨拶
早く来られた参列者への対応をする
早い方で開式の1時間前くらいから来られる方もいらっしゃいますので、時間の許す限りはご挨拶の対応をします。お香典に関して、受付がある場合はそちらへ誘導し、特に設けていない場合には喪主が直接受け取るようにしましょう。
宗教者との打ち合わせやお布施のお渡し
開式前には必ずお寺様への挨拶をおこないます。その時にお布施を一緒にお渡しすることが多いですが、お寺によっては別途タイミングを指定される場合もありますので、不安な方は葬儀社のスタッフに事前確認をしておくとよいでしょう。
参列者全員にむけた出棺前の挨拶
身内だけのお葬式では省略されるケースもありますが、参列者がいらっしゃる場合には、出棺前に喪主から全体の挨拶をおこなう必要があります。短めに3分〜5分程度で収めるようにして、参列者に向けた感謝の言葉を伝えるようにしましょう。また、この際に不安な方はメモや原稿を見ながら挨拶をおこなっても問題ありません。
開式前には様々な準備もある中で、参列者が来た際には一言だけでも言葉を交わす場面もあります。もちろん式中は席に座っている状態にはなりますが、お焼香の間などは都度目礼をするなど、喪主は参列者へのおもてなしに気を配る必要があるでしょう。
他にも通夜振る舞いや精進落としの会食の後などは、一同の前であらたまった挨拶をする機会も出てきます。また、出棺前に葬儀場で最後の挨拶をおこなうのも喪主の重要な役割です。普段慣れない環境での挨拶に不安を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、基本的には葬儀社のほうで例文を用意してくれますので、それに沿った挨拶をするだけでも問題ありません。
実際に紙に書いた状態のものを準備しておいて、その紙を見ながら話される方も多くいらっしゃいます。
たとえ話す機会が多くスピーチを完璧にこなせるような方であっても、いざ本番を迎えると内容が完全に飛んでしまう…ということもありますので、あらかじめポケット等に紙を忍ばせておくだけでも安心して話すことができるでしょう。
納骨先や時期の確認
菩提寺や石屋との打ち合わせをする
葬儀後には納骨時期を、菩提寺や石材店と打ち合わせしていきます。もしまだお墓が無い場合には、近くの霊園やお寺の資料請求をしたり、実際に相談しに行く必要があるでしょう。
納骨は四十九日法要と合わせることが多い
仏式であれば一般的に四十九日法要と合わせて納骨をおこなうことが多いです。ただしまだお墓が決まっていない場合や、墓石の準備が間に合わないという場合は、百か日法要や1周忌のタイミングで納骨を決める方もいらっしゃいます。
仏壇や位牌の準備
仏壇や位牌のサイズに気をつける
仏式でお葬式をされた場合、基本的には白木の位牌に戒名を記した状態でご自宅へ帰られます。その後、四十九日の法要時に魂の移し替えをおこなうため、仏具店に伺って本位牌を準備する必要があります。その際は、ご先祖の位牌に合わせた大きさか、やや小さいサイズのものを選ぶようにしましょう。なお新規でお仏壇の購入をされる場合は、仏壇を設置する場所を確保して、広さや高さなどをあらかじめ確認しておくと安心です。
仏具店へ早めに依頼する
本位牌への戒名入れは1週間から10日前後かかる場合が多いため、直前で準備をすると法要の日に間に合わない場合があります。仏具店への依頼は、余裕を持った日数でなるべく早めにおこなうようにしましょう。
各種死亡後の手続き
年金の受給を止める
年金の給付は死亡届の提出で自動的に止まらないため、別途手続きが必要となってきます。逝去後の翌月以降は受け取ることはできませんので、忘れずに停止手続きをおこなうようにしましょう。
葬祭費の申請手続きをする
加入している公的保険や地域によって差はありますが、国から5万円〜7万円程度の葬祭費を受給することが可能です。ただし、こちらも別途申請の手続きが必要となっており、保険料を一定期間収めている方に限られるなどの支給条件がありますので、申請前に一度確認をしておくと安心です。
他、必要な手続きを順におこなう
葬儀が終わった後で、葬儀社から必要な手続きの載った一覧表を渡されます。基本的には喪主が主体となって役所への訪問や各所への電話連絡などをおこないますが、状況によっては家族間で役割を分担するようにしましょう。
また、弁護士や税理士など専門系の職種に頼る必要性が出てくる場合もありますので、不安な点は都度相談しながら手続きを進めるようにしましょう。
【2023年最新版】喪主のやることリストを9つに厳選してご紹介まとめ
喪主は大切な方が逝去する瞬間を目の当たりにしても、悲しみにくれる時間も無いまますぐに葬儀社の手配を求められるなど、終始大変な役割を担うようになります。ですが、やることを1つ1つの項目に細分化し、リスト化をしていくと決して難しいものばかりではありません。
状況によっては他の家族や葬儀社のスタッフの手を借りることで、大幅に負担を軽減することも可能です。
そのため、全ての責任を自分一人で抱え込むことはせず、積極的に周囲の人間に助けを求めるようにしましょう。そうすることで、喪主としての立派な責務を果たしつつも、大切な方とのお別れもしっかりとおこなうことが出来ます。
喪主としてやることを頭に入れ、できる限り前もって準備をしておくと葬儀の当日や葬儀後も安心して過ごせるでしょう。
今日のポイント
- (葬儀前)葬儀社を事前に決めておくと慌てずに済む
- (葬儀当日)進行の流れは事前にしっかりと押さえておくとよい
- (葬儀後)役所の手続きは多岐にわたるため、家族間で協力するのが望ましい
【監修】池原充子(終活専門相談員)
これまでの略歴
身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了
兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒
これまでの略歴
身元保証 課程修了
エンディングノート講師 課程修了
遺言作成講師 課程修了
認知症サポーター 課程修了
兵庫県尼崎市出身
京都外国語大学中国語学科卒
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